この記事でわかること
- 表情ジワができる流れと、ロイファシルが目をつけたしくみ
- 試された濃さと、その%の読み方
- 化粧品として言える範囲と、成分表示での名前
「ロイファシル配合」と書かれたシワ用の美容液を見かけると、塗るだけで本当に表情ジワに働くのか、何%入っていればいいのか、気になりますよね。
結論から言うと、ロイファシルは、表情ジワのもとになる神経から筋肉への合図に目をつけてつくられたペプチドです。原料として2%入れた製剤でシワが目立ちにくくなったという結果がありますが、化粧品として言えるのは、試験を済ませた製品の「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです。まずは、表情ジワがどうやってできるのかから見ていきましょう。
表情ジワは、筋肉の動きがくり返されて刻まれる
表情ジワは、表情をつくる筋肉が縮む動きがくり返されることで刻まれます。ロイファシルの働き方を知るには、この流れを先に見ておくとわかりやすいです。
顔の筋肉は、神経の末端から出るアセチルコリンという合図の物質を受け取って縮みます。笑う、眉を寄せるといった動きのたびに肌が折りたたまれ、それが何度もくり返されると、目じりや眉間に溝が残るようになります。
表情ジワは、表情をつくる筋肉の動きがくり返されて刻まれます。
つくる
合図が出る
縮む
溝が残る
一方で、角層が乾いてできる浅い小ジワは、筋肉ではなく角層のうるおい不足が原因です。シワの種類によって、原因の場所が違うのです。
表情ジワの原因は、神経から筋肉への合図と、それによる筋肉の動きにあります。
ロイファシルは、神経から筋肉への合図に目をつけたペプチド
ロイファシルは、この合図の流れに働きかけるように考えられたペプチドです。体の中でつくられて痛みを抑える働きをもつ、エンケファリンというペプチドのしくみをまねてつくられたとされています。
ペプチドの研究をまとめた総説では、ロイファシルは神経の外側にある受け取り口を通じて神経の興奮を静め、合図の物質が出る量を減らすことで、表情ジワに働きかけるとされています。よく比べられるアルジルリンは、神経の末端の中で合図の物質を押し出すしくみに働くとされ、シンエイクは筋肉の側の受け取り口に働くとされます。3つとも同じ合図の流れに目をつけていますが、働くとされる場所はそれぞれ別です。
ただし、化粧品として肌に塗ったときに働くのは角層までです。仲間のアルジルリンでは、肌に塗った量の99%超が肌の表面にとどまり、洗い流されたという結果があります。
ロイファシルは、表情ジワの合図のしくみをヒントに設計された成分と受け止めておくのが正確です。
目立った変化が出たのは、原料として2%入れた製剤
ロイファシルの濃さを0.5%、1%、2%と変えて使った試験では、はっきりした変化が見られたのは2%の製剤でした。この結果から、論文の著者たちは、少なくとも2%が必要だとまとめています。
原料として2%入れた製剤で、シワの大きさが平均で小さくなった割合です。
2%の製剤では、眉間のシワの大きさが平均で34.7%、目じりのシワが28.4%小さくなったという結果があります。ここで気をつけたいのは、この%が原料のロイファシルを何%入れたかという数字で、ペプチドそのものの濃さではないことです。ロイファシルの原料は溶液なので、2%は溶液を2%入れたという意味になります。
研究で使われた量には、原料として0.5〜5%の幅があります。美容成分の配合量は、どの濃さで試されたかを手がかりに見るのが基本です。
商品の%を見たら、原料としての量かどうかをまず確かめましょう。
化粧品として言えるのは、乾燥による小ジワまで
ロイファシル入りの化粧品で言えるのは、決められた試験で効果を確かめた製品の「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです。これは成分ではなく、製品ごとの試験で決まります。
ロイファシルは医薬部外品の有効成分ではないので、「シワを改善する」とはうたえません。また、化粧品はもともと薬理作用で効能が認められたものではないため、決められた効能以外の薬理作用による効き目は表現できない、というのが国の広告基準の考え方です。「神経の合図を止める」「筋肉をゆるめる」といった言い方は、この種類にあたります。
小ジワについて書けるのも、日本香粧品学会のガイドラインにもとづく試験などで効果を確かめた製品だけです。年齢によるシワまで含めて、すべてのシワに働くと思わせる表現は禁じられています。化粧品で特定の成分を目立たせて書くときは、有効成分だと誤解されないよう、何のために配合したかを添えることも求められています。
広告の言葉は、化粧品として言える範囲と分けて読むのが安心です。
成分表示では「ペンタペプチド-18」と書かれる
ロイファシルは原料の名前で、日本の成分表示では「ペンタペプチド-18」と書かれます。成分表で探すときは、この名前が目印です。
チロシン、アラニン、グリシン、フェニルアラニン、ロイシンという5つのアミノ酸がつながった、人工的につくられたペプチドです。原料は、このペプチドを水とグリセリンに溶かし、カプリリルグリコールを加えた溶液の形で扱われています。
ほかの新しい化粧品と同じく、使っていて赤みやかゆみが出たら使うのをやめるのが基本です。成分表では、「ペンタペプチド-18」を探せば入っているかがわかります。
「塗るボトックス」と呼ばれても、注射の医薬品とは別もの
ロイファシルが入った商品が「塗るボトックス」と呼ばれているのを見て、同じものだと思う人もいますよね。でも、中身も、使われ方も別ものです。
表情ジワに使う注射のボツリヌス製剤は、毒薬、処方箋医薬品、生物由来製品にあたる医薬品で、講習を受けた医師だけが使います。承認された効能は、65歳未満の大人の眉間または目じりの表情ジワです。化粧品には医薬品の成分を入れてはならないと化粧品基準で決まっているため、ロイファシル入りの化粧品にボツリヌス毒素は入っていません。
「塗るボトックス」は呼び名にすぎず、ロイファシル入りの商品は化粧品として選びましょう。
まとめ
- 表情ジワは、神経からの合図で筋肉が縮む動きがくり返されて刻まれます
- ロイファシルは、エンケファリンのしくみをまねて、この合図に働きかけるように考えられたペプチドです
- はっきりした変化が出たのは原料として2%入れた製剤で、%はペプチドではなく溶液の量です
- 化粧品として言えるのは、試験を済ませた製品の「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです
- 成分表示では「ペンタペプチド-18」。注射のボツリヌス製剤とは別ものです
%の数字を見たときは、何の%なのかを確かめてみてください。それだけで、成分の説明に振り回されにくくなります。
よくある質問
ロイファシルはシワにどう働きますか?
痛みを抑えるエンケファリンのしくみをまねて、表情ジワのもとになる神経から筋肉への合図に働きかけるように考えられたペプチドです。化粧品として言えるのは、試験を済ませた製品の「乾燥による小ジワを目立たなくする」までです。
ロイファシルは何%入っていればいいですか?
0.5%、1%、2%を使った試験では、はっきりした変化が見られたのは2%の製剤でした。この%は原料の溶液を入れた量で、ペプチドそのものの濃さではありません。
ロイファシルとアルジルリンの違いは何ですか?
働くとされる場所が違います。アルジルリンは神経の末端の中で合図を押し出すしくみに、ロイファシルは神経の外側の受け取り口から神経の興奮を静める方向に働くとされています。
ロイファシルは「塗るボトックス」ですか?
呼び名としてそう言われることはありますが、別ものです。注射のボツリヌス製剤は医師が使う医薬品で、化粧品には医薬品の成分を入れられないため、ロイファシル入りの化粧品にボツリヌス毒素は入っていません。
ロイファシルは成分表示でどう書かれますか?
「ペンタペプチド-18」と書かれます。ロイファシルは原料の名前です。
この記事で参照した情報
- Schagen SK. Topical Peptide Treatments with Effective Anti-Aging Results. Cosmetics 2017;4(2):16
- Errante F, et al. Cosmeceutical Peptides in the Framework of Sustainable Wellness Economy. Front Chem 2020;8:572923
- SpecialChem 製品ページ「Leuphasyl® peptide」(Lubrizol)
- Dragomirescu AO, Andoni M, Ionescu D, Andrei F. The Efficiency and Safety of Leuphasyl—A Botox-Like Peptide. Cosmetics 2014;1(2):75-81
- Blanes-Mira C, et al. A synthetic hexapeptide (Argireline) with antiwrinkle activity. Int J Cosmet Sci 2002;24(5):303-310
- Kraeling MEK, et al. In vitro skin penetration of acetyl hexapeptide-8 from a cosmetic formulation. Cutan Ocul Toxicol 2015;34(1)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省 審査管理課長・監視指導・麻薬対策課長通知(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)
- 厚生省「化粧品基準」(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- ボトックスビスタ注用50単位 添付文書(KEGG MEDICUS)
この記事が入っているテーマ別まとめ