この記事でわかること
- 髪のつくりと、熱で傷みやすくなる温度
- 傷んだ髪が元に戻らない理由
- 電源を切ったあとヘアアイロンが熱い時間
ヘアアイロンやドライヤーを毎日使っていると、髪が傷んでいないか、傷んだ髪は元に戻るのか、気になりますよね。
結論から言うと、外に出ている髪は一度傷むと元に戻りません。髪はほとんどがたんぱく質でできていて熱に弱く、80℃以上の熱を毎日当てると傷みやすくなるので、「傷めない」使い方がいちばん大切です。まずは、髪のつくりから見ていきましょう。
髪は3つの層でできていて、外側のキューティクルが内側を守る
髪は、中心の毛髄質、それを取り巻く毛皮質、いちばん外側のキューティクルの3つの層でできています。熱でどこが傷むのかは、このつくりを知るとわかりやすくなります。
髪の断面は、外側から3つの層でできています。
- 1キューティクル うろこのように重なって、内側を守る
- 2毛皮質 髪の85〜90%を占める、真ん中の層
- 3毛髄質 中心にある層。ない髪もある
キューティクルは、根元から毛先に向かってうろこのように重なり、内側の毛皮質を取り巻いて守っています。髪の体積の85〜90%を占めるのは、真ん中の毛皮質です。
髪のかたさには、シスチンというアミノ酸がつくる「SS結合」というつながりが関わっていて、これがあるために、髪のケラチンは皮膚のやわらかいケラチンよりかたくなります。パーマは、このつながりを還元剤で切って髪を好みの形に変え、その形を保つために酸化剤でつなぎ直すしくみです。
外側のキューティクルが、内側の毛皮質を守るよろいだと考えるとわかりやすいです。頭皮と髪のしくみも参考にしてください。
80℃以上の熱を毎日当てると、たんぱく質が壊れて傷みやすい
髪は熱に弱く、80℃以上の熱を毎日当てると傷みやすくなります。髪の大部分をつくるたんぱく質が、熱で壊れるからです。
80℃以上の熱を日常的に当てると、髪の中のたんぱく質が壊れ、ブラッシングなどのときにキューティクルがはがれやすくなります。キューティクルがはがれると、内側の毛皮質に亀裂ができ、それが広がって裂けたものが枝毛です。
熱でたんぱく質が壊れた髪は、ブラッシングなどで表面のキューティクルがはがれやすくなります。
毎日当てる
が壊れる
はがれる
枝毛に
一方、ヘアアイロンには約100〜200℃に設定できるものが多く、並べてみると道具の温度のほうが上です。キューティクルを傷める原因には、パーマやヘアカラー、ブリーチといった施術、紫外線や海水、ドライヤーの熱といった環境、乱暴なシャンプーやぬれたままのブローのような扱い方もあります。
熱を当てる時間や回数を減らし、ぬれたままブラッシングしながら乾かさない、という扱い方で傷みは防げます。
外に出ている髪は、傷むと元に戻らない
傷んでしまった髪は、トリートメントで元に戻せると思いますよね。でも、頭皮から外に出ている髪は、一度傷むと元に戻りません。
外に出ている髪、毛幹と呼ばれる部分は死んだ細胞の集まりなので、自分で直す力がないからです。肌は生まれ変わりをくり返しますが、外に出ている髪はそうはいきません。毛幹についた傷は、基本的にずっと残ります。
ヘアケア化粧品の効能も、「毛髪のつやを保つ」「毛髪の水分、油分を補い保つ」「裂毛、切毛、枝毛を防ぐ」などの、防いだり保ったりする範囲です。
だから、できることは「傷めない」ことと「見た目を整える」ことの2つです。
髪の水分は11〜13%で、湿度によって出入りする
髪はふだん、重さに対して11〜13%の水分を含んでいます。25℃、湿度65%ほどの状態では12〜13%です。
この水分は、まわりの湿度によって出入りします。そのため、湿度の高い雨の日には、水分を吸った髪が広がりやすくなります。
髪の広がりは、湿度で水分が出入りするためと覚えておきましょう。
ヘアアイロンは、切ったあとも10分以上熱い
ヘアアイロンは、電源を切ったあとも10分以上熱いままです。プレートやパイプが、すぐには冷めないからです。
国民生活センターのテストでは、ヘアアイロンが電源を切ってから71℃以下に下がるまで、平均10分36秒かかりました。いちばん長いものでは17分51秒です。本体の外側まで熱くなるものもありました。ドライヤーでは、発火や火花のほか、髪の毛が吸い込まれて抜けなくなる事故も挙げられています。
髪の傷みとは別に、使ったあとは冷めるまで、子どもの手の届かない場所に置くようにしましょう。
まとめ
- 髪は3つの層でできていて、外側のキューティクルが内側の毛皮質を守っています
- 髪はたんぱく質でできていて熱に弱く、80℃以上の熱を毎日当てると傷みやすくなります
- 外に出ている髪は一度傷むと元に戻りません
- 髪の水分は重さの11〜13%で、湿度によって出入りします
- ヘアアイロンは、切ってから71℃以下になるまで平均10分36秒かかります
髪は直せないからこそ、ぬれたままブローしない、熱を当てすぎないといった「傷めない」工夫が大切です。
よくある質問
熱で傷んだ髪は元に戻る?
外に出ている髪は、一度傷むと元に戻りません。死んだ細胞の集まりで、自分で直す力がないためです。
髪は何度から傷みやすくなる?
80℃以上の熱を毎日当てると、髪のたんぱく質が壊れて傷みやすくなるとされています。ヘアアイロンは約100〜200℃に設定できるものが多く、この目安より高温です。
ぬれたままドライヤーでブラッシングしてもいい?
避けたほうが安心です。ぬれたままのブローは、枝毛やキューティクルが傷む原因のひとつに挙げられています。
ヘアアイロンは電源を切ったらすぐ片付けていい?
すぐには片付けないほうが安心です。テストでは、切ってから71℃以下になるまで平均10分36秒、長いものでは17分51秒かかりました。
ヘアケア化粧品で傷んだ髪は元に戻せる?
外に出ている髪は元に戻りません。ヘアケア化粧品の効能は「毛髪のつやを保つ」「裂毛、切毛、枝毛を防ぐ」などの範囲で、傷みを防ぎ、見た目を整える役目です。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「キューティクル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛皮質」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪の水分量」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪のダメージ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪のケア」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「切れ毛」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「枝毛」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「SS結合」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「シスチン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ケラチン」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 独立行政法人国民生活センター「ヘアアイロンによる子どものやけどに注意!」(令和6年8月7日公表)
- 独立行政法人国民生活センター「ヘアドライヤーの取り扱いに注意」(2016年12月8日公表)
- 消費者庁「子どもを事故から守る!メールマガジン Vol.500 ヘアアイロンによる子どものやけどに注意!」
この記事が入っているテーマ別まとめ