使い方と選び方やさしい解説

美顔器とは|EMS・RF・LEDの仕組みと、雑貨と医療機器の線引き・使うときの注意

あるコスメオタク・2026.10.07・更新 2026.10.21・使い方と選び方
肌の悩みエイジング

美顔器は値段も高めなので、本当に効果があるのか、毎日使っても大丈夫なのか、買う前に気になりますよね。

結論から言うと、美顔器の多くは医療機器ではない雑貨で、言えるのは「肌のキメを整える」など化粧品と同じ範囲までです。化粧品の延長にある道具として期待しすぎずに使い、首に当てないなどの注意を守ることが大切です。まずは、美顔器のしくみから見ていきましょう。

美顔器は、電気・光・熱を肌に当てる家庭用の機器

美顔器は、顔の肌に電気や光、熱を当てる家庭用の機器で、何を当てるかによって方式が分かれます。よく見かけるのはEMS・RF・LEDの3つで、ほかに微弱電流、イオン導入、超音波・温冷を合わせた6つがおもな方式です。

よく見かける3つの方式は、肌に当てるものがそれぞれ違います。

EMS

電気で
筋肉を縮ませる

RF

電気の抵抗で
肌を温める

LED

決まった色の
光を当てる

EMSは、筋肉のしくみを使う方式です。筋肉はふだん、神経から届く電気の信号で縮みます。EMSは外から電気を流して、筋肉を直接縮ませます。RFは高周波やラジオ波とも呼ばれ、高周波の電流を肌に流すと、皮膚の電気抵抗によって熱が生まれ、肌が温まります。LEDは、決まった色の光を肌に当てる方式です。

電気を使う方式はほかにもあります。微弱電流は、ごく弱いパルス電流を流して、肌の表面に電場をつくるものです。イオン導入は、弱い電流を使って化粧品の成分を肌のいちばん外側の角層まで届けようとする方式で、汚れを浮かせて落とす導出の機能をもつものもあります。超音波を使うものや、温めたり冷やしたりする温冷式もあり、温冷式は冷やすことで肌を引き締めるとされています。

名前が似ているHIFUは、超音波を皮膚の数ミリ深くに集めて高温にするもので、美顔器の仲間ではなく医療の施術です。医師が行うのでなければ医師法違反とされ、美容目的で国に承認されたHIFUの機器も、2023年3月の時点でありませんでした。

美顔器は、電気・光・熱のどれを当てるかで見分けると整理しやすくなります。

雑貨の美顔器が言えるのは、化粧品と同じ範囲まで

市販の美顔器の大半は、承認も認証も受けていない雑貨で、表示できるのは化粧品に認められた効能と同じ程度までです。医療機器かどうかは、何を目的にした機械かで決まるからです。

法律で医療機器とされるのは、病気の診断や治療、予防に使うことや、体の構造や機能に影響を与えることを目的とした機械器具です。美容の器具では、シミやそばかすを取る、たるみを引き締めて小顔にする、血行をよくする、新陳代謝を促す、毛根に働いて半永久的に脱毛するといった目的のものが医療機器に当たります。反対に、体の構造や機能に影響を与えず、洗顔や化粧品を塗る動作の代わりになる程度のものは医療機器に当たりません。

そのため、雑貨の美顔器が言えるのは、肌のキメを整える、肌を滑らかに保つ、といった範囲です。「たるみを引き締める」「小顔にする」は医療機器の効能に当たるので、雑貨の美顔器には書けません。承認や認証を受けていない医療機器の名称や効能を広告することは法律で禁じられていて、違反すると2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方が科されます。この禁止は化粧品の広告のルールと同じく「何人も」が対象で、売る会社だけでなく、紹介する人にも及びます。

表示についての処分もあります。消費者庁は2020年3月、EMSのベルトやRFのローラーについて、使った部位のサイズダウンの表示に、景品表示法に基づく措置命令を出しました。会社が出した資料は表示の合理的な根拠とは認められず、「結果には個人差があり、効果を保証するものではありません」といった打消しの文があっても、消費者が表示から受ける印象を打ち消すものではないとされました。

「小顔」「サイズダウン」といった言葉を見たら、雑貨の美顔器に言える範囲を超えていないかを思い出してください。

家庭用の医療機器の効能は、肩のこりなど美容以外のもの

家庭で使う医療機器として認められている効能は、肩のこりなど美容以外のものです。医療機器には一般的名称という決まった名前の一覧があり、家庭用の名前は治療器やマッサージ器ばかりだからです。

一覧には、家庭用低周波治療器、家庭用高周波治療器、家庭用赤外線治療器、家庭用温熱治療器、家庭用電気マッサージ器といった名前が並んでいますが、家庭用美顔器という名前はありません。電気で筋肉を刺激する機器を医療機器として出す場合は家庭用低周波治療器になり、認められる効能は筋肉のこりなどです。

たとえば、高周波の方式で管理医療機器の認証を受けた家庭用の機器もありますが、その効能は「肩の凝りの改善に用いること」です。たるみや小顔、しわといった美容の効能で承認や認証を受けた家庭用の機器はありません。

医療機器の認証があっても、認められた効能はその名称の範囲までで、顔に効くという意味にはなりません。

効果は、化粧品の延長として期待するのがちょうどいい

高いお金を出すなら、目に見える変化を期待したくなりますよね。でも、美顔器の効果は、化粧品の延長として期待するのがちょうどいいと考えておきましょう。法律の上で言えるのが化粧品と同じ範囲までで、研究でよく引かれる結果も、家庭用とは違う装置のものだからです。

たとえば、赤い光を当てる装置を使うと、肌の表面の粗さや小ジワの見た目がよくなったという結果があります。ただ、これはサロンで使う全身用の装置の結果で、家庭用のマスクとは装置も光の量も違います。また、顔用の家庭用美容機器の研究で報告された副作用は、一時的な赤みと腫れでした。

美顔器は、肌のキメを整える手入れのひとつとして、ほかのスキンケアと同じくらいの気持ちで使うのがおすすめです。

いちばん気をつけたいのは、首に当てないこと

美顔器を使うときにいちばん気をつけたいのは、首のまわりに押し当てたり装着したりしないことです。首には脈や血圧を調整する神経が通っていて、電気の刺激で倒れることがあるからです。

首には脈や血圧を調整する神経が通っているので、入り口の「首に当てる」を避けることが大切です。

首に
当てる
神経に
刺激が届く
血圧が
下がる
めまいで
倒れる

消費者安全調査委員会は、首に電気の刺激が届くと、脈が遅くなったり血管が広がったりして血圧が下がり、脳に血が足りなくなる脳貧血が起きるおそれがあるとみています。首の付け根の近くを外から強く押すことも、同じような反応につながるおそれがあります。

実際に、たるみの対策としても使われるヘッドホン型のEMS美顔器を首の両側にはさむように装着した人が、動かしてから10秒ほどで突然めまいのような状態になり、その場に座り込むように倒れて吐き気を催した事故がありました。委員会は2024年4月、同じ事故が繰り返されるおそれがあるとして、首付近に美顔器を押し当てたり装着したりしないよう呼びかけています。

フェイスラインに使うときも、首のほうまで下ろさないことを習慣にしておくと安心です。

あざ・やけどを防ぐには、時間と回数を守る

あざややけどを防ぐには、取扱説明書の使用時間や回数、方法を守ることが基本です。使い方を守らないと、痛みやあざ、炎症が出ることがあるからです。

東京都消費生活総合センターは2025年4月、EMS美顔器を使った部分に痛みが出てあざができた例を挙げ、かゆみや炎症、頭痛が出ることがあり、ひどい場合はあざややけどになってよくなるまで1か月以上かかった例もあると注意を出しました。異常を感じたらすぐに使うのをやめて医師の診察を受けること、通電したあとは返品できないことが多いことも挙げられています。

痛みやヒリつきを感じたら、がまんして続けずにやめるのがいちばんの予防です。

使えない人と当てない部位は、取扱説明書で確かめる

使ってはいけない人や部位は、製品ごとの取扱説明書で決められているので、使う前に一度読んでおきましょう。体の状態や当てる場所によっては、電気や熱が思わぬ負担になるからです。

美顔器を安全に使うための4つの手順です。

説明書を
読む
首やのどに
当てない
時間と
回数を守る
異常なら
やめる

取扱説明書で使えない人として、複数の製品に共通して挙げられているのは、ペースメーカーなど体内に植え込んだ医療機器を使っている人、心臓の病気がある人、妊娠中から産後の人、皮膚の病気やアトピー性皮膚炎、皮膚のアレルギーがある人、形成手術や美容医療の施術を受けたあとの人です。当てない部位としては、眼球やまぶた、のど、体内に金属を埋め込んでいる部位、骨折している部位などが挙げられ、顔用の機器は顔のお手入れだけに使うことになっています。

自分が使ってよいか迷うときは、使う前に医師に相談してから始めましょう。

まとめ

美顔器は、法律の上でも化粧品の延長にある道具です。できることの範囲を知り、首に当てないなどの注意を守って、無理のない期待で使ってみてください。

よくある質問

美顔器の種類は何がありますか?EMS・RF・LEDの違いは?

おもな方式は、EMS、RF、LED、微弱電流、イオン導入、超音波・温冷の6つです。EMSは電気で筋肉を縮ませる方式、RFは高周波の電流を流して皮膚の電気抵抗で生まれる熱で肌を温める方式、LEDは決まった色の光を肌に当てる方式です。

美顔器は効果がありますか?

雑貨の美顔器で言えるのは、肌のキメを整えるなど化粧品と同じ範囲までです。赤い光の装置で肌の表面の粗さがよくなったという結果もありますが、サロン用の全身の装置の結果なので、化粧品の延長として期待するのがちょうどいいでしょう。

美顔器は意味ないと言われるのはなぜですか?

法律の上で、化粧品と同じ範囲までしか言えない機器だからです。市販の美顔器の大半は承認も認証も受けていない雑貨で、表示できるのは肌のキメを整えるなど化粧品に認められた効能と同じ程度までです。

美顔器で小顔になったり、たるみを引き締めたりできますか?

雑貨の美顔器にそうした効能は書けません。たるみを引き締めて小顔にするのは医療機器の効能に当たり、美容の効能で承認や認証を受けた家庭用の機器はありません。認証のある家庭用の高周波機器の効能も「肩の凝りの改善」です。

美顔器は危険ですか?首に当ててはいけないのはなぜですか?

首には脈や血圧を調整する神経が通っていて、電気の刺激で血圧が下がり、めまいで倒れることがあるからです。首の両側に装着して約10秒後に倒れた事故があり、消費者安全調査委員会が首付近に押し当てたり装着したりしないよう呼びかけました。ペースメーカーなど体内の医療機器がある人や心臓の病気がある人、妊娠中の人は、取扱説明書で使えない人とされています。

この記事で参照した情報

この記事が入っているテーマ別まとめ

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

ひとことメモ:仕上がりや使用感には個人差があります。記載内容はブランドが公表している情報、および実際に使用した際の内容に基づくものです。

自分の肌タイプに合う成分は?7つの質問で、肌の傾向と合う成分・製品の解説がわかります1分チェック → ← トップページに戻る