肌の基礎知識やさしい解説

天然保湿因子をやさしく解説!角層の細胞の中で水を抱える成分とは?

あるコスメオタク・2026.10.22・肌の基礎知識

「天然保湿因子」という言葉を見かけても、肌のどこにある、何でできたものなのか、ピンとこないと思いますよね。

結論から言うと、天然保湿因子は、肌のいちばん外側の層で細胞の中に詰まって水を抱えている、小さな成分の集まりです。いちばん多いのはアミノ酸で、肌の細胞がもともと持っているタンパク質が分解されてできます。どこにあるのか、何でできているのか、どうやってできるのかの順に見ていきましょう。

天然保湿因子は、角層の細胞の中で水を抱える成分の集まり

天然保湿因子は、肌がもともと持っている保湿成分をまとめた呼び名で、角層(肌のいちばん外側の薄い層)の細胞の中で水を抱えています。1つの成分の名前ではなく、水になじみやすい小さな分子がいくつも集まったものです。自然保湿因子とも呼ばれ、英語の頭文字からNMFとも書かれます。

角層は、平たい細胞が何層も重なってできています。天然保湿因子はこの角層の細胞の中に詰まっていて、細胞の重さの約10%、角層の乾いた重さの20〜30%を占めます。角層が水分を保つ3つのしくみの中でも、天然保湿因子の働きがとくに大きいとされています。

天然保湿因子は、角層の3つのしくみのうち細胞の中を受け持ちます。

角層の下の表皮 1 2 3
  1. 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
  2. 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
  3. 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド

角層は、水分を保てているとやわらかさを保てます。天然保湿因子は、角層のやわらかさを細胞の中から支える、水の受け皿なのです。

天然保湿因子の約40%は、遊離アミノ酸

天然保湿因子のいちばん大きな部分は遊離アミノ酸で、全体の約40%を占めます。遊離アミノ酸とは、タンパク質につながらず、1つずつばらばらになったアミノ酸のことです。残りは、ピロリドンカルボン酸、乳酸、尿素、ミネラル類などの小さな分子です。

天然保湿因子のいちばん大きな部分は、遊離アミノ酸です。

遊離アミノ酸 約40% ピロリドンカルボン酸 約8〜10% 乳酸 約8〜10% 尿素 約8〜10% ミネラル類 5%

遊離アミノ酸の中でも多いのはセリンで約36%、次がグリシンで約22%、アラニンが約13%です。ピロリドンカルボン酸は、アミノ酸の一種のグルタミンから角層の中でできる成分で、水を抱える力がとくに高いとされています。

どの成分も、水になじみやすい小さな分子です。天然保湿因子は、アミノ酸を中心に、水を抱える小さな分子が集まったものと覚えておきましょう。

天然保湿因子は、フィラグリンというタンパク質が分解されてできる

天然保湿因子のアミノ酸は、表皮でつくられるフィラグリンというタンパク質が、角層の中でばらばらに分解されてできたものです。そのため、角層のアミノ酸の組み合わせは、フィラグリンをつくっているアミノ酸の組み合わせとほぼ同じです。角層の遊離アミノ酸とその仲間のうち、70〜100%がフィラグリンの分解でできています。

もとになるのは、顆粒層(角層のすぐ下の層)でつくられるプロフィラグリン(フィラグリンの前のかたち)です。プロフィラグリンはケラトヒアリン顆粒という粒にためられ、細胞が角層に変わるときにフィラグリンになります。フィラグリンは、細胞の中のケラチン線維(細胞の形を支える糸のようなタンパク質)と一緒に集まって、平たい角層の細胞をつくります。

細胞が上へ進むにつれて、フィラグリンがアミノ酸に分かれます。

角層の上 アミノ酸に 分かれる 角層の下 ケラチンを 束ねる 顆粒層 プロフィラグリン をためる

まわりが湿っていて乾かない環境では、フィラグリンがアミノ酸に分かれるのは、角層のほぼいちばん表面になります。天然保湿因子は、細胞を形づくる役目を終えたタンパク質が、水を抱える成分に変わったものなのです。

アミノ酸の一部は、角層の中で別の保湿成分に変わる

フィラグリンからできたアミノ酸の一部は、角層の中でさらに形を変えて、別の天然保湿因子になります。角層の中でも、成分を別の形に変える反応が進んでいるからです。

たとえば、グルタミンは水を抱える力の高いピロリドンカルボン酸に、ヒスチジンはウロカニン酸に、アルギニンは尿素とオルニチンに、アスパラギン酸はアラニンに変わります。フィラグリンが分解されてできた成分には、水を抱える働きのほかに、紫外線を吸収する性質もあるとされ、ウロカニン酸はその1つです。

天然保湿因子は、アミノ酸と、アミノ酸から形を変えた成分をまとめた仲間なのです。

天然保湿因子は、表皮の細胞の移り変わりと角層のしくみにつながっている

天然保湿因子は、表皮の細胞が下から上へ移りながら角層の細胞に変わる流れの中でつくられます。もとのプロフィラグリンをためるのは顆粒層の細胞で、その細胞が角層に変わったあとに分解が進むからです。表皮の層ごとの役目は表皮の4層の記事で解説しています。

角層の中では、天然保湿因子が細胞の中で水を抱え、細胞間脂質が細胞のすき間を埋め、表面を皮脂膜がおおっています。細胞間脂質のもとになる脂も、顆粒層の細胞が用意しています。

天然保湿因子は、細胞の中、すき間、表面という3つの持ち場のうち、細胞の中を受け持つ成分です。

まとめ

天然保湿因子は、肌が自分の細胞の材料からつくっている保湿成分です。角層の細胞の中に水の受け皿がある、とイメージしておくと、角層のしくみがぐっとわかりやすくなります。

よくある質問

天然保湿因子とNMFは同じものですか?

同じものです。NMFは英語の呼び名の頭文字で、自然保湿因子と呼ばれることもあります。

天然保湿因子は肌のどこにありますか?

角層の細胞の中にあります。角層の細胞の重さの約10%を占め、細胞の中で水を抱えています。

天然保湿因子でいちばん多い成分は何ですか?

遊離アミノ酸で、全体の約40%です。アミノ酸の中では、セリン、グリシン、アラニンが多く含まれます。

フィラグリンとは何ですか?

天然保湿因子のもとになる、表皮のタンパク質です。顆粒層でプロフィラグリンとしてためられ、角層でケラチン線維と集まったあと、アミノ酸に分解されます。

天然保湿因子の尿素はどうやってできますか?

角層の中で、アミノ酸のアルギニンから尿素ができます。アルギニンが尿素とオルニチンに分かれます。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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