肌の基礎知識やさしい解説

肌の水分をやさしく解説!角化細胞とコラーゲン線維が守るうるおいとは?

あるコスメオタク・2026.10.02・更新 2026.10.22・肌の基礎知識

「肌の水分」とよく聞くけれど、肌のどこに、どれくらいの水があるのか、想像しにくいですよね。

結論から言うと、肌の水は深さで大きく違い、いちばん外側の角層の表面は約3割、その下の真皮は約7割が水です。水は真皮の血管から上がってきて、角層を通って空気へ出ていきます。まずは、水がどこにあるのかから見ていきましょう。

肌の水分は、角層の表面で約3割、真皮で約7割

肌の水分は深さで大きく違い、いちばん外側の角層の表面は約3割、奥の真皮は約7割が水です。角層は空気にふれる乾いた層で、その下に水の多い層が続いているからです。

深くなるほど、水分は多くなります。

角層の表面 約30% 角層の15μm下 約65% 真皮 約72〜74%

表面で約30%だった水分は、わずか15μm下では約65%まで増えます。角層の厚さは平均で約0.02ミリ、つまり20μmほどなので、角層の中だけでも、表面から下へ向かって水分が倍以上になります。角層の水分は、測り方や部位、深さによって10〜35%ほどの幅があります。真皮の約72〜74%の水のうち、3割強は、コラーゲン線維と結びついた水です。

「肌の水分」は、乾いた角層と、水の多い下の層に分けて考えるのが基本です。

角層のうるおいの材料は、角層になる手前の角化細胞がつくる

角層のうるおいを守る材料は、角層になる手前の顆粒層(角層のすぐ下の層)で、ケラチノサイトと呼ばれる角化細胞(表皮の大部分をつくる細胞)がつくっています。角層の細胞は、表皮の下で生まれた角化細胞が、上へ押し上げられながら変わったものだからです。

角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで水を保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。くわしくはモイスチャーバランスの記事で解説しています。

2と3の材料は、下の層の細胞がつくります。

角層の下の表皮 1 2 3
  1. 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
  2. 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
  3. 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド

天然保湿因子のもとは、フィラグリンというたんぱく質です。顆粒層の細胞がフィラグリンをつくり、細胞が表皮の層を上がって角層に移る間に、酵素の働きでアミノ酸まで分解されます。細胞間脂質は、顆粒層の細胞の中にある層板顆粒という小さな袋から出てきます。袋の中のセラミドのもとになる脂質が、角層の細胞のすき間に出されたあと、層を重ねたラメラ構造をつくり、水をはさんで蒸発を防ぐ壁になります。

顆粒層には、水の出入りを見張るしくみもあります。顆粒層の2層目の細胞どうしはタイトジャンクション(細胞どうしをすき間なくつなぐ構造)でぴったりつながれていて、内側から外側への水の移動を制限しています。いちばん下の基底層の細胞の膜には、アクアポリン3という水とグリセリンの通り道があります。角層のうるおいは、下の層の細胞が用意した材料で守られているのです。

真皮の水は、線維芽細胞がつくるコラーゲン線維とゼリー状の基質が保つ

真皮の水を保っているのは、線維芽細胞(真皮で線維をつくる細胞)がつくる、コラーゲンの線維とゼリー状の基質です。

真皮は、コラーゲンの線維が網のように張りめぐらされ、そのすき間をヒアルロン酸やプロテオグリカンを含むゼリー状の基質が埋めている組織です。コラーゲンの線維もゼリー状の基質も、真皮に散らばる線維芽細胞がつくっていて、ヒアルロン酸は表皮の角化細胞もつくっています。

役割は分かれています。コラーゲン線維は、引っぱる力に耐えて組織を強くする骨組みで、真皮の70%以上を占めます。ヒアルロン酸とプロテオグリカンは、糖の長い鎖がマイナスの電気を帯びていて、プラスのイオンとともに大量の水を引き込み、ふくらもうとする圧を生みます。この水をたっぷり含んだゲルの中に、コラーゲン線維が埋め込まれているのが真皮の姿です。体のヒアルロン酸の半分以上は皮膚にあり、量は表皮で約0.1mg/g、真皮で約0.5mg/gです。

線維芽細胞の働きは、年齢とともに弱まります。年齢を重ねた人の線維芽細胞では、コラーゲンのもとをつくる量が若い人より約3割少なかったという結果があります。真皮の水は、線維芽細胞がつくる骨組みとゲルが抱えていると覚えておきましょう。

水は血管から上がり、角層から空気へ出ていく

肌の水は、ためてあるだけではなく、真皮の血管から上がって、角層から空気へと、たえず流れています。

水は真皮の血管から上がり、空気へ出ていきます。

血管から
水が届く
真皮で
保たれる
表皮へ
しみ出す
角層から
空気へ出る

血液が運んできた水と栄養は真皮の細胞に届き、表皮にも渡されます。表皮には血管がないので、表皮の細胞は真皮からしみ出してくる水と栄養をもらって生きています。表皮の中では、生きた細胞のある深さから表面に向かって、水の濃さがだんだん薄くなっています。

水の終点は空気です。体の中の水は、自覚のないまま角層を通って空気中へ蒸発していて、この量を経表皮水分蒸散量と呼びます。1平方メートルあたり1時間に、腹や背中、太もも、上腕ではおおよそ5g、頬では約10gです。角層の水は、下から上がってくる水と、上から逃げていく水の途中にある水なのです。

角層の表面の水は、まわりの空気の湿度で変わる

角層のいちばん外側の水分量は、まわりの空気の湿度と、角層が水を保つ働きの両方で決まります。体の中はおよそ70%が水なので、体の外の空気は、肌から見るととても乾いた場所だからです。

角層の深いところは体の中と同じくらいの水を含み、表面に向かうほど水分が減って、いちばん外側では約20〜30%になります。乾いた空気の中では表面の水分量が下がりますが、天然保湿因子があると、その下がり方がおさえられます。

いっぽうで角層は、水にふれると自分の重さの約3倍もの水をたくわえることができます。お風呂のあとに皮膚がふやけてふくらむのは、角層が水を吸った姿です。角層は、体の中の水と外の空気の、さかい目にある層です。

まとめ

肌の水は、真皮の血管から角層の表面まで、深さごとに量も守り手も違います。乾いた角層と、水の多い下の層を分けて考えると、肌のしくみが見えやすくなります。

よくある質問

肌の水分はどこにありますか?

深さで大きく違い、角層の表面は約3割、真皮は約7割が水です。表面で約30%の水分が15μm下では約65%になり、真皮では約72〜74%です。

角層のうるおいは何が守っているのですか?

天然保湿因子と細胞間脂質、表面の皮脂膜です。天然保湿因子と細胞間脂質の材料は、角層になる手前の顆粒層で、角化細胞がフィラグリンや層板顆粒として用意しています。

コラーゲンは水を抱えていますか?

大量の水を引き込むのは、主にヒアルロン酸などのゲルです。コラーゲン線維は引っぱる力に耐える骨組みですが、真皮の水の3割強はコラーゲン線維と結びついた水です。

表皮には血管がありますか?

表皮には血管がありません。表皮の細胞は、真皮の血管からしみ出してくる水と栄養をもらって生きています。

経表皮水分蒸散量とは何ですか?

体の水が、角層を通って空気中へ蒸発していく量です。1平方メートルあたり1時間に、腹や背中、太もも、上腕でおおよそ5g、頬で約10gです。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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