この記事でわかること
- リンス・コンディショナー・トリートメントの違いと、名前が3つある理由
- 髪がなめらかになるしくみと、油分の量の差
- 洗い流さないタイプの違いと、裏面の表示の読み方
リンス、コンディショナー、トリートメント。売り場に並んでいると、何が違うのか、どれを選べばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、3つの名前に決まった線引きはなく、使い分けはメーカーごとです。どれもシャンプーのあとに髪を整える製品で、基本の働きは同じです。名前より「洗い流すか」「どのくらい油分がほしいか」で選べば大丈夫です。まずは、3つの違いから見ていきましょう。
3つの基本の働きは同じで、名前に決まった線引きはない
リンス・コンディショナー・トリートメントの基本の働きは同じで、名前の使い分けに公的なルールはありません。化粧品の表示のルールをつくる業界の団体も、シャンプーのあとに髪を整えるという意味では、基本的な効果はほぼ同じとしているからです。
同じような名前でも、製品の目的や働きの範囲は、メーカーごとに違います。たとえば化粧品として書ける効能も、「クシどおりをよくする」など国のリストで決まっていて、3つとも同じ範囲です。
だからこそ、名前だけで判断せず、製品の説明を読んで選ぶのが確実です。
名前が3つあるのは、リンスのあとに名前が増えたから
なぜ名前が3つもあるのか、不思議に思いますよね。リンスが先にあり、あとの2つは、傷んだ髪向けの「付加価値」をつけた製品の名前として生まれました。
もともとヘアリンスは、シャンプーのあとの髪のクシどおりをよくし、静電気を防ぎ、つやを出す製品のことでした。そのあと、傷んだ髪を健やかな状態に導くことを付加価値にした製品が、メーカーごとの定義で「ヘアコンディショナー」「ヘアトリートメント」などとして登場しました。
最初から線引きがあったのではなく、あとから名前が増えたのが実際のところです。
油分は、リンスが少なく、コンディショナーが多い側
化粧品の技術者の慣用では、リンスがいちばん油分が少なく、コンディショナーのほうが多い側に置かれています。傷んだ髪ほど、油分の多いものが使われるという考え方だからです。
一般には、リンス、トリートメント、コンディショナー、パックの順に油分が多くなります。「トリートメントがいちばん濃厚」というイメージとは、少し違う並びかもしれません。ヘアトリートメントと呼ばれるものは、油分や保湿剤の種類と量を調整して、ふつうのリンスより、髪を整える働きを強めたものです。
ただし、製品名がこの順番どおりとは限りません。トリートメントは「リンスの強い版」で、別のしくみで働くものではない、と覚えておけば十分です。
なめらかになるのは、プラスの成分がマイナスの髪に付くから
リンス類で髪がなめらかになるのは、プラスの電気をもつ成分が、マイナスの電気を帯びた髪の表面に付くからです。3つに共通する主役は、カチオン界面活性剤とも呼ばれる陽イオン性界面活性剤です。
陽イオン性界面活性剤は、水に溶かすと、水になじむ部分がプラスの電気を帯びる成分です。髪の表面はマイナスの電気を帯びているので、プラスの頭が髪に引き寄せられて付き、油になじむ側が外を向いて並びます。
プラスの頭が髪の表面に付き、油になじむ側が外を向いて並ぶので、指どおりがよくなります。
こうして並んだ成分が、つや、やわらかさ、静電気を防ぐ働き、なめらかさといった、髪を整える性質を出します。なめらかさのためにはシリコーンも、保湿のためにはポリペプチドなどもよく使われます。
指どおりがよくなり、静電気が起きにくくなるのは、髪の表面に成分が並ぶからです。
傷んだ髪にいいと感じるのは、表面をおおうから
傷んだ髪にリンス類がいいと感じるのは、髪の表面を油分や髪に付く成分でおおうからです。摩擦で傷みやすいのが、髪のいちばん外側の表面だからです。
髪のいちばん外側のキューティクルは、硬いケラチンというたんぱく質でできています。硬い反面、摩擦に弱くもろいので、こすれるうちに傷んでいきます。
リンス類は、枠で囲んだ「油分などでおおう」ところで、傷んだ髪の表面を整えます。
摩擦に弱い
傷む
おおう
よくなる
リンス類は、この表面をおおって、手ざわりや指どおりを整えます。傷んだ髪ほど油分の多いものが使われるのも、このためです。
リンス類は、髪の表面を整える製品と考えるとわかりやすいです。
洗い流さないタイプは、頭皮を考えて成分の量を変えている
洗い流すタイプと洗い流さないタイプの違いは、陽イオン性界面活性剤の量です。この成分は頭皮への刺激が比較的高いので、つけたままにするものは量を減らし、代わりに油分や保湿剤を増やしているからです。
洗い流さないタイプは、「アウトバストリートメント」と呼ばれます。たとえばヘアオイルは、ジメチルポリシロキサンという大きな分子のシリコーンを主成分に、蒸発しやすい油に溶かしたものです。
洗い流すか、つけたままにするかで、中身の設計が違うと覚えておきましょう。
裏面の表示では、リンスだけが別の区分
パッケージの裏の「種類別名称」では、リンスだけが別の区分で、トリートメントとコンディショナーは同じ区分です。表示の決まりで、名前の並べ方がそうなっているからです。
「ヘアリンス」は独立した種類別名称で、代わりに使える名前は「リンス」だけです。いっぽう、「ヘアトリートメント」「ヘアコンディショナー」「ヘアパック」は、養毛料の代わりに使える名前として同じ行に並んでいます。「ヘアオイル」「ヘアクリーム」「ヘアミルク」は「整髪料」の仲間です。
なお、「養毛料」は昔からある区分名で、「毛が生える」という意味ではありません。毛が生える話は育毛剤と発毛剤の領域です。
まとめ
- リンス・コンディショナー・トリートメントに公的な線引きはなく、使い分けはメーカーごと
- もとはリンスがあり、傷んだ髪向けの「付加価値」としてあとの2つの名前が生まれた
- 技術者の慣用では油分の量で段階があり、トリートメントは「リンスの強い版」
- 主役は陽イオン性界面活性剤。マイナスの髪にプラスで付き、表面をおおって指どおりを整える
- 洗い流さないタイプは、界面活性剤を減らし、油分と保湿剤を増やした設計
名前で選ぶより、「洗い流すか」「どのくらい油分がほしいか」で選ぶ。それだけで、売り場の迷いはかなり減ります。
よくある質問
リンス・コンディショナー・トリートメントはどれを使えばいい?
名前より「洗い流すか」「どのくらい油分がほしいか」で選ぶのがおすすめです。3つの使い分けに公的な決まりはなく、名前はメーカーごとに決めています。基本の働きはどれも、シャンプー後に髪を整えることです。
いちばん油分が多いのはどれ?
化粧品の技術者の慣用では、リンスがいちばん少なく、トリートメント、コンディショナーの順に多くなります。ただし製品名がこの順番どおりとは限らないので、ひとつの目安として受け取ってください。
リンスで髪がなめらかになるのはなぜ?
プラスの電気をもつ成分が、マイナスに帯電した髪の表面に付くからです。この陽イオン性界面活性剤の油になじむ側が外を向いて並ぶので、指どおりがよくなり、静電気も起きにくくなります。
洗い流さないトリートメントは何が違う?
陽イオン性界面活性剤の量を減らした設計です。この成分は頭皮への刺激が比較的高いため、つけたままにするものは量を減らし、かわりに油分や保湿剤を増やしています。
裏面に「養毛料」とあるのは、毛が生えるという意味?
いいえ。養毛料は昔からある区分名で、ヘアトリートメントやヘアコンディショナーも、この区分の代わりに使える名前として並んでいます。毛が生える話は、育毛剤や発毛剤の領域です。
この記事で参照した情報
- 化粧品公正取引協議会 コスメチックQ&A「ヘアリンスとヘアコンディショナー、ヘアトリートメントはどう違うのですか」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約 施行規則」別表1 種類別名称
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「リンス」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「コンディショナー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ヘアコンディショナー」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ヘアリンス(ヘアトリートメント剤)」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「アウトバストリートメント」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「陽イオン性界面活性剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「キューティクル」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛髪」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「シリコーン」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
この記事が入っているテーマ別まとめ