この記事でわかること
- 目の下のたるみができるしくみ
- アイクリームやマッサージで言えることの範囲
- 医師が行う治療と、その合併症
目の下のふくらみや影があると、疲れて見えないか気になりますよね。アイクリームやマッサージでなんとかならないのか、迷う人は多いと思います。
結論から言うと、目の下のたるみは、目を支える脂肪が前にふくらみ、その下のくぼみとの間にできる段差です。化粧品でふくらみを小さくすることはできず、段差そのものを変えるのは医師が行う治療です。まずは、段差がどうやってできるのかから見ていきましょう。
目の下のたるみは、脂肪のふくらみとくぼみがつくる段差
目の下のたるみは、脂肪のふくらみと、その下のくぼみがつくる段差です。影やくぼみが目立つのは、ふくらみそのものより、この段差のためです。
目の玉のまわりには、眼窩脂肪という、目を囲んで支える脂肪があります。この脂肪が下まぶたの前にふくらむと、目のふちの骨より前に1つめの山ができます。その下には、目頭から斜めに走るくぼみがあり、さらに下がった頬の組織が2つめの山になります。
目のまわりの脂肪が前にふくらみ、下のくぼみとの間にできた段差が影に見えます。
体質
前へ出る
段差が影に
くぼみには、骨と筋肉の付き方が関わっています。目のまわりを囲む眼輪筋は、内側では目のふちの骨のすぐ下に付き、外側では靭帯で骨に固定されています。この付き方が、目頭の下から斜めに走るティアトラフと呼ばれるくぼみをつくる一因とされています。たるみは、皮膚の表面ではなく、脂肪と骨と筋肉の形がつくるものなのです。
ふくらみのもとは、年齢とともに増える目のまわりの脂肪
目の下のふくらみには、脂肪の量の変化が関わっています。体の中を写す検査で目のまわりを調べると、下まぶたの組織は年齢とともに増え、その増加にいちばん関わっていたのは脂肪そのものの増加だったという結果があります。
これまでは、目の玉が少し下がり、脂肪を前で押さえている眼窩隔膜という膜がゆるみ、眼輪筋が薄くなることで、脂肪が前に押し出されると説明されてきました。どちらの見方でも、ふくらみの正体は皮膚の下にある脂肪です。
頬の上のほうに袋のように見えるたるみもありますが、これはゆるんだ皮膚と眼輪筋がハンモックのように垂れたもので、目のふちの骨より下にできます。目の下のふくらみとは、場所の違う別のものです。
若い人にも出て、家族の傾向やたばこ、寝不足も関わる
目の下のたるみは年齢とともに出やすくなりますが、若い人にも出ることがあります。加齢のほかに、家族に同じ傾向があること、たばこ、アレルギー、寝不足が要因として挙げられているからです。
たとえば、一卵性の双子を比べると、たばこを吸っている側で、下まぶたと目の下のふくらみが多く見られたという結果があります。寝不足では、徹夜のあとにまぶたが下がり、目が腫れぼったく見えたという結果があります。
脂肪のふくらみと、水分がたまるむくみは、別の要因です。どちらなのか、両方なのかは見た目では見分けにくいので、気になるときは医師に見てもらうのが確かです。ふくらみはふつう害のないものですが、見えにくさや刺激、頭痛、皮膚の発疹を伴うときは受診の目安とされています。若い人のたるみも、いくつかの要因が重なって出ると考えましょう。
黒くまの影は、たるみの段差そのもの
黒くまと呼ばれる影は、たるみの段差に光が当たってできる影です。皮膚に色がついているのではなく、脂肪のふくらみとくぼみ、下がった頬の形が影をつくっています。
くまは、薄い下まぶたの皮膚から、血液の色やメラニンの色、影が見えている状態のことです。血液の色が透ける青くまや、メラニンによる茶くまは、たるみがなくても出ます。黒くまと目の下のたるみは、同じものを色の面から呼ぶか、形の面から呼ぶかの違いです。
影による黒くまだとわかったら、見るべきなのは色ではなく、ふくらみとくぼみの段差です。
アイクリームで言えるのは「はり」「ひきしめ」まで
アイクリームでなんとかしたい、と思いますよね。でも、化粧品で目の下について言えるのは「肌にはりを与える」「肌をひきしめる」などまでです。化粧品が言える効能は国が定めた56項目に限られ、その中に、たるみ、くま、ふくらみという言葉は入っていないからです。
ほかに言えるのは「皮膚の柔軟性を保つ」「皮膚にうるおいを与える」と、決められた試験をした製品に限った「乾燥による小ジワを目立たなくする」です。アイクリームに「ハリ」と書かれていても、それは56項目の言葉で、ふくらみが小さくなるという意味ではありません。
化粧品が働くのは、肌のいちばん外側の角層までです。ふくらみは、その下の脂肪の位置と量の話です。アイクリームは目もとの乾燥の手入れ、段差は医師に相談、と分けて考えると選びやすくなります。メイクで段差の影を目立たなく見せるのは、化粧品で表現できる範囲です。
マッサージで押し流すものではなく、目をこする習慣に注意
目の下のふくらみは、マッサージで押し流して小さくするものではありません。ふくらみの正体は皮膚のはりではなく、目を支える脂肪の位置と量だからです。顔のローラーや筋肉のトレーニングの話は、たるみの記事にまとめています。
むしろ注意したいのは、目をこする習慣です。アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインでは、顔の皮疹が重い人の合併症として白内障や網膜剝離などの目の症状が挙げられ、目をこすったりかいたりすることの影響が考えられています。目をこすることと、角膜が薄くなる円錐角膜という目の病気との関わりも指摘されています。
目元の皮膚は薄く、こすれば色素沈着のもとにもなります。目のまわりは、強くこすったり叩いたりしないのがいちばんです。
段差を変えるのは医師の治療で、合併症を知って選ぶ
段差そのものを変える方法は、医師が行う治療で、どれにも合併症があります。だからこそ、方法と起こりうることを知ったうえで選ぶことが大切です。
方法は大きく3つあります。1つめは、下まぶたの裏側を切って脂肪を取り出す経結膜脱脂で、まぶたのゆるみが軽く、脂肪が出ている人に向くとされています。2つめは、脂肪を取らずに骨のふちを越えた先へ移してくぼみをならす方法で、日本ではハムラ法と呼ばれます。3つめは、くぼみにヒアルロン酸を注入して段差をゆるやかにする方法です。皮膚のゆるみが強い人には、皮膚を切る方法が検討されます。
手術の合併症には、角膜のすり傷、まれですが視力にかかわる眼窩内出血、感染、下まぶたの位置が下がる下眼瞼後退、まぶたが外側にめくれる外反、筋肉の損傷による斜視、涙が出やすくなる、色素沈着などがあります。皮膚を切る方法では、ドライアイの症状が出たという報告もあります。
ヒアルロン酸注入は、効果が6〜12か月続き、よく見られた合併症は腫れ、内出血、赤み、むくみ、青灰色の変色、輪郭のでこぼこでした。目の下では、薄い皮膚から青みがかって見えるチンダル現象や、数年たってから頬の上に出ることもあるむくみ、しこりにも注意が必要です。血管の事故の話はほうれい線の記事に書いています。
目の下の治療を考えるときの、相談から契約までの順番です。
相談する
説明を聞く
契約しない
国民生活センターは、不安をあおられたり大幅な割引を提案されたりしても、その日のうちに契約や施術をしないよう呼びかけています。施術の前に、リスクや副作用の説明を医師から十分に受けましょう。特定商取引法の対象になる契約なら、8日以内のクーリング・オフもできます。治療を考えるときは、説明を聞いて、持ち帰って決めるのが安心です。
まとめ
- 目の下のたるみは、目を支える脂肪のふくらみと、その下のくぼみがつくる段差です
- 年齢とともに、下まぶたの脂肪そのものが増えていたという結果があります
- 若い人にも出て、家族の傾向、たばこ、アレルギー、寝不足も要因に挙げられています
- 化粧品で言えるのは「肌にはりを与える」「肌をひきしめる」までで、マッサージで押し流すものでもありません
- 段差を変えるのは医師の治療です。合併症を知り、その日のうちの契約は避けましょう
目の下のたるみは、肌の表面ではなく形の話です。アイクリームは乾燥の手入れと割り切り、目もとをこすらないことを続けながら、気になるときは医師に相談してみてください。
よくある質問
目の下のたるみの原因は何ですか?
目を支える脂肪が前にふくらみ、その下のくぼみとの間に段差ができることです。年齢とともに、下まぶたの脂肪そのものが増えていたという結果があります。
目の下のたるみは若いのになぜできるのですか?
加齢のほかに、家族に同じ傾向があること、たばこ、アレルギー、寝不足が要因に挙げられています。脂肪のふくらみか、むくみかは、医師に見てもらうと確かです。
アイクリームで目の下のたるみは解消できますか?
アイクリームでふくらみを小さくすることはできません。化粧品で言えるのは「肌にはりを与える」「肌をひきしめる」などの範囲で、働くのは角層までです。
目の下のたるみはマッサージで取れますか?
ふくらみの正体は目を支える脂肪なので、マッサージで押し流すものではありません。目をこする習慣は目の病気との関わりが指摘されているので、強くこすったり叩いたりするのは避けましょう。
目の下のたるみの治療にはどんな方法がありますか?
脂肪を取り出す経結膜脱脂、脂肪をくぼみへ移すハムラ法、ヒアルロン酸注入が主な方法です。どれも医師が行う治療で合併症があるので、説明を十分に聞き、その日のうちに契約しないようにしましょう。
この記事で参照した情報
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- Murri M, Hamill EB, Hauck MJ, Marx DP. An Update on Lower Lid Blepharoplasty. Semin Plast Surg 2017;31(1):46-50
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- Mayo Clinic「Bags under eyes - Symptoms and causes」(患者向け情報、2024年11月27日更新)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」(日本皮膚科学会雑誌 131巻13号)
- Najmi H, et al. The correlation between keratoconus and eye rubbing: a review. Int J Ophthalmol 2019;12(11):1775-1781
- 米国形成外科学会 プレスリリース「Face It: Twins Who Smoke Look Older」(2013年10月29日。Okada HC, et al. Facial changes caused by smoking: a comparison between smoking and nonsmoking identical twins. Plast Reconstr Surg 2013 の紹介)
- Hamra ST. Arcus marginalis release and orbital fat preservation in midface rejuvenation. Plast Reconstr Surg 1995(抄録)
- Sultan B, Genther DJ, Perkins SW. Measurement of Change in Lower Eyelid Position in Patients Undergoing Transcutaneous Skin-Muscle Flap Lower Eyelid Blepharoplasty. JAMA Facial Plast Surg 2016;18(6):429-435
- D'Amato S, et al. Is the Treatment of the Tear Trough Deformity with Hyaluronic Acid Injections a Safe Procedure? A Systematic Review. Applied Sciences 2021;11(23):11489
- American Academy of Ophthalmology EyeWiki「Complications of Hyaluronic Acid Fillers」(2026年7月21日更新)
- 国民生活センター「男性の美容医療トラブルも増加!」(2026年1月20日)
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