成分辞典やさしい解説

水溶性プロテオグリカンの保湿をやさしく解説!水を抱える形の秘密とは?

あるコスメオタク・2026.10.01・更新 2026.10.21・成分解説
ケア保湿

「水溶性プロテオグリカンは保湿力が高い」とよく聞きますが、何がすごいのか、ヒアルロン酸と比べてどうなのか、気になりますよね。

結論から言うと、水溶性プロテオグリカンは、少ない量でもたくさんの水を抱えやすい形をした保湿成分です。肌の上では、ヒアルロン酸と同じように角層の表面で水を抱えて、乾燥を防ぐ側に働きます。まずは、水を抱えやすい形から見ていきましょう。

プロテオグリカンは、水を抱えやすいブラシの形をしている

プロテオグリカンが水を抱えやすいのは、たんぱく質の芯に糖の鎖がたくさんついた、ブラシのような形をしているからです。糖の鎖は水となじみやすく、まわりに水を集めます。

軟骨のプロテオグリカンの模式図です。マイナスの電気をもつ糖の鎖のまわりに、水が集まります。

糖の鎖 たんぱく質の芯 水 ナトリウムなど マイナスの電気

プロテオグリカンは、芯になるたんぱく質に、グリコサミノグリカンと呼ばれる糖の鎖が結びついた物質です。軟骨に多いアグリカンという種類は、長さ約150nmの芯に長さ約20nmの糖の鎖が100本ほど生えた、試験管ブラシのような形をしていて、分子量は100万〜300万ほどになります。糖の鎖は伸びた形をとりやすいので、重さのわりにとても大きな場所を占め、濃度が低くてもゲルになります。

水を引き込むしくみは、体の軟骨の中でくわしく調べられています。糖の鎖のほとんどの糖にはマイナスの電気をもつ部分がついていて、このマイナスの電気がナトリウムなどのプラスのイオンを引き寄せます。すると、イオンが集まったところへ浸透圧で大量の水が引き込まれ、ふくらもうとする力が生まれて、軟骨が押しつぶされるのを支えます。

これは軟骨の中での話ですが、このブラシの形のおかげで、少ない量でもたくさんの水を抱えやすい、というのが「保湿力が高い」と言われるいちばんの理由です。

化粧品の原料は鮭の鼻の軟骨からとったもので、鎖が少なく長い

化粧品に入っている水溶性プロテオグリカンは、鮭の鼻の軟骨から取り出した原料です。成分表示でも「水溶性プロテオグリカン」と書かれ、たんぱく質の並びを調べると、その正体は軟骨に多いのと同じアグリカンだとわかっています。

形は、ウシのアグリカンと少し違います。コンドロイチン硫酸という糖の鎖の数はウシの約3分の1と少ないかわりに、1本1本が1.5〜3.3倍長いという結果があります。マイナスの電気をもつ硫酸の数は、糖2つあたり鮭もウシも約0.85で、同じくらいでした。また、取り出し方によって、分子が切れて小さくなる程度が変わることもわかっています。

鮭の原料も、糖の鎖をたくさんもつブラシの形という点は同じです。

肌の上では、角層の表面で水を抱えて乾燥を防ぐ

水溶性プロテオグリカンは、肌のいちばん外側の角層の表面で水を抱え、乾燥を防ぐ成分です。化粧品の成分が働くのは角層までで、乾燥はその角層から水分が逃げて足りなくなることで起きるからです。

角層は、3つのバランスでうるおいを保っています。

角層の下の表皮 1 2 3
  1. 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
  2. 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
  3. 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド

角層では、皮脂膜が表面をおおい、天然保湿因子が細胞の中で水を抱え、細胞間脂質が細胞のすき間を埋めて水分を逃がしません。このバランスが崩れたり、乾いた空気にさらされたりすると、角層の水分が逃げて、かさつきにつながります。

ヒアルロン酸のような大きな分子の保湿成分は、角層の中の成分とはなじみにくい一方で、水を保ちやすい性質があり、塗ると角層の水分量を長く高めるとされています。水溶性プロテオグリカンもこの大きな分子の仲間で、保湿の役割分担の中では、角層の表面で水を抱える側に入ります。

水溶性プロテオグリカンは、角層の表面で水を抱えて、乾燥を防ぎます。

使う前 水分が逃げて、乾く 使ったあと 表面で水を抱える 角層 表皮 真皮

化粧品として言えるのは、「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の乾燥を防ぐ」「肌にはりを与える」といった範囲です。乾燥が気になるときの保湿成分として選びましょう。

ヒアルロン酸と比べると、水を保つ力は同じくらい

「ヒアルロン酸より上」という言い方を見かけると、どちらを選べばいいか迷いますよね。水溶液で水を保つ力を比べた結果は、ヒアルロン酸と同じくらいでした。

比べ方は、乾いた所に水溶液を置いて、重さがどう変わるかを測るものです。水が逃げて軽くなる様子を比べると、水溶性プロテオグリカンはヒアルロン酸と同じくらい水を保ったという結果があります。どちらも、角層の表面で水を抱える、大きな分子の保湿成分です。

どちらが上かより、同じ役割の保湿成分と考えておけば十分です。

保湿力は、水を吸う力と逃がさない力に分けて見る

保湿力は、空気中の水を吸い寄せる力と、抱えた水を逃がさない力に分けて見ると、わかりやすくなります。この2つは別々に測られ、どちらで測るかによって成分の順位が入れ替わるからです。

たとえば、ヒアルロン酸Naは水を吸う力ではグリセリンやPCA-Naにおよばず、抱えた水を保つ力にすぐれていたという結果があります。グリセリンのような小さな分子の保湿成分は、水を吸い寄せる力が強いものの、たくさん入れると使い心地が悪くなりやすく、外の空気がとても乾いているときは含んでいた水を逃がしてしまうこともあります。そのため、ヒアルロン酸Naのように水を保つ力の高い大きな分子と組み合わせるとよいとされています。

乾いた所で重さの変化を測る比べ方は、逃がさない力の物差しです。水溶性プロテオグリカンは、抱えた水を逃がさない側の保湿成分と覚えておきましょう。

まとめ

「保湿力が高い」という言葉は、水を抱えやすい形のことだと知っておくと、成分表で見かけたときに役割がすぐわかります。乾燥が気になるときの、水を抱える保湿成分として取り入れてみてください。

よくある質問

水溶性プロテオグリカンはなぜ保湿力が高いと言われるのですか?

たんぱく質の芯に糖の鎖がたくさんついたブラシの形で、少ない量でもたくさんの水を抱えやすいからです。糖の鎖は水となじみやすく、まわりに水を集めます。

水溶性プロテオグリカンはヒアルロン酸より保湿力が高いですか?

水溶液で水を保つ力を比べた結果は、ヒアルロン酸と同じくらいでした。どちらも、角層の表面で水を抱える、大きな分子の保湿成分です。

水溶性プロテオグリカンは肌の上で何をしますか?

肌のいちばん外側の角層の表面で水を抱え、乾燥を防ぎます。化粧品として言えるのは、肌にうるおいを与える、乾燥を防ぐ、はりを与えるといった範囲です。

保湿力の「吸う力」と「逃がさない力」は違うのですか?

違います。空気中の水を吸う力と抱えた水を逃がさない力は別々に測られ、ヒアルロン酸Naは吸う力ではグリセリンやPCA-Naにおよばず、保つ力にすぐれていたという結果があります。

水溶性プロテオグリカンは何からとった成分ですか?

鮭の鼻の軟骨から取り出した成分です。中身は軟骨に多いアグリカンで、ウシのものより糖の鎖が約3分の1と少なく、1本が1.5〜3.3倍長い形をしています。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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