この記事でわかること
- 肌のハリを支えるコラーゲンがある場所と、塗ったコラーゲンの役目
- 化粧品で言えるハリとシワの範囲
- ペプチドとEGFがどんなもので、化粧品に入れるときの決まり
「ペプチド配合」「EGF配合」と書かれた化粧品を見ると、塗ればハリが出るのか、どこまで期待していいのか迷いますよね。
結論から言うと、化粧品として言えるハリは「肌にはりを与える」までです。肌のハリを支えるコラーゲンは真皮でつくられていて、化粧品が働くのは表面の角層までだからです。
肌のハリを支えるコラーゲンは、真皮でつくられている
肌のハリを支えるコラーゲンは、表皮の下の真皮にあり、真皮の線維芽細胞がつくっています。線維芽細胞は、コラーゲン線維やエラスチン線維などをつくったり分解したりして、入れ替えを担う細胞です。
ハリを支える線維は、化粧品が触れる角層よりずっと下の真皮にあります。
肌の断面
真皮を拡大すると
- コラーゲンの線維
- エラスチンの線維
- 線維芽細胞
コラーゲンは真皮の70%以上を占め、エラスチンは2〜4%です。そして年齢とともに、コラーゲンの線維は細くなり、量も減っていきます。ハリが失われる原因は、角層ではなく真皮の線維の衰えにあるのです。
塗ったコラーゲンは、角層をうるおす保湿成分
コラーゲン入りの化粧品を塗れば、そのまま肌のコラーゲンになると思いますよね。でも、塗ったコラーゲンの役目は保湿です。化粧品が触れるのは、角層細胞が15層ほど重なった、厚さ約0.01〜0.02ミリの角層で、化粧品で「浸透」といえるのもこの角層までだからです。
変わるのは角層のうるおいで、真皮の線維は使う前と同じです。
使う前
コラーゲンを塗ったあと
- 塗ったコラーゲン
- 水分
角層が乾くと水分が逃げ、肌がかさついて見えます。加水分解コラーゲンは肌の保湿や髪にやわらかさを与える目的で配合され、可溶性コラーゲンは塗ったあと乾くと膜になり、まわりの湿度に左右されずに水分を保ちます。どちらも、角層に水分を保たせる成分として見ておくとわかりやすいです。
化粧品で言えるのは「肌にはりを与える」まで
ハリについて化粧品で言えるのは「肌にはりを与える」まで、シワについては「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです。化粧品の効能は、国が定めた56項目の範囲に限られるからです。
ハリとシワについて、製品の区分ごとに言える効能です。
56項目には「弾力」という言葉は出てきません。「乾燥による小ジワを目立たなくする」は成分ではなく試験で決まり、決められた方法の評価試験か、それと同等以上の試験をした製品だけが、効能に印をつけて「※効能評価試験済み」と書けます。ペプチドやEGFが入っていることと、この試験とは別の話です。
深いシワが気になるなら、「シワを改善する」効能が承認された医薬部外品を選び、「医薬部外品」の表示と有効成分を確かめましょう。くわしくはレチノールの記事で、広告表現のルール全体も同じ考え方でできています。
ペプチドはアミノ酸のつながり、EGFはサイトカインの一種
「ペプチド」「成長因子」と聞くと、特別な成分のように思いますよね。でも、ペプチドはアミノ酸がいくつかつながったもの、EGFは上皮細胞増殖因子のことで、サイトカインの一種です。日本化粧品技術者会の用語集でも、ペプチドは「アミノ酸」の項目の中に、EGFは「サイトカイン」の項目の中に出てくる言葉で、独立した項目にはなっていません。
アミノ酸がいくつかつながるとペプチド、長くつながるとタンパク質になります。
ペプチド
タンパク質(EGFなど)
- アミノ酸
- 糖
サイトカインは、免疫の細胞や線維芽細胞、表皮の角化細胞など、さまざまな細胞がつくる分子量約15,000〜30,000の糖タンパク質です。体の中では、細胞が増えたり、特定の役割をもつ細胞に分かれたり、移動したりすることや、免疫や炎症の反応にかかわっています。インターロイキンやケモカインなどと並ぶ分類の1つとして、EGFが挙げられています。成分表で見かけたら、ペプチドはアミノ酸のつながったもの、EGFはサイトカインの一種、と読んでおけば十分です。
EGFを入れるかは、製造販売業者が責任をもって判断する
EGFを化粧品に入れてよいかは、製造販売業者が自らの責任で安全性を確かめて判断することになっています。化粧品基準は、配合してはいけないものを決めたうえで、それ以外は業者の責任にまかせるしくみだからです。
化粧品基準では、医薬品の成分、生物由来原料基準に合わないもの、別表第1に並ぶものを配合してはならないとしています。配合禁止成分を並べた別表第1は全30項目で、そこにEGFや成長因子、ペプチドという言葉は入っていません。それ以外の成分は、化粧品の定義から外れないよう十分に注意して判断します。
また、ヒト由来の原料は、生物由来原料基準への適合が求められます。すでに化粧品に配合されている成分でも、あとから医薬品の有効成分として承認されると、化粧品への配合は禁止されます。「何の成分か」だけでなく「どこから来たか」も問われるしくみです。
まとめ
- 肌のハリを支えるコラーゲンは、真皮の線維芽細胞がつくり、年齢とともに細く少なくなります
- 塗ったコラーゲンの役目は保湿で、化粧品が触れるのは角層までです
- 化粧品で言えるハリは「肌にはりを与える」まで。小ジワの効能は試験で決まり、「シワを改善する」は承認された医薬部外品です
- ペプチドはアミノ酸のつながり、EGFは分子量約15,000〜30,000の糖タンパク質であるサイトカインの一種です
- EGFを入れるかは製造販売業者の責任で判断し、ヒト由来の原料は生物由来原料基準に合う必要があります
「ペプチド配合」「EGF配合」を見かけたら、成分名より先に、化粧品か医薬部外品か、どんな効能が書かれているかを確かめてみてください。塗るコラーゲンについてはコラーゲンの記事でくわしく解説しています。
よくある質問
塗ったコラーゲンは肌のコラーゲンになる?
いいえ、塗るコラーゲンの配合目的は保湿です。肌のコラーゲンは、角層よりずっと下の真皮にある線維芽細胞がつくっています。化粧品が触れるのは、表面の角層までです。
ペプチドやEGFの化粧品で、シワについて言えることは?
化粧品で言えるのは「乾燥による小ジワを目立たなくする」までで、これも成分ではなく製品ごとの試験で決まります。「シワを改善する」とうたえるのは、個別に承認を取った医薬部外品です。
化粧品でハリについて言えることは?
「肌にはりを与える」までです。化粧品の効能56項目でハリに近いのは「肌にはりを与える」と「肌をひきしめる」で、「弾力」という言葉は出てきません。
EGFとは何?
細胞が増えたり分かれたりすることにかかわるサイトカインの一種で、上皮細胞増殖因子とも呼ばれます。サイトカインは、分子量約15,000〜30,000の糖タンパク質です。
EGFは化粧品に入れてもいい?
配合禁止成分のリストにEGFの名前はなく、配合するかは製造販売業者が自らの責任で安全性を確かめて判断します。ヒト由来の原料は、生物由来原料基準に合う必要があります。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「アミノ酸」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「サイトカイン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「線維芽細胞」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「コラーゲン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「加水分解コラーゲン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「エラスチン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「生体高分子」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「生理活性成分」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「経皮吸収」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「浸透促進剤」
- 化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 事務連絡「化粧品基準及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」(令和3年3月25日)
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)
- 日本化粧品工業(連合)会「化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版」
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