この記事でわかること
- コラーゲン線維の形と、真皮での役割
- 真皮のコラーゲンの種類と割合
- つくられ方と、約15年かかる入れかわり
コラーゲンという名前はよく聞くけれど、肌の中でどんな形をしていて、何をしているのかまでは、なかなかイメージしにくいですよね。
結論から言うと、コラーゲン線維は、真皮の中で肌を支える丈夫なロープのような線維です。真皮の線維の90%以上を占め、引っぱる力に強いのが特徴です。形、種類、つくられ方、入れかわり方の順に見ていきましょう。
コラーゲン線維は、真皮を支える丈夫なロープ
コラーゲン線維は、真皮の線維の90%以上を占める、真皮の骨組みです。真皮の乾燥重量(水分を除いた重さ)でみても、約70〜75%がコラーゲンです。
コラーゲンは、体の組織どうしをつなぐ結合組織の主なたんぱく質で、体のたんぱく質全体の約25%を占めます。皮膚では、真皮と、表皮と真皮の境目にある基底膜(表皮と真皮をつなぐ薄い膜)にあります。コラーゲン線維は膠原線維とも呼ばれ、真皮のほぼ全体に、からみ合ってうねるように広がっています。
性質は、引っぱる力に強く、あまり伸びないことです。皮膚を支える役目は、伸び縮みするエラスチン線維と分担しています。コラーゲン線維は、皮膚の強さを受けもつ線維です。
3本の鎖のらせんが集まって、太い線維の束になる
コラーゲン線維は、小さな分子が何段階も集まってできた線維です。1本のロープが、細い糸をより合わせてできているのと似ています。
いちばん小さな単位は、3本の鎖がゆるくより合わさった、らせん形の分子です。鎖には、グリシンというアミノ酸が3つに1つの割合でくり返し並び、残りの位置の約30%はプロリンなどのアミノ酸です。この分子が、長さの4分の1ずつずれながら規則正しく並んで、細線維(ごく細い線維)になります。ずれて並ぶため、電子顕微鏡で見ると67ナノメートルごとの縞模様が見えます。
コラーゲン線維が組み上がる段階。
真皮の太い束は、太さ2〜15マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)です。コラーゲン線維は、分子・細線維・線維・束の4段階で組み上がっています。
真皮のコラーゲンは、約8割がI型
真皮のコラーゲンは、I型が約80%、III型が約15%を占めます。コラーゲンにはたくさんの種類があり、場所ごとに合った種類が使われているからです。
真皮のコラーゲンの種類の割合。
コラーゲンは、I型、II型のようにローマ数字で呼ばれ、約28種類あります。真皮では、I型とIII型の残りの大部分はV型です。I型が中心の太い線維は、骨や腱のように強さが必要な場所と、真皮の網状層にあります。III型とV型を多く含む比較的細い線維は、血管や真皮の乳頭層のように柔軟さが必要な場所にあり、I型の線維の太さを調節しています。
線維にならない種類もあります。基底膜には、シートのような形をつくるIV型があり、線維芽細胞と、表皮のケラチノサイト(表皮の大部分をつくる細胞)の両方がつくっています。真皮を支える太い線維の中心は、いちばん多いI型です。
線維芽細胞が材料をつくり、細胞の外で線維に組み上がる
コラーゲンは、おもに真皮の線維芽細胞(真皮で線維をつくる細胞)がつくっています。ただし、細胞の中でできるのは材料までで、線維に組み上がるのは細胞の外です。
細胞の中では、まずコラーゲンの鎖のもとがつくられ、プロリンとリシンというアミノ酸の一部に、水酸基(酸素と水素が1つずつ結びついたもの)が付けられます。こうしてできたプロコラーゲン(コラーゲンの1つ前の形)が、細胞の外に送り出されます。
細胞の外では、酵素が両端の余分な部分を切りとって、コラーゲン分子になります。分子は規則正しく集まり、分子どうしをつなぐ架橋(分子のあいだにかかる橋)をつくって細線維になります。細線維が結びついて束になったものが、コラーゲン線維です。材料は細胞の中、組み立ては細胞の外、と覚えておきましょう。
皮膚のコラーゲンは、約15年で半分が入れかわる
皮膚のコラーゲンは、つくられては分解されながら、とてもゆっくり入れかわっています。コラーゲンはふつうのたんぱく質分解酵素では切れず、分解できる酵素が限られているからです。
コラーゲンを分解するのは、コラゲナーゼやMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ。コラーゲンなどを分解する酵素の仲間)です。熱で形がくずれてゼラチンになると、ふつうの酵素でも分解されるようになります。
体のコラーゲンが入れかわる速さを調べた研究では、皮膚のコラーゲンは約15年で半分が入れかわる計算になり、軟骨のコラーゲンの約117年よりずっと速い、という結果があります。
コラーゲンの半分が入れかわる年数。
年齢とともに、真皮のコラーゲン線維は細くなり、量も減っていきます。真皮のコラーゲンの量は、つくる働きと分解する働きのバランスで保たれています。
エラスチン線維や線維芽細胞と組んで、真皮をつくる
コラーゲン線維は、エラスチン線維や線維芽細胞と組になって、真皮をつくっています。強さはコラーゲン線維、弾力はエラスチン線維と、役目を分けているからです。
線維の並び方を調べた研究では、コラーゲン線維は網の目のように交差して並び、エラスチン線維はその束に沿って同じ向きに走っていた、という結果があります。
コラーゲン線維をつくる線維芽細胞は、まわりをコラーゲン線維に囲まれ、ほかの細胞とはあまり接していません。そのぶんコラーゲン線維と結びついていて、線維の状態が、細胞が物をつくる・分解する・増えるといった働きに大きくかかわります。真皮の中で、線維と細胞はおたがいに影響し合っています。
まとめ
- コラーゲン線維は膠原線維とも呼ばれ、真皮の線維の90%以上を占める、引っぱる力に強い線維です
- 3本の鎖のらせん形の分子が、細線維、線維、束へと組み上がっています
- 真皮のコラーゲンは、I型が約80%、III型が約15%です
- 線維芽細胞が材料をつくって外へ送り出し、細胞の外で線維に組み上がります
- 皮膚のコラーゲンは約15年で半分が入れかわり、コラゲナーゼなどの酵素で分解されます
ロープのようなコラーゲン線維は、つくられては分解されながら、長い時間をかけて肌を支えています。
よくある質問
コラーゲン線維とは?
真皮の線維の90%以上を占める丈夫な線維です。たんぱく質のコラーゲンでできていて、膠原線維とも呼ばれます。
コラーゲンとコラーゲン線維のちがいは?
コラーゲンはたんぱく質の名前で、それが集まった線維がコラーゲン線維です。らせん形のコラーゲン分子が細線維になり、さらに集まって線維になります。
真皮のコラーゲンは何型が多い?
I型が約80%で、いちばん多い種類です。次に多いのがIII型で約15%、残りの大部分はV型です。
コラーゲン線維はどこでつくられる?
材料は、真皮の線維芽細胞の中でつくられます。細胞の外に送り出されてから、規則正しく集まって線維に組み上がります。
皮膚のコラーゲンはどのくらいで入れかわる?
約15年で半分が入れかわる、という研究結果があります。軟骨のコラーゲンの約117年に比べると、ずっと速い入れかわりです。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会 化粧品用語集「コラーゲン」
- 日本化粧品技術者会 化粧品用語集「コラーゲン線維」
- 日本化粧品技術者会 化粧品用語集「真皮」
- 日本化粧品技術者会 化粧品用語集「線維芽細胞」
- 北海道大学 皮膚科学教室 公開資料「皮膚の構造と機能」1章 真皮
- 日本原子力研究開発機構 原子力百科事典ATOMICA「真皮」
- Verzijl N, et al. Effect of collagen turnover on the accumulation of advanced glycation end products. J Biol Chem 2000
- 京都大学「刺しゅう枠で皮膚の線維構造を解明 コラーゲンと弾性線維の網目構造」2019年