この記事でわかること
- 細胞間脂質がある場所と、その役目
- 約50%を占めるセラミドなどの内訳
- 脂の膜が重なるラメラ構造のしくみ
「細胞間脂質」という言葉、名前からして難しそうで、肌のどこにある何の脂なのか、よくわからないと思いますよね。
結論から言うと、細胞間脂質は、肌のいちばん外側の層で細胞と細胞のすき間を埋めている脂で、そのおよそ半分はセラミドです。脂の膜が何層にもきれいに重なったつくりをしていて、水分を逃がさない壁になっています。何でできていて、どこでつくられ、どんな形をしているのかを順に見ていきましょう。
細胞間脂質は、角層の細胞のすき間を埋める脂
細胞間脂質は、角層(肌のいちばん外側の薄い層)で、平たい細胞どうしのすき間を満たしている脂です。正式には角層細胞間脂質と呼ばれます。角層は細胞を積み重ねてできているので、細胞と細胞のあいだにはすき間があり、そこを脂が埋めています。
角層のつくりは、よくレンガとモルタルにたとえられます。レンガにあたるのが角層の細胞、レンガのあいだを埋めるモルタルにあたるのが細胞間脂質です。細胞間脂質は、角層の重さの約15%を占めます。角層全体のつくりは角層の記事で解説しています。
細胞間脂質は、角層の細胞どうしをつなぐモルタルだと考えるとイメージしやすくなります。
細胞間脂質の約50%はセラミド
細胞間脂質のおよそ50%はセラミドで、次に多いのがコレステロールの約30%です。ほかに、遊離脂肪酸や硫酸コレステロールも含まれます。性質の違う何種類かの脂が、組み合わさってできているのです。
細胞間脂質でいちばん多いのはセラミドです。
セラミドは、スフィンゴシンという部分に脂肪酸がつながった形の脂です。遊離脂肪酸は、炭素が22〜24個つながった長い鎖の飽和脂肪酸が中心で、オレイン酸やリノール酸のような不飽和脂肪酸も少し含まれます。コレステロールは表皮の細胞が自分でつくることができ、膜のやわらかさにかかわる脂です。
細胞間脂質は、セラミドを中心に、コレステロールと脂肪酸が組み合わさった脂です。
細胞間脂質は、顆粒層の細胞がためた脂からできる
細胞間脂質のもとは、角層のすぐ下の顆粒層の細胞が、層板顆粒(脂をためる小さな袋)に用意している脂です。顆粒層の細胞は、角層の細胞に変わるときに、この脂を細胞の外へ出すからです。
脂は主に顆粒層の細胞でつくられ、細胞の中にたくさんある層板顆粒にたくわえられます。細胞が角層へ移る途中で中身が外へ出され、酵素の働きで形を変えながら、角層の細胞のまわりを取り巻くシート状の層になります。
層板顆粒から出た脂が、角層の細胞のすき間を埋めます。
細胞間脂質は、表皮の細胞が角層に変わる流れの中で、前もって用意されている脂なのです。
細胞間脂質は、脂の膜が何層にも重なるラメラ構造をつくる
細胞間脂質は、脂の分子が規則正しく並んだ二重の膜を、何層にも重ねたつくりをしています。このつくりをラメラ構造と呼びます。脂の分子には水になじむ部分と油になじむ部分があり、油になじむ部分どうしを内側に向けて並ぶと、二重の膜になるからです。
脂の分子が頭をそろえて並び、二重の膜が重なります。
重なりの間隔には、約13ナノメートルの長い周期と、約6ナノメートルの短い周期の2種類があります。1ナノメートルは1ミリの100万分の1です。電子顕微鏡で見ると、水になじむ部分が規則正しく並んだところが縞模様に見え、分子の詰まり方にも六方晶と斜方晶という2つの形があります。細胞間脂質は、ただの脂のかたまりではなく、きちんと並んだ膜の重なりなのです。
ラメラ構造は、水分を逃がさない壁になる
ラメラ構造は、角層の水分を逃がしにくくし、外からのものを通しにくくする壁の役目をしています。何層にも重なった脂の膜が、細胞のあいだを切れ目なく満たしているからです。角層のこの働きはバリア機能と呼ばれ、ラメラ構造はその大切な役目を担っています。
ラメラ構造の性質は、セラミド、コレステロール、脂肪酸の割合に左右されると考えられています。3種類の脂がそろった割合で並ぶことで、きれいな重なりができるのです。細胞間脂質は、角層のすき間で水を閉じこめる壁だと覚えておきましょう。
細胞間脂質は、天然保湿因子・皮脂膜と組んで角層の水分を守る
角層では、細胞間脂質がすき間を、天然保湿因子が細胞の中を、皮脂膜が表面を受け持ち、3つで水分を保っています。それぞれの持ち場が違うので、3つがそろって角層のうるおいが保たれるからです。
細胞の中で水を抱える天然保湿因子も、もとをたどると顆粒層の細胞がためていたタンパク質です。細胞間脂質と天然保湿因子は、どちらも顆粒層の細胞が角層に変わる流れの中で用意されます。
細胞間脂質は、表皮の細胞が角層に変わるときに残していく、すき間を守る脂です。
まとめ
- 細胞間脂質は、角層の細胞のすき間を埋める脂で、角層の重さの約15%を占めます
- 約50%はセラミド、約30%はコレステロールで、ほかに遊離脂肪酸などを含みます
- 顆粒層の細胞が層板顆粒にためた脂が、角層に変わるときに外へ出されてできます
- 脂の二重の膜が何層にも重なるラメラ構造をつくっています
- ラメラ構造は、角層の水分を逃がしにくくする壁の役目をしています
細胞間脂質は、角層のレンガをつなぐモルタルです。セラミドは、そのすき間で膜を重ねている脂の主役だと覚えておくと、角層のしくみがぐっと見えてきます。
よくある質問
細胞間脂質と角層細胞間脂質は同じですか?
同じものです。角層の細胞のすき間にある脂なので、正式には角層細胞間脂質と呼ばれます。
細胞間脂質は角層のどのくらいを占めますか?
角層の重さの約15%です。レンガにあたる角層の細胞のあいだを、モルタルのように埋めています。
セラミドは細胞間脂質のどのくらいですか?
約50%です。次に多いのがコレステロールで約30%、ほかに遊離脂肪酸や硫酸コレステロールが含まれます。
ラメラ構造とは何ですか?
脂の二重の膜が何層にも重なったつくりです。重なりの間隔には、約13ナノメートルと約6ナノメートルの2種類があります。
細胞間脂質はどこでつくられますか?
角層のすぐ下の顆粒層の細胞でつくられます。層板顆粒という小さな袋にためられ、細胞が角層に変わるときに外へ出されます。