この記事でわかること
- グリシルグリシンがどんな成分で、どこから生まれたのか
- 毛穴の目立ちと乾燥への働き方
- 成分表での見つけ方と、化粧品で言える範囲
毛穴ケアの化粧品で「グリシルグリシン」という名前を見かけると、毛穴にどう効くのか、本当に変わるのか、気になりますよね。
結論から言うと、グリシルグリシンは毛穴の目立ちの研究から見つかった成分で、肌のうるおいを支えるアミノ酸の仲間でもあります。毛穴そのものをなくす成分ではありませんが、毛穴とうるおいの2つの面から選ばれています。
グリシルグリシンは、グリシンが2つつながった小さな成分
グリシルグリシンは、アミノ酸の「グリシン」が2つつながった成分です。アミノ酸どうしをつなぐのがペプチド結合で、たくさんつながると体のたんぱく質になり、2つだけのものはジペプチドと呼ばれます。
グリシルグリシンは、アミノ酸が2つだけの小さな分子です。
たくさんつながると、たんぱく質
グリシンが2つだけ、グリシルグリシン
- グリシン
- ほかのアミノ酸
- つなぎ目(ペプチド結合)
分子式はC4H8N2O3、分子量は約132で、化粧品に使われる成分の中でもかなり小さな分子です。名前の「グリシル」は、グリシンがくっついた、という意味の化学の呼び方です。「薬用」とつく医薬部外品の有効成分ではなく、化粧品の成分として配合されています。
毛穴の研究から見つかり、目立つ毛穴が小さくなった結果がある
グリシルグリシンは、毛穴が目立つ原因を考える研究の中で見つかった成分で、目立つ毛穴が小さくなったという結果があります。毛穴の目立ちは、皮脂と毛穴の出口のまわりで起きる悩みです。
皮脂の不飽和脂肪酸が、毛穴の出口のまわりの角質を未熟なままにすると考えられています。
目立つ毛穴の断面
出口のまわりを拡大すると
- ふつうの角質
- 核が残った未熟な角質
- 皮脂の不飽和脂肪酸
皮脂に含まれるオレイン酸などの不飽和脂肪酸は、肌の細胞の中のカルシウムを増やすこともわかっています。この流れに目を向けて探し出されたのがグリシルグリシンで、配合した溶液を顔に塗ると、目立つ毛穴が小さくなったという結果があります。
皮脂の量そのものを抑えるのではなく、毛穴のまわりの角層の育ち方に目を向けて生まれた成分です。
保湿に使われるのは、うるおいを抱えるアミノ酸の仲間だから
グリシルグリシンがうるおいのケアにも使われるのは、角層で水を抱えている天然保湿因子の大部分が、アミノ酸とその仲間だからです。
角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。天然保湿因子の大半はアミノ酸とその仲間で、角層のアミノ酸にはセリンやグリシンが多く含まれています。
角層の細胞の中では、グリシンなどのアミノ酸が天然保湿因子として水分を抱えています。
アミノ酸が満ちている
アミノ酸が少ない
- 角層の細胞
- グリシン
- ほかのアミノ酸など
- 水分
天然保湿因子が足りないと、角層は水分を抱えきれず、乾燥しやすくなります。グリシルグリシンは、このグリシンが2つつながった成分で、ヨーロッパの化粧品成分のデータベースでも働きは「肌の調子を整える」とされています。保湿成分と並んで、うるおいを支えるアミノ酸の仲間として配合されています。
向くのは、毛穴の目立ちと乾燥が気になるとき
グリシルグリシンが向くのは、毛穴の目立ちと乾燥が両方気になるときです。毛穴の研究から見つかった成分であり、うるおいを支えるアミノ酸の仲間でもあるからです。
たとえば、毛穴の目立ちが気になるけれど乾燥もしやすい、という人なら、毛穴とうるおいの両方に関わる成分として選びやすくなります。化粧品として言えるのは、「肌のキメを整える」「肌をひきしめる」「皮膚にうるおいを与える」などの範囲です。毛穴が気になる人の、うるおいのケアを兼ねた成分と考えると選びやすくなります。
成分表では「グリシルグリシン」か「ジペプチド-15」
成分表では「グリシルグリシン」と書かれますが、海外の商品では「ジペプチド-15」と書かれていることもあります。ヨーロッパの化粧品成分のデータベースで、国際的な成分名のジペプチド-15は、グリシンのジペプチドであるグリシルグリシンとされているからです。
ただし、研究で使われた濃度と、商品に入っている量は同じとは限りません。全成分表示は配合量の多い順ですが、1%以下の成分は順不同で並べてよい決まりなので、順番だけで量を判断するのは難しいところがあります。名前が目立つ成分ほど、「〇〇配合」という表示の意味を知っておくと役に立ちます。
化粧品で言えるのは「肌のキメを整える」「肌をひきしめる」まで
毛穴の研究から生まれた成分と聞くと、毛穴がなくなるのかと期待してしまいますよね。でも、化粧品として言えるのは「肌のキメを整える」「肌をひきしめる」などの範囲です。化粧品で表示できる効能は国が決めた項目の中にあり、そこに「毛穴」という言葉はないからです。
グリシルグリシンは、医薬部外品の有効成分のリストにも入っていません。そのため、商品の説明では「毛穴」ではなく、「キメを整える」「ひきしめる」といった言葉が使われています。研究でわかったことと、商品で書けることは、分けて読むのがポイントです。毛穴そのものをなくす成分ではなく、キメを整えてうるおいを与える化粧品の成分として見ておきましょう。
まとめ
- グリシルグリシンは、グリシンが2つつながった、分子量約132の小さな成分です
- 毛穴が目立つ原因の研究から見つかり、目立つ毛穴が小さくなったという結果があります
- 天然保湿因子に多いグリシンの仲間で、うるおいのケアにも使われます
- 成分表では「グリシルグリシン」のほか「ジペプチド-15」と書かれることもあります
- 化粧品で言えるのは「肌のキメを整える」「肌をひきしめる」などの範囲です
「毛穴の成分」として紹介されることが多いですが、うるおいを支えるアミノ酸の仲間でもあります。両方の顔を知っておくと、商品の説明が読みやすくなります。
よくある質問
グリシルグリシンで毛穴はなくなりますか?
毛穴そのものをなくす成分ではありません。配合した溶液を塗ると目立つ毛穴が小さくなったという結果がありますが、化粧品で言えるのは「肌のキメを整える」「肌をひきしめる」などの範囲です。
グリシルグリシンは医薬部外品の有効成分ですか?
いいえ、化粧品の成分として配合されています。医薬部外品の有効成分のリストに、名前は入っていません。
グリシルグリシンに保湿の働きはありますか?
うるおいのケアにも使われる成分です。もとのグリシンは、角層で水を抱える天然保湿因子に多いアミノ酸で、ヨーロッパの化粧品成分のデータベースでも働きは「肌の調子を整える」とされています。
グリシルグリシンはペプチドの仲間ですか?
はい、グリシンが2つつながったジペプチドです。分子量は約132で、化粧品に使われる成分の中でもかなり小さな分子です。
成分表の順番で配合量はわかりますか?
順番だけで量を判断するのは難しいです。1%以下の成分は順不同で並べてよい決まりで、研究で使われた濃度と商品の配合量も同じとは限りません。
この記事で参照した情報
- EMBL-EBI ChEBI「glycylglycine (CHEBI:17201)」
- NIST Chemistry WebBook「N-Glycylglycine」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「アミノ酸」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「天然保湿因子」
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- Iida T, Kaneko M, Kawai E, Muta-Takada K, Inomata S. Glycylglycine decreases the size of conspicuous facial pores: Single-blinded half areas of face-applied study. J Dermatol. 2009;36(2):120-123
- 飯田年以「毛穴の目立ちと,グリシルグリシンの毛穴収縮効果」日本皮膚科学会雑誌 120(3):600, 2010(会議録)
- European Commission CosIng「DIPEPTIDE-15」(Glycine Dipeptide, Glycyl Glycine/CAS 556-50-3)
- 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日 薬食審査発第1225001号)
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)