この記事でわかること
- 肌のコラーゲンがある場所と、塗るコラーゲンが角層でしていること
- 成分表のコラーゲンの名前の違い
- 飲むコラーゲンが吸収されるまでと、選ぶときの注意
「コラーゲン配合」の化粧品や、コラーゲン入りのドリンクを見ると、塗ったり飲んだりすれば肌のコラーゲンを補えるのか、気になりますよね。
結論から言うと、塗るものも飲むものも、そのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。塗るコラーゲンは角層の表面で水分を抱える保湿成分で、飲むコラーゲンはおなかで小さく分けられてから吸収される食品です。
肌のコラーゲンは、真皮でハリを支える線維
肌のコラーゲンは、角層よりずっと下の真皮で、線維になって肌を支えているタンパク質です。体の全タンパク質のおよそ4分の1を占め、真皮では線維芽細胞という細胞がつくっています。3本の鎖がよじれた棒のような分子が集まって太い線維になり、真皮では約8割がI型、1割強がIII型と呼ばれる種類です。
真皮の7割以上はコラーゲンで、化粧品が働く角層よりずっと下にあります。
肌の断面
真皮を拡大すると
- コラーゲンの線維
- 線維をつくる細胞(線維芽細胞)
この線維は、年齢や紫外線で変わります。紫外線でコラーゲンを分解する酵素が増えたり、コラーゲンどうしのつながりが増えて溶けにくくなったりすると弾力が失われ、しわのでき方に関わると考えられています。肌のコラーゲンの悩みは、角層ではなく真皮で起きているのです。
塗るコラーゲンは、角層の表面で水分を抱える保湿成分
化粧品のコラーゲンの役目は、角層の表面で水分を抱えて、うるおいを保つことです。コラーゲンは分子量が約30万もある大きな分子で、肌の中へは入らず、表面に膜のように広がってとどまるからです。
角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすきまを埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っていて、細胞間脂質の約50%はセラミドです。このバランスが崩れると水分が逃げて乾燥するので、塗ったコラーゲンは表面で水分を抱えて、うるおいを保つ側から支えます。
大きなコラーゲンは中へ入らず、角層の表面で水分を抱えます。
乾いた角層
コラーゲンを塗ったあと
- 塗ったコラーゲン
- 角層の細胞
- 水分
皮膚から入りやすいのは分子量がおよそ500未満のもの、という目安がよく使われます。約30万のコラーゲンが真皮まで届いて、肌のコラーゲンの代わりになるわけではありません。化粧品として言えるのは「肌にうるおいを与える」「肌を保護する」「肌にはりを与える」などの範囲で、シワについては「乾燥による小ジワを目立たなくする」まで、この表示には決められた効能評価の試験が必要です。塗るコラーゲンは、ほかの保湿成分と同じように、うるおいのために選ぶものです。
成分表のコラーゲンは、作り方で名前が変わる
成分表に水溶性コラーゲン、アテロコラーゲン、加水分解コラーゲンなどいろいろな名前があって、どれがいいのか迷う人は多いと思います。名前の違いは主に作り方の違いで、小さいほどよいわけではありません。
名前の違いは作り方の違いで、小さいほどよいわけではありません。
アテロコラーゲンは大きい分子のまま肌の保護や保湿に使われ、加水分解コラーゲンは肌の保湿や、髪にやわらかさを与える目的で入っています。分子量1万ほどまで分けたものは、主に髪の化粧品でしっとりさせるために使われます。小さくすれば真皮まで届く、と考えたくなりますが、化粧品でいう「浸透」は角層までの話です。化粧品業界の広告の自主的な決まりでも、浸透と書くときは角質層までであることをはっきり示すよう求めています。名前を見たら、作り方の違いと読んでおけば十分です。
飲むコラーゲンは、分解されてから吸収される
飲んだコラーゲンは、そのままの形で肌へ運ばれるわけではありません。食べたタンパク質は、おなかで消化酵素によってアミノ酸や、アミノ酸が数個つながったペプチドに分けられてから吸収されるからです。
飲んだコラーゲンは、大きいままではなくアミノ酸やペプチドとして吸収されます。
おなかで小さく切られる
小腸から吸収される
- コラーゲン
- アミノ酸
- ペプチド
ドリンクやサプリメントによく入っている「コラーゲンペプチド」は、あらかじめ小さく分けたものです。肌への働きは結果が分かれていて、皮膚の弾力がよくなったという結果がある一方で、皮膚の水分量やシミ、シワには差が見られなかったという結果や、多くの試験をまとめると信頼性の高い試験ほど差が見られなかったという結果もあります。飲むコラーゲンは、肌のコラーゲンを直接補うものではない食品として見ておくと落ち着いて選べます。
機能性表示食品は、国の審査を受けない届出制
機能性表示食品と書いてあると、国のお墨つきだと思いますよね。でも、機能性表示食品は、国の審査を受けない届出制です。会社が科学的根拠を消費者庁に届け出て、自分の責任で表示するしくみで、国が審査して許可するトクホとはここが違います。
届け出た科学的根拠は、消費者庁のウェブサイトで誰でも見られます。たくさんとれば効果が大きくなるものではなく、食生活は主食・主菜・副菜を基本にバランスをとることが大切です。届出制であることを知ったうえで、表示を読みましょう。
飲むなら、アレルギーに気をつける
飲むコラーゲンでいちばん気をつけたいのは、アレルギーです。コラーゲンの飲料やサプリメントでアレルギーを起こしたという報告があり、重いアナフィラキシーの例も複数報告されています。もともとアレルギー体質の人のほか、コラーゲン入りの保湿クリームなどを使っていた人の例もあります。
飲んだあとに体調の変化を感じたら、すぐに飲むのをやめて医師に相談してください。塗るコラーゲンで「ハリや弾力を取り戻す」「真皮に届く」といった言葉を見かけたら、化粧品で言える範囲を超えていないかを確かめましょう。飲むなら体調の変化に、塗るなら言葉の範囲に、それぞれ気をつけると安心です。
まとめ
- 肌のコラーゲンは真皮でハリを支える線維で、紫外線や年齢で弾力が失われます
- 塗るコラーゲンは大きな分子で、角層の表面で水分を抱え、うるおいを保ちます
- 成分表の名前の違いは作り方の違いで、化粧品の「浸透」は角層までです
- 飲むコラーゲンはアミノ酸やペプチドに分けられて吸収され、肌への働きの結果は分かれています
- 機能性表示食品は国の審査がない届出制で、飲むものにはアレルギーの報告があります
コラーゲンは、塗るなら角層のうるおいのための保湿成分、飲むなら結果が分かれている食品、と分けて考えると選びやすくなります。保湿のしくみは角層の記事でくわしく解説しています。
よくある質問
コラーゲンを塗ると肌のコラーゲンは増えますか?
増えるわけではありません。塗るコラーゲンは分子量約30万の大きな成分で、角層の表面にとどまって水分を抱え、うるおいを保つ保湿成分です。
飲んだコラーゲンは肌のコラーゲンになりますか?
そのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。消化酵素でアミノ酸やペプチドに分けられてから吸収されます。
飲むコラーゲンに肌への効果はありますか?
結果は分かれています。皮膚の弾力がよくなったという結果がある一方、皮膚の水分量やシミ、シワには差が見られなかったという結果もあります。
コラーゲンの機能性表示食品は国が認めたものですか?
国が審査したものではありません。機能性表示食品は、会社が科学的根拠を消費者庁に届け出て表示する届出制で、トクホとは違います。
低分子のコラーゲンなら真皮まで届きますか?
化粧品でいう浸透は角層までの話です。小さく分けた加水分解コラーゲンも、化粧品では肌の保湿や髪をやわらかくするために入っています。
この記事で参照した情報
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「コラーゲン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「コラーゲン線維」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「可溶性コラーゲン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「加水分解コラーゲン」
- 山川育生「副生物利用 : コラーゲンの利用例」北海道大学大学院農学研究科技術部研究・技術報告 11, 4-7(2004)
- 国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「コラーゲン」(2020年8月)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- 日本化粧品工業会 適正広告研究部会資料(京都府掲載)
- 消費者庁「機能性表示食品について」
- Bos JD, Meinardi MM. The 500 Dalton rule for the skin penetration of chemical compounds and drugs. Exp Dermatol 2000;9(3):165-169
- Myung SK, Park Y. Effects of Collagen Supplements on Skin Aging: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Am J Med 2025;138(9):1264-1277(抄録)
- 高研「化粧品事業 -FEATURE- コラーゲンとは?」(メーカーの説明、2021年9月)
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