この記事でわかること
- 真皮の場所と厚さ、表皮・角層とのちがい
- 乳頭層と網状層、それぞれのつくり
- 真皮をつくる線維・基質・細胞
「真皮」という言葉はよく聞くけれど、肌のどこにあって、何でできているのかは、ぼんやりしていると思いますよね。
結論から言うと、真皮は表皮のすぐ下にある、肌の弾力と強さを生み出す層です。中身の大部分はコラーゲンでできた線維で、線維のすき間をゼリー状の基質が満たし、それらを線維芽細胞(真皮で線維をつくる細胞)がつくっています。場所、厚さ、上と下の層のちがい、中身の順に見ていきましょう。
真皮は、表皮と皮下組織のあいだで肌を支える層
真皮は、表皮と皮下組織のあいだにある結合組織(体の組織どうしをつなぎ、支える組織)です。皮膚の弾力や強さは、おもにこの層が受けもっています。
表皮と真皮の境目は平らではなく、波のようにうねっています。表皮が下に入りこんだ部分を表皮突起、真皮が上へ突き出した部分を真皮乳頭と呼びます。境目には基底膜(表皮と真皮をつなぐ薄い膜)があり、上下をへだてています。この凹凸は、年齢とともに平らになっていきます。
真皮には血管やリンパ管、神経が通り、毛包・汗腺・皮脂腺もここにあります。神経の終わりの部分は、痛み・触れた感じ・圧力・温度を感じとっています。真皮は、肌を下から支えながら、血管や神経の通り道にもなっている層です。
真皮の厚さは平均約1.4ミリで、表皮よりずっと厚い
真皮の厚さは体の部位によって異なり、平均すると約1.4ミリです。表皮は平均約0.2ミリ、そのいちばん上の角層は約0.01〜0.02ミリなので、皮膚の厚みのほとんどは真皮が占めています。
角層・表皮・真皮の厚さの比較。
真皮の中でも、厚みの大部分を占めるのは下側の網状層です。皮膚の厚みは、ほとんどが真皮の厚みと考えてよいでしょう。
上の乳頭層は線維がまばら、下の網状層は線維がぎっしり
真皮は上から、乳頭層・乳頭下層・網状層の3つに分けられます。上と下で、線維の太さや詰まり方がちがうからです。
乳頭層は、表皮突起のあいだに入りこんでいる部分です。線維はまばらで、毛細血管や、感覚を伝える神経の末端、細胞が多く集まっています。ここのコラーゲン線維は、比較的細い線維です。すぐ下の乳頭下層も、中身は乳頭層と同じです。
その下の網状層は、真皮の大部分を占める層です。太いコラーゲン線維の束が密に詰まり、そのあいだをエラスチン線維が走っています。下は皮下脂肪組織に接していて、血管と神経が通っています。
真皮の断面の模式図。
線維がまばらでやわらかい上の層と、線維がぎっしり詰まった丈夫な下の層。真皮は、性質のちがう2つの層が重なってできています。
真皮の中身の大部分は、コラーゲンでできた線維
真皮の乾燥重量(水分を除いた重さ)の約70〜75%は、コラーゲンというたんぱく質です。真皮の線維のうち90%以上はコラーゲン線維で、エラスチン線維は数%です。
2つの線維は性質がちがいます。コラーゲン線維の束は太さ2〜15マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)で、引っぱる力に強い反面、あまり伸びません。エラスチン線維は太さ1〜3マイクロメートルで、強さではコラーゲン線維に及びませんが、伸び縮みする弾力があります。強さと弾力を、2つの線維で分担しているのです。
線維の並び方を調べた研究では、コラーゲン線維は網の目のように交差して並び、エラスチン線維はコラーゲン線維の束に沿って同じ向きに走っていた、という結果があります。くわしくはコラーゲン線維とエラスチン線維の記事で解説しています。真皮の強さは、おもにコラーゲン線維がつくっています。
線維のすき間は、水を抱える基質が埋めている
細胞や線維のあいだのすき間は、基質と呼ばれる成分が埋めています。基質は水分を抱えこみ、線維を安定させる役目をもっています。
基質の主な成分は、プロテオグリカン(たんぱく質に長い糖の鎖がたくさんついた大きな分子)と、糖たんぱく質です。真皮の糖の鎖の主な成分はヒアルロン酸とデルマタン硫酸で、ヒアルロン酸は水分を保つこと、デルマタン硫酸は線維を支えることにかかわっています。
線維と基質をまとめて、細胞外マトリックス(細胞の外を満たす物質)と呼びます。以前は体を支えるだけの物と考えられていましたが、今は細胞の働きや増え方、移動にもかかわると考えられています。基質は、すき間を埋めて水を抱え、線維を安定させています。
真皮の細胞の主役は、線維芽細胞
真皮の線維や基質をつくっているのは、線維芽細胞です。コラーゲンやエラスチンのもとになる物質や、ヒアルロン酸などの糖の鎖をつくり、細胞の外に送り出しています。
ほかにも、真皮には2種類の細胞がいます。マクロファージ(組織球とも呼ばれる、異物を取りこむ細胞)は、異物を処理し、炎症や免疫の調節にかかわります。マスト細胞(肥満細胞とも呼ばれる細胞)は、毛細血管や神経のまわりにいて、ヒスタミンなどを含む粒をもち、アレルギーなどの反応の一因になります。
線維芽細胞の形や働きは、線維芽細胞の記事でくわしく見ていきます。真皮は、線維芽細胞がつくった線維と基質に、体を守る細胞が加わってできている層です。
まとめ
- 真皮は表皮と皮下組織のあいだの結合組織で、肌の弾力と強さを生む層です
- 厚さは部位で異なり、平均約1.4ミリ。平均約0.2ミリの表皮よりずっと厚い層です
- 上の乳頭層は線維がまばらで血管や細胞が多く、下の網状層は太い線維がぎっしり詰まっています
- 乾燥重量の約70〜75%はコラーゲン。線維の90%以上がコラーゲン線維で、エラスチン線維は数%です
- すき間をヒアルロン酸などの基質が埋め、それらを線維芽細胞がつくっています
真皮は、線維と基質と細胞でできた、肌の土台です。表皮のしくみとあわせて読むと、肌全体の組み立てが見えてきます。
よくある質問
真皮とは何?
表皮の下にある、肌の弾力と強さを生む層です。コラーゲンなどの線維と、すき間を埋める基質、線維芽細胞などの細胞でできています。
真皮の厚さはどのくらい?
平均すると約1.4ミリです。厚さは体の部位によってちがい、平均約0.2ミリの表皮よりずっと厚い層です。
乳頭層と網状層のちがいは?
線維の太さと詰まり方がちがいます。上の乳頭層は線維がまばらで毛細血管や細胞が多く、下の網状層は太いコラーゲン線維の束が密に詰まっています。
真皮は何でできている?
乾燥重量の約70〜75%がコラーゲンです。ほかに、エラスチン線維、ヒアルロン酸などの基質、線維芽細胞などの細胞があります。
真皮にはどんな細胞がいる?
主役は、線維や基質をつくる線維芽細胞です。ほかに、異物を処理するマクロファージや、ヒスタミンなどを含む粒をもつマスト細胞がいます。