この記事でわかること
- 海外で塗り薬として使われている理由と、ニキビ・しみへの働き方
- 日本の市販品が化粧品で、言えることが限られる理由
- 使い始めの注意と、ニキビがつらいときの考え方
ニキビや赤みの話題でよく聞くアゼライン酸。海外では薬なのに、日本では化粧品として売られていると聞くと、何が違うのか、効くのかどうか迷いますよね。
結論から言うと、アゼライン酸は海外ではニキビや酒さの塗り薬で、日本の市販品は化粧品です。同じ成分でも区分が違うので、日本の化粧品で言えるのは「肌をととのえる」までです。
海外では、ニキビと酒さの塗り薬
アゼライン酸は、海外ではニキビや酒さの塗り薬として長く使われてきた成分です。20%や15%を配合した塗り薬が、30年以上前から医薬品として承認されているからです。
酒さは、顔に赤みやブツブツが出る状態のことです。酒さ向けの15%の薬はアメリカで2002年に承認され、ニキビには15%や20%の濃度がよく使われます。海外でのアゼライン酸は、医師が使う薬の成分として見るとわかりやすいです。
薬としては、毛穴のつまりと菌に働く
薬としてのアゼライン酸は、ニキビができる流れのうち、毛穴のつまりと菌の両方に働くとされています。ニキビは、毛穴の出口の角質が厚くなってつまり、たまった皮脂の中で菌が増えることで進むからです。
たまった皮脂の中で菌が増え、まわりが赤く腫れると赤ニキビになります。
ふだんの毛穴
出口がつまり、皮脂と菌がたまる
- 皮脂
- 角質のつまり
- アクネ菌など
- 薬として働くとされるところ
研究では、アゼライン酸はアクネ菌などの菌の中に入り込んで内部を酸性に傾けること、角質ができる過程におだやかに働くことが挙げられています。白血球の一種である好中球から出る活性酸素を抑えるという報告もあります。日本皮膚科学会のニキビの治療ガイドラインでも、アゼライン酸の外用は、白ニキビ・黒ニキビや赤いニキビに「選択肢の一つとして推奨する」とされていますが、保険は使えません。
しみについては、メラニンを作る酵素に働くとされる
しみについては、メラニンを作る酵素チロシナーゼの働きをじゃますると報告されています。しみは、紫外線を浴びて表皮の底の色素の細胞が作ったメラニンが、まわりの細胞にたまってできるからです。
これは薬としての研究の話で、日本の化粧品の効能ではありません。
表皮の断面
色素の細胞を拡大すると
- 色素の細胞(メラノサイト)
- メラニンを作る酵素
- メラニン
- 薬として働くとされるところ
穀物にも含まれる、シンプルな有機酸
アゼライン酸は、ライ麦や小麦、大麦などの穀物に含まれる、天然由来の有機酸です。ジカルボン酸という有機酸の一種で、私たちの肌にすむ常在菌のマラセチアも、アゼライン酸をつくり出すことが知られています。
アゼライン酸は、炭素が9個まっすぐつながった、シンプルな形の酸です。
日本の市販品は化粧品で、言えるのは「肌をととのえる」まで
日本では、市販のアゼライン酸製品は化粧品として売られていて、言えるのは「肌をととのえる」といった範囲までです。化粧品で言える効能は、決められた範囲の中だけだからです。
同じアゼライン酸でも、国と区分で言えることが変わります。
海外
ニキビ・酒さの塗り薬(15%・20%)
日本の市販品
化粧品。「肌をととのえる」まで
クリニックで塗り薬として使う場合も、公的医療保険の対象にならない自由診療です。また、医薬部外品でもないため、「にきびを防ぐ」といった表現も使えません。日本の市販品は、肌をととのえる化粧品として選びましょう。
使い始めは、ヒリつきや赤みが出ることがある
アゼライン酸は比較的マイルドな成分とされますが、使い始めにヒリつきや赤み、かゆみ、乾燥などが出ることがあります。いきなり顔全体に使わず、少量を狭い範囲から試すのが安全で、赤みやかゆみが続くときは使うのをやめましょう。
ニキビや酒さがつらいときは、市販の化粧品に頼りきらず、皮膚科に相談するのが近道です。
成分名が同じでも、同じことをうたえるとは限らない
海外で薬として使われていると聞くと、日本の化粧品でも同じ効果があるように思いますよね。でも、成分名が同じでも、国と区分が違えば、同じことをうたえるとは限りません。
飲むか打つか塗るかで扱いが変わるグルタチオンや、医薬品・医薬部外品・化粧品で言えることが変わるトラネキサム酸も同じです。化粧品の効能が控えめに見えるのは、ルールどおりに表示しているからです。反対に、化粧品なのにニキビや酒さがよくなると薬のようにうたう売り方は、ルールから外れていると考えましょう。
まとめ
- アゼライン酸は、海外ではニキビ・酒さの塗り薬。酒さ向け15%の薬は2002年にアメリカで承認されています
- 薬としては、毛穴のつまりと菌に働き、メラニンを作る酵素にも働くとされています
- 日本皮膚科学会のガイドラインでは、外用は「選択肢の一つとして推奨する」で、保険は使えません
- 日本の市販品は化粧品で、言えるのは「肌をととのえる」まで
- 使い始めのヒリつきや赤みに気をつけ、ニキビがつらいときは皮膚科へ
成分名のイメージだけで期待を上げず、手に取った製品がどの区分のものかを確かめるのが確実です。
よくある質問
アゼライン酸は日本では薬?
日本の市販品は、化粧品として売られています。海外ではニキビや酒さの塗り薬で、日本のクリニックで塗り薬として使う場合も保険は使えない自由診療です。
日本の化粧品のアゼライン酸で何がうたえる?
「肌をととのえる」といった範囲までです。医薬部外品でもないため、「にきびを防ぐ」といった表現も使えません。
アゼライン酸にはどんな働きがある?
薬としての研究では、ニキビに関わる毛穴のつまりや菌に働き、メラニンを作る酵素の働きをじゃまするとされています。日本の化粧品で、同じ効果はうたえません。
使い始めに気をつけることは?
ヒリつき・赤み・かゆみ・乾燥などが出ることがあります。いきなり顔全体に使わず、少量・狭い範囲から試しましょう。
ニキビや酒さがつらいときは?
市販の化粧品に頼りきらず、皮膚科に相談しましょう。日本皮膚科学会のガイドラインでは、アゼライン酸の外用は選択肢の一つとされていますが、保険は使えません。