この記事でわかること
- アルガンオイルの中身と、肌の乾燥を防ぐしくみ
- 化粧品用と食用の違い、顔と髪での使い方
- 白髪との関係と、酸化・かぶれなどのデメリット
ヘアオイルやシャンプーの名前でよく見かけるアルガンオイル。髪や顔にどんな効果があるのか、白髪によいという話は本当なのか、迷いますよね。
結論から言うと、アルガンオイルはアルガンという木の実の核からとる植物の油で、肌や髪に油分を補い、乾燥を防ぐために使われます。白髪を防いだり黒くしたりする成分ではありません。まずは、どんな油なのかから見ていきましょう。
アルガンオイルは、オレイン酸とリノール酸が多い植物の油脂
アルガンオイルは、オレイン酸がおよそ半分、リノール酸が3割前後を占める植物の油脂です。アルガンという木の実の、硬い殻の中にある核からとる油で、化粧品の成分表では「アルガニアスピノサ核油」と書かれます。アルガン油と呼ばれることもあります。
化粧品の油の分類では、オリーブ油やシア脂と同じ油脂の仲間で、主成分はグリセリンに脂肪酸が3つ結びついたトリグリセリドです。水素を添加したものは、成分表ではアルガンオイルとは別の成分として扱われます。
アルガンオイルの主な脂肪酸の割合の幅で、濃い部分が下限です。
アメリカの化粧品成分の専門家パネルの報告では、オレイン酸が45〜55%、リノール酸が28〜36%で、残りはパルミチン酸やステアリン酸です。ビタミンEの仲間であるトコフェロールのうち、γ-トコフェロールが多いことも特徴とされています。
アルガンオイルは、不飽和の脂肪酸が多い、さらっとした植物の油と覚えておきましょう。
アルガンオイルは、肌に油分を補って水分の蒸発を防ぐ
アルガンオイルの肌への働きは、表面に油分を補って、角層の水分が蒸発するのを防ぐことです。肌の乾燥は、いちばん外側の角層から水分が逃げて、うるおいが足りなくなることで起きるからです。
角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで、うるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。アルガンオイルは、皮脂膜と同じように表面を油分でおおう側に働きます。
アルガンオイルは肌の表面に油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。
実際に、アルガンオイルを毎晩腕に塗り続けると、肌から蒸発する水分が減り、角層の水分が増えたという結果があります。化粧品の効能の範囲でいえば、「皮膚の水分、油分を補い保つ」「皮膚の乾燥を防ぐ」といった言い方になります。
安全性では、アメリカの専門家パネルが、アルガンオイルを含む植物油を、今の化粧品での使い方であれば安全と結論づけています。アルガンオイルは、油分で水分を守る保湿の油です。
肌に使うなら化粧品用を。焙煎しないぶん酸化しやすい
食べるアルガンオイルもあると聞くと、同じものを肌に塗ってもいいのか迷いますよね。肌や髪に使うなら、化粧品として売られているものを選びましょう。食用と化粧品用は、つくり方も目的も違う別の製品だからです。
食用は核を焙煎してから搾り、化粧品用は焙煎しない核から搾ってつくります。食用は食品として、化粧品用は肌に使う前提で、それぞれ製造・表示されています。
意外なのは、焙煎しない化粧品用のほうが、食用より酸化しやすいことです。高い温度で酸化への強さを比べると、化粧品用は食用より短い時間で傷みはじめたという結果があります。食用のほうが水分が少ないことと、焙煎のときにできる抗酸化物質が理由とされています。酸化しやすいリノール酸が3割前後あることも、傷みやすさにかかわります。
化粧品用は新しいうちに使うのが、アルガンオイルを気持ちよく使うコツです。
顔には化粧水のあとに重ね、メイク落としは専用の製品で
アルガンオイルは油分を補うものなので、顔には化粧水などで水分を与えたあとに重ねます。水分そのものを与えるものではないからです。
使い方は、まず製品に書かれた使い方に従います。顔に塗る順番の表示がない場合は、水っぽいさらっとしたものから油っぽいものへ重ねるのが一般的な目安で、アルガンオイルは油の側に入ります。アメリカで報告された使い道では、アルガンオイルは洗い流さない製品に入っていることが多く、濃度は最大10%でした。
アルガンオイルでクレンジングをしたいと思う人もいるかもしれません。油なのでメイクの油っぽい汚れにはなじみますが、クレンジングオイルの製品には、油のほかに界面活性剤が入っていて、水を加えると洗い流せるようにつくられています。アルガンオイルだけでは水で流れにくいので、メイクを落とすなら、クレンジング用につくられた製品のほうが扱いやすいでしょう。
はじめて使うときは、腕の内側などで少量を試してから顔に使うと安心です。目に入らないようにも気をつけましょう。
髪には、つやを与えて水分と油分を保つ油分として働く
髪の化粧品として言えるのは、「毛髪につやを与える」「毛髪の水分、油分を補い保つ」といった範囲です。アルガンオイルは、ヘアオイルやシャンプー、トリートメントに油分の一つとして入っています。
アルガンオイル入りのシャンプーで汚れを落とすのは、界面活性剤という洗浄成分の働きで、アルガンオイルは洗ったあとの髪にうるおいを補う脇役です。アメリカで報告された濃度も、シャンプーのような洗い流す製品では最大2%と、洗い流さない製品の最大10%より低くなっています。
シャンプーのあとに使う製品は、リンスやコンディショナー、トリートメントの違いでまとめていますが、どれも髪の表面を整える製品です。髪と頭皮について、髪が生える、抜け毛を防ぐといった働きは、医薬部外品や医薬品の領域の話です。
ヘアオイルの量やつける場所は製品の表示に従い、まずは少量から使いましょう。
白髪は毛根で起きるので、白髪を染めるのは染毛剤や染毛料
アルガンオイルが白髪によい、という話を見かけると気になりますよね。でも、アルガンオイルを塗って白髪が減る、黒くなるとは言えません。白髪の原因は、髪の表面ではなく、毛根の中にあるからです。
白髪は、主に年齢を重ねるとともに現れます。毛根の毛母という部分には、メラノサイトという色素をつくる細胞があります。この細胞が減ったり、メラニンをつくる力が落ちたりして、髪のメラニンが減る、またはなくなると、色が抜けて白髪になります。
白髪は、髪の表面ではなく毛根で起きる変化です。
重ねる
メラニンが減る
白髪になる
アルガンオイルが働くのは、髪の表面です。白髪に色を入れるのは、医薬部外品の染毛剤や、化粧品の染毛料の働きです。アルガンオイル配合と書かれた白髪染めでも、色を入れているのは染料で、アルガンオイルは髪の手ざわりのための配合成分の一つという位置づけです。
染毛剤の染料にはかぶれを起こしやすいものがあるので、使う前の注意書きをよく読み、かぶれたことがある人は医師に相談しましょう。
デメリットは酸化とまれなかぶれ。ナッツアレルギーなら医師に相談
アルガンオイルのデメリットは、酸化しやすさと、まれなかぶれやアレルギーです。化粧品用は焙煎しないぶん食用より傷みやすく、また植物の油なので、肌に合わない人もいるからです。
保管は、高温や直射日光を避けます。開封後は早めに使い切り、においや色が変わったら使わないことが大切です。
アルガンオイルは酸化しやすいので、開封後は早めに使い切ります。
直射日光を避ける
使い切る
変わったら
使わない
かぶれでは、化粧品用のアルガンオイルを毎日頭皮に塗っていて湿疹が出た例があり、乳児の例を含め、ほかにも報告があります。赤みやかゆみが出たら使うのをやめ、続くときは皮膚科に相談しましょう。
アルガンは、シアと同じアカテツ科の植物です。アルガンの粉末のたんぱく質の一部が、ヘーゼルナッツのアレルゲンと交差反応したという結果があります。ナッツのアレルギーがある人は、使う前に医師に相談すると安心です。
まとめ
- アルガンオイルはアルガンの木の実の核からとる油脂で、成分表では「アルガニアスピノサ核油」と書かれます。オレイン酸がおよそ半分、リノール酸が3割前後です
- 肌の表面に油分を補い、角層の水分の蒸発を防ぎます。化粧品として言える効果は、油分を補い乾燥を防ぐ範囲です
- 肌や髪には化粧品用を使います。化粧品用は焙煎しないぶん酸化しやすいので、開封後は早めに使い切ります
- 髪には、つやを与え、水分と油分を保つ油分として働きます。シャンプーで汚れを落とすのは洗浄成分です
- 白髪は毛根で起きるので、色を入れるのは染毛剤や染毛料です。まれなかぶれもあり、ナッツアレルギーなら医師に相談します
アルガンオイルは、肌や髪に油分を補い、つやとうるおいを与える植物の油です。化粧品として売られているものを、新しいうちに表示どおりに使ってみてください。
よくある質問
アルガンオイルとはどんなものですか?
アルガンの木の実の核からとる植物の油脂です。化粧品の成分表では「アルガニアスピノサ核油」と書かれ、オレイン酸がおよそ半分、リノール酸が3割前後を占めます。肌や髪に油分を補い、乾燥を防ぐために使われます。
アルガンオイルの効果は?髪やシャンプーではどうですか?
化粧品として言えるのは、油分を補い乾燥を防ぐ範囲です。髪には、つやを与え、水分と油分を補い保つ目的で使われます。シャンプーで汚れを落とすのは洗浄成分で、アルガンオイルはうるおいを補う脇役です。
アルガンオイルは白髪に効きますか?
アルガンオイルで白髪が減る・黒くなるとは言えません。白髪は、毛根でメラニンをつくる細胞が減ったり、メラニンをつくる力が落ちたりして起きます。白髪に色を入れるのは、医薬部外品の染毛剤や化粧品の染毛料の働きです。
アルガンオイルの使い方は?クレンジングにも使えますか?
使い方は製品の表示に従うのが基本です。顔に塗る順番の表示がなければ、水っぽいものから油っぽいものへ重ねるのが目安です。メイクにはなじみますが、アルガンオイルだけでは水で流れにくいので、メイク落としにはクレンジング用の製品のほうが扱いやすいでしょう。
アルガンオイルのデメリットは?ナッツアレルギーでも使えますか?
酸化しやすさと、まれなかぶれやアレルギーです。アルガンの粉末のたんぱく質がヘーゼルナッツのアレルゲンと交差反応したという結果があるため、ナッツのアレルギーがある人は使う前に医師に相談しましょう。開封後は早めに使い切ります。
この記事で参照した情報
- Burnett CL, et al. Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils. Int J Toxicol 2017;36(3_suppl):51S-129S
- Gharby S, Charrouf Z. Argan Oil: Chemical Composition, Extraction Process, and Quality Control. Front Nutr 2022;8:804587
- Qiraouani Boucetta K, et al. Skin hydration in postmenopausal women: argan oil benefit with oral and/or topical use. Prz Menopauzalny 2014;13(5):280-288
- Kerre S. Allergische contactdermatitis veroorzaakt door arganolie. Ned Tijdschr Dermatol Venereol 2019;29(2)
- Paris C, et al. First evidence of occupational asthma to argan powder in a cosmetic factory. Allergy 2016;71(4):550-555
- Altmeyers Enzyklopädie「Argan oil」(アルガンオイルのアレルギーの項)
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「白髪」
- 国民生活センター「くらしの危険」No.392(2026年7月)
- 大阪府「化粧品の効能の範囲」(平成12年12月28日 厚生省医薬安全局長通知、平成23年7月21日 改正)