この記事でわかること
- 青い光で肌が黒くなるしくみと、起きやすい人
- スマホやパソコンの光が肌に影響するかどうか
- SPF・PAや色つき日焼け止めで防げる光の範囲
スマホやパソコンを見る時間が長いと、画面のブルーライトで肌が焼けたり黒くなったりしないか、心配になりますよね。
結論から言うと、スマホやパソコンの画面の光は太陽よりけた違いに弱く、肌に害を与えるものとは考えられていません。青い光で肌が黒くなることはありますが、それは太陽の光を浴びたときの話で、もともと肌の色が濃めの人に起きやすいものです。まずは、ブルーライトがどんな光なのかから見ていきましょう。
ブルーライトは、太陽の光にも含まれる青い可視光線
ブルーライトは、目に見える光である可視光線のうち、青から紫の光のことです。画面だけの光ではなく、太陽の光にも含まれています。
太陽の光には、目に見える可視光線のほかに、目に見えない紫外線や赤外線が含まれています。可視光線は波長がおよそ400〜700nmの光で、海面に届く太陽のエネルギーの4割以上を占めます。虹の色でいうと、紫や青が波長の短い側、赤が長い側にあたり、紫外線のすぐとなりにあるのが青から紫の光です。
青い光は、太陽の光ではおよそ25%、電子機器の光では約30%を占めるという測定があります。割合は似ていても、光そのものの強さが大きく違う、というのがこのあとの話のポイントです。
ブルーライトは、画面からも太陽からも届く、目に見える青い光と覚えておきましょう。
太陽の青い光では、肌の色が濃めの人ほど黒くなりやすい
太陽の強さの青い光を浴びると、肌の色が中くらいから濃い人では、肌が黒くなる色素沈着が起きます。肌の色のもとになるメラニンをつくる細胞が、青い光に反応するからです。
肌が黒くなるのは、メラニンという色の粒が増えるためです。メラニンをつくる色素細胞には、青い光を感じるセンサーのようなたんぱく質があります。肌の色が濃い人の細胞では、青い光を浴びたあと、メラニンをつくる酵素の働きが長く続きます。そのため、色素沈着は肌の色が中くらいから濃い人で起きやすく、日焼けをすると赤くなるより黒くなりやすい人は、ここに入ることがあります。
実際に、肌の色が濃めの人の肌に可視光線を当てると、色素沈着が起きて長く続いたという結果があります。光の色で比べると、青紫の光でははっきり色が濃くなり、赤い光では起きませんでした。色白の肌タイプの人では、色素沈着は見られませんでした。さらに、可視光線にわずかなUVA1という紫外線が混ざるだけで、色素沈着が強くなり、赤みも出たという結果もあります。太陽の光では、可視光線と紫外線が一緒に届きます。
可視光線を皮膚のモデルに当てると、活性酸素や、肌のハリを支えるコラーゲンを分解する酵素が増えたという結果もあり、肌の老化との関わりも調べられています。
これらは人工の光源で強い光を当てた実験で、ふだんの生活で浴びる量とは違います。それでも、肌を黒くする青い光の主な源は太陽だと知っておくと、何に気をつければいいかがはっきりします。
スマホやパソコンの光は、太陽よりけた違いに弱い
毎日長い時間画面を見ていると、その光で肌が黒くならないか気になりますよね。でも、スマホやパソコンの画面の光は、太陽の光の100分の1から1000分の1ほどの強さです。測り方で数字は変わりますが、けた違いに弱い光です。
画面から出る光を、ふだん使う距離と明るさで測ると、量は小さく、肌に害を与える可能性は低いという結果でした。いちばん強かったのは、明るさを最大にしたタブレットを顔の近くで見たときです。
肌で確かめた結果もあります。肝斑というしみがある人が、明るいパソコンの画面を近くで長い時間使っても、肝斑は濃くなりませんでした。これまでの研究をまとめた報告でも、電子機器の青い光は、色素沈着、赤み、肝斑が濃くなること、光老化のどれについても、害を与えるものとは判定されませんでした。光と皮膚の専門家がまとめた国際的な合意でも、肌への影響が示されているのは太陽から届く可視光線のほうだとされています。
目についても、日本の眼科の団体が、画面から出る青い光は曇りの日や窓越しの自然の光より少なく、網膜に障害を起こすレベルではないという意見を出しています。
気にかけたいのは、画面の光より太陽の光です。
SPFとPAは、紫外線を防ぐ力の数字
SPFとPAは紫外線を防ぐ力を表す数字で、可視光線を防ぐ力は表していません。測るときに使う光が、紫外線の範囲だけだからです。
日焼け止めのSPFとPAのうち、SPFは主にUVBによる赤くなる日やけを防ぐ力、PAはUVAを防ぐ力を表します。どちらも国際規格の方法で測り、世界各国の日焼け止めの試験は、紫外線の範囲の光だけを出す光源を使う決まりになっています。
SPFとPAが測るのは紫外線の範囲で、ブルーライトはそのすぐ外側にあります。
図のように、ブルーライトは、SPFとPAが測る範囲のすぐ外にあります。そのため、SPF50+やPA++++という表示から、可視光線をどれだけ防ぐかは読み取れません。紫外線を吸収する成分や、酸化亜鉛・酸化チタンだけで紫外線を防ぐ一般的な日焼け止めでは、可視光線を十分に防げないとされています。
SPFやPAの数字が高くても、それはブルーライトを防ぐ力の数字ではないと知っておきましょう。
可視光線をさえぎるのは、酸化鉄入りの色つき日焼け止め
可視光線を防ぎたいときに向くのは、酸化鉄を配合した色つきの日焼け止めやファンデーションです。色のついた粉が、目に見える光そのものをさえぎるからです。
青い光で肌が黒くなる流れは、光が肌に届くところから始まります。酸化鉄のような色のついた粉は、可視光線を吸収したり、散らしたり、はね返したりします。流れの入り口で光を減らすので、紫外線対策に上乗せして、可視光線による色素沈着を防ぐことにつながります。
酸化鉄入りの色つきの日焼け止めは、枠で囲んだ「光が届く」ところで光をさえぎります。
届く
作られる
長く続く
実際に、肌の色が濃めの人が酸化鉄を含むファンデーションを塗ると、可視光線による色素沈着が起きにくかったという結果があります。医師による肝斑の治療に、酸化鉄入りで紫外線と可視光線の両方を防ぐ日焼け止めを組み合わせると、肝斑の範囲と濃さを表す点数がより大きく下がったという結果もあります。肝斑では光を避けることがとても大事とされているので、気になる場合は皮膚科に相談しましょう。
酸化鉄の中では黄色いものが最も強く防いだという結果があり、黄・赤・黒の酸化鉄と酸化チタンを混ぜると、いろいろな肌の色に合う色がつくれます。専門家の国際的な合意でも、酸化鉄入りの色つき日焼け止めは、可視光線を防ぐ方法のいちばんの基準とされています。
化粧品で言える光の効能は、日やけとシミ・ソバカスを防ぐことの2つ
化粧品で言える光の効能は「日やけを防ぐ」と「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」の2つです。化粧品で表示できる効能は国が決めた項目の中にあり、ブルーライトや可視光線を防ぐという項目はないからです。
そのため、「ブルーライトカット」という表示は、SPFやPAのように決まった方法で測った数字にもとづくものではありません。表示を見かけたら、SPF・PAに加えて、色つきかどうか、成分表に酸化鉄が入っているかを見るほうが、選ぶ手がかりになります。
なお、青い光はニキビの治療に使われることもありますが、これは医療機器で特定の光を当てる治療で、画面や日常の光とは別の話です。
「ブルーライトカット」の言葉より、SPF・PAと酸化鉄を見て選びましょう。
まとめ
- ブルーライトは、太陽の光にも画面の光にも含まれる、青から紫の可視光線です
- 太陽の強さの青い光では、肌の色が中くらいから濃い人で色素沈着が起きやすくなります
- スマホやパソコンの画面の光は太陽の光の100分の1〜1000分の1ほどで、肌に害を与えるものとは考えられていません
- SPFとPAは紫外線の数字で、可視光線を防ぐには酸化鉄入りの色つき日焼け止めが向きます
- 化粧品で言える光の効能は「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」の2つです
気にかけたいのは画面の光より太陽の光です。外に出る日は、肌の色や肝斑の悩みに合わせて日焼け止めを選んでみてください。
よくある質問
スマホやパソコンの光で肌は日焼けしますか?
画面の光は太陽の光の100分の1〜1000分の1ほどと弱く、肌に害を与えるものとは考えられていません。専門家の国際的な合意でも、肌への影響が示されているのは太陽から届く可視光線のほうです。
ブルーライトで肌は黒くなりますか?
太陽の強さの青い光では、肌の色が中くらいから濃い人で色素沈着が起きます。メラニンをつくる細胞が青い光に反応するためで、色白の肌タイプの人では色素沈着は見られませんでした。
SPFやPAが高ければブルーライトも防げますか?
SPFとPAは紫外線を防ぐ力を表す数字なので、表示から可視光線をどれだけ防ぐかは読み取れません。可視光線を防ぎたいときは、酸化鉄入りの色つきの日焼け止めが向いています。
可視光線を防げるのはどんな日焼け止めですか?
酸化鉄を配合した色つきの日焼け止めやファンデーションです。色のついた粉が可視光線をさえぎり、肌の色が濃めの人で可視光線による色素沈着が起きにくかったという結果があります。
ブルーライトカットと書かれた化粧品はどう見ればいいですか?
化粧品で言える光の効能は「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」の2つで、ブルーライトを防ぐという項目はありません。SPF・PAと、酸化鉄が入っているかを見て選びましょう。
この記事で参照した情報
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- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
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