この記事でわかること
- 「無添加」と書くときの決まりと、安全の印ではない理由
- 「表示指定成分無添加」の意味と、今の全成分表示
- オーガニック化粧品に国の認証がない理由と、指数の読み方
「無添加」「オーガニック」と書かれていると、なんとなく肌にやさしそうに見えて、選んでいいのか迷いますよね。
結論から言うと、「無添加」は何が入っていないかを書く決まりの言葉で、「入っていないから安全」という意味ではありません。オーガニックも、食品で見かける国の有機マークは化粧品にはつきません。どちらも、言葉の印象ではなく成分表を見て選べば大丈夫です。まずは「無添加」の書き方の決まりから見ていきましょう。
「無添加」には、何を入れていないかを必ず添える
「無添加」とだけ書くことは、業界の公正競争規約で認められていません。「無添加」「無配合」「不使用」のように、ある成分を入れていないことを示す言葉を使うときは、何を配合していないかをはっきり書くのが決まりです。
理由は、「無添加」だけでは何を添加していないのかがわからないからです。広告のガイドラインでも、単に「無添加」とだけ書くのは不正確な表現とされています。
書き方は3通りあります。特定の成分なら「パラベン無添加」のように成分名を、ある成分群をすべて入れていないならその成分群を、着色剤や防腐剤のように目的で言うなら「防腐剤無添加」のように配合目的を添えます。
「無添加」の文字を見たら、すぐ横に何が書いてあるかを見るのが読み方の基本です。
「入っていないから安全」とは書けない
配合していないことを理由に、安全であるかのように見せる表示は、規約の運用基準で禁じられています。ある成分が入っていないことと、ほかの成分が自分の肌に合うかどうかは、別の話だからです。
同じ運用基準では、他社の商品をけなすような表示も禁じられています。また、ふだん化粧品に使われない成分について「不使用」と書くこともできません。そう書くと、ほかの化粧品にはその成分が入っていると思い込ませてしまうからです。なお、エタノールを使っていない「ノンエタノール」の製品は、「ノンアルコール」と書くことが認められています。
「無添加」と書かれた化粧品を選ぶときは、次の順に見ていくと迷いません。
「無添加」と書かれた化粧品は、何が入っていないかを読むところから始めます。
文字を見る
いないか
中身を見る
かで選ぶ
「無添加」は安全の印ではなく、何が入っていないかを知らせるメモだと思って読みましょう。
「表示指定成分無添加」は、2001年に終わった制度の言葉
「表示指定成分無添加」は、昔の制度で名前の表示が決められていた102種類の成分が入っていない、という意味です。今はその制度が終わり、すべての成分が表示されています。
1980年に始まった表示指定成分の制度は、アレルギーなどの皮膚トラブルを起こすおそれのある成分として102種類を国が指定し、その名前だけを表示させるものでした。医師から聞いた情報をもとに、合わない製品を自分で避けられるようにするのがねらいです。「無添加」という言い方が広まった背景には、この制度があります。
今は全成分表示があるので、入っていない成分も成分表を見ればわかります。
始まる
だけ表示
変わる
表示
2001年4月1日、この制度そのものが変わりました。製品を選びやすくなるよう情報を充実させる目的で、承認を受けた化粧品を除き、すべての成分を表示することになったのです。
そのため今は、「無添加」と書かれていなくても、入っていない成分は全成分表示を見ればわかります。
オーガニック化粧品に、国の有機マークはつかない
化粧品そのものに、食品のような有機JASマークがつくことはありません。国の有機の検査認証制度で対象になっているのは農産物、加工食品、飼料、畜産物、藻類で、化粧品は対象品目に入っていないからです。
ただし原料の段階では話が別で、植物原料が有機JASの認証を取っていることはあります。また、化粧品のオーガニックは、定義や解釈が地域や認証機関によってさまざまで、ひとつの基準にそろっていません。同じ「オーガニック」でも、製品どうしを同じものさしで比べにくいのはこのためです。
オーガニックと書かれていたら、何がオーガニックなのかを製品の説明で見ると安心です。
ISO 16128の数字は、認証ではなく配合の計算結果
国際規格のISO 16128は、化粧品の自然・オーガニック指数を計算するための基準で、認証マークではありません。その化粧品が自然・オーガニック化粧品かどうかを判定するものではないからです。
この指数は、原料を含む自然・オーガニック化粧品の安全性や品質を決めたものでもありません。規格の対象からも、うたい文句や表示、人や環境への安全性、包装材、各国の規制は外されています。製品にどう表示するかも、規格では決められていません。海外の民間の認証はこれとは別で、それぞれの認証機関が独自の基準を持っています。
指数の数字は、配合のうち自然・オーガニック由来の割合を計算した目安として見ておきましょう。
「無添加化粧品」「オーガニック化粧品」は、売り場の言葉
「無添加化粧品」「オーガニック化粧品」「自然派化粧品」は、意味が決まった専門の言葉ではなく、売り場で使われる言葉です。技術者団体の化粧品用語集で項目が立てられ、意味が決められているのは「天然由来成分」のような言葉です。
「天然由来成分」は、化粧品の成分のうち、天然物や天然に由来する物質のことです。ミツバチの分泌物であるローヤルゼリーや、豆乳を発酵させた豆乳発酵液などがその例です。また「ノンケミカル」は日焼け止めの話でよく使われ、紫外線散乱剤だけを使った製品を指す言い方です。
技術の言葉と売り場の言葉は別ものなので、売り場の言葉だけで中身を判断しないのがコツです。
「防腐剤フリー」は書いてよい。防腐剤は国のリストのものだけ
「防腐剤フリー」という表示そのものは問題ありません。防腐剤を入れないことを禁じる決まりはないからです。
いっぽうで、化粧品に入れてよい防腐剤は、国が評価してリストに載せたものだけです。これをポジティブリストと呼び、リストにある成分しか使えず、配合量の上限も決まっています。禁止する成分を並べるネガティブリストとは、発想が逆の仕組みです。
防腐剤が入っていても、国が認めた成分を、決められた量の範囲で使っていると考えれば大丈夫です。
まとめ
- 「無添加」には、何を配合していないかを必ず添える決まりがあります
- 配合していないことを理由に、安全であるかのように見せる表示は禁止です
- 「表示指定成分無添加」は102種類が入っていないという意味で、2001年からはすべての成分が表示されています
- 化粧品に有機JASマークはつかず、ISO 16128は認証ではなく指数の計算方法です
- 「無添加化粧品」「オーガニック化粧品」は売り場の言葉で、防腐剤は国のリストのものだけが使えます
「無添加」と書いてあったら、その隣の成分名を見る。それだけで、この言葉はかなり扱いやすくなります。
よくある質問
無添加化粧品は肌にやさしい?
「無添加だから安全」とは言えません。業界の規約では、配合していないことを理由に安全であるかのように見せる表示は禁止されています。何が入っていないのかを、成分名で確かめましょう。
「無添加」とだけ書いてもいいの?
単に「無添加」とだけ書くことは、規約で認められていません。「パラベン無添加」「防腐剤無添加」のように、成分名や成分群、配合目的をあわせて書くのが決まりです。
表示指定成分無添加とはどういう意味?
1980年からの制度で表示が求められた102種類の成分が、入っていないという意味です。この制度は2001年に終わり、今は原則すべての成分が表示されています。
オーガニック化粧品に国の認証はある?
化粧品に、食品のような国の有機マークはつきません。国の有機の検査認証制度の対象は農産物・加工食品・飼料・畜産物・藻類で、化粧品は含まれません。原料が有機の認証を取っていることはあります。
「防腐剤フリー」は表示していい?
はい、防腐剤を入れないことを禁じる決まりはなく、表示そのものは問題ありません。なお化粧品に使える防腐剤は、国のリストに載ったものだけで、配合量の上限も決まっています。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「天然由来成分」
- 厚生省薬務局長通知「薬事法の一部を改正する法律の施行について」(昭和55年10月9日 薬発第1330号)
- 厚生省医薬安全局長通知「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日 医薬発第990号)
- 厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号)
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表4」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則の運用基準」
- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)
- 日本化粧品工業会「自然オーガニック指数表示」
- 日本化粧品工業会「ISO 16128 に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示」
- 日本化粧品工業会「ISO 16128 に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」(2018年2月1日)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
- ISO 16128-2:2017 Cosmetics — Guidelines on technical definitions and criteria for natural and organic cosmetic ingredients — Part 2
- 農林水産省「有機食品の検査認証制度」