この記事でわかること
- サケ由来・PN・植物由来・乳酸菌由来のPDRNの違い
- 成分表で由来を見分けにくい理由と、魚アレルギーの注意
- 化粧品のPDRNに期待できる範囲
PDRN入りのコスメを探していると、サケ由来、植物由来、PNと種類がいくつもあって、何が違うのか、どれを選べばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、PDRNの種類は、何からとったかと、DNAの鎖の長さで分かれます。いちばん長く使われ、研究も多く積み重ねられているのはサケ由来で、植物由来や乳酸菌由来は、新しく作られるようになった原料です。成分表では由来を見分けにくいので、気になるときは販売元に確かめるのが確実です。まずは、もとのPDRNから見ていきましょう。
もとのPDRNは、サケの精子からとったDNAのかけら
もとのPDRNは、サケの仲間の精子から取り出した、DNAのかけらを集めたものです。PDRNの種類を比べるときは、このサケ由来のものが基準になります。
原料になるのは、ニジマスやシロザケといったサケの仲間の精子です。取り出したDNAを高い温度で抽出・精製して、体の免疫反応を起こしうるたんぱく質を取り除いた状態にして使われます。かけらの重さを表す分子量は、おおむね5万〜150万ダルトンとされています。
サケ由来のPDRNは、精子から取り出したDNAを精製して作られます。
DNAをとる
取り除く
かけらの原料
PDRNは、最初は医薬品として使われた成分です。1994年にイタリアで、PDRNを有効成分とする最初の医薬品が注射薬として承認され、結合組織の栄養障害や潰瘍をともなう病気に使われました。韓国でも注射用の医薬品として承認されていて、皮膚移植による傷の治療などを効能とする処方薬があります。
こうした歴史があるので、PDRNの種類のなかで研究がいちばん多く積み重ねられているのは、サケ由来のPDRNです。
PNは、PDRNより鎖の長いサケのDNA
PDRNとPN、名前が似ていて同じものかと思いますよね。PNもサケの仲間の精子からとったDNAで、PDRNとのいちばんの違いはDNAの鎖の長さです。PNは、PDRNより長い鎖を指す言葉として使われています。
研究者の総説では、分子量150万ダルトンを境にして、それより短いものをPDRN、長いものをPNと呼ぶ分け方が提案されています。ただし、150万ダルトンは研究者が提案している目安で、国や業界で決まった基準はありません。美容目的で使われるDNAのかけらには、千ダルトンほどの短いものから1000万ダルトンほどの長いものまであり、実際の製品の幅はもっと広くなっています。
使われ方も違います。韓国では2014年に、PNを使った皮膚美容用の注入剤が、医療機器のなかでリスクの区分がいちばん高い4等級として許可されました。
PDRNは医薬品の注射薬として始まり、PNは韓国では医療機器の注入剤として広まった、と整理するとわかりやすいでしょう。
植物由来・乳酸菌由来は、新しく作られるようになったPDRN
植物由来や乳酸菌由来のPDRNは、サケ以外からDNAを取り出す、新しく作られるようになった原料です。サケの原料は季節でとれる量が変わり、コストや環境の面の制約もあるため、ほかの原料が探されてきました。
植物由来のPDRNは、高麗人参の根やシャクヤク、ハイビスカスの細胞などからDNAを取り出して細かくしたものとされています。植物の細胞を培養してDNAを取り出す作り方は韓国で特許になっていて、ほかにヨモギやブロッコリー、バラ、アロエなども研究されています。ワカメやコンブ、ノリなどの海藻からDNAを取り出す特許もあります。
乳酸菌から作るPDRNは、大豆の野生種であるツルマメから見つかった乳酸菌を培養し、加熱と加圧で壊してDNAを取り出したものです。微生物由来のPDRNとしては、いちばん新しく報告された種類です。
こうした新しい原料の研究は、細胞を使ったものが中心です。研究者の総説では、原料によって分子の性質や作り方が違うことが指摘されていて、作り方や品質をそろえる統一の規格もありません。同じ「PDRN」という名前でも、サケ由来と植物由来・乳酸菌由来は中身が同じではない、と考えておきましょう。
成分表では、サケ由来か植物由来か見分けにくい
成分表の名前だけでは、サケ由来か植物由来かはわかりません。「PDRN」は成分表に書く名前ではなく、由来が違っても同じ名前で書かれることがあるからです。
サケ由来のPDRNの原料は、日本の成分表ではDNA-Naと書かれ、ほかに加水分解DNAや加水分解DNA-Naという名前もあります。韓国の成分辞典にも、PDRNという表示名はありません。そして韓国の成分辞典では、植物由来をうたう原料も、サケ由来と同じ名前で登録されています。
また「〇〇PDRN」という名前の原料には、DNAにツボクサエキスなどの植物エキスや発酵液、溶剤を混ぜたものも多く、その場合は成分表にそれぞれの成分名が分かれて並びます。
成分表にDNA-Naと書かれていても由来まではわからないので、由来を知りたいときは販売元に確かめることになります。
魚アレルギーが気になる人は、植物由来でも販売元に確かめる
魚アレルギーがあると、サケ由来のPDRNを使っていいのか不安になりますよね。魚アレルギーが気になる人は、植物由来と書かれていても、使う前に販売元に原料の由来を確かめましょう。
魚による食物アレルギーの原因の95%を超えるのは、パルブアルブミンというたんぱく質です。医薬品のPDRNは、高温で抽出・精製する工程で、免疫反応を起こしうるたんぱく質を取り除くとされています。それでも皮膚科の総説では、魚や魚製品に過敏な人は注意するよう書かれていて、魚アレルギーの人が全員反応するわけではないとも添えられています。PNの注射について、魚のアレルギーがある人には勧めないとする医師向けの解説もあります。
一方で、植物由来と書かれていれば安心というわけでもありません。サケ以外の原料は、サケのDNAに比べてたんぱく質がやや多い傾向があるという指摘があり、先ほどのとおり成分表では由来もわかりません。
魚アレルギーが気になるときは、枠の「販売元に確かめる」がいちばん確実な手がかりです。
名前を見る
書かれない
確かめる
医師に相談
販売元に由来を確かめて、心配なときは医師に相談してから使うと安心です。
化粧品のPDRNは、肌を整える成分として選ぶ
化粧品に入るPDRNは、肌の調子を整えるための成分として選びましょう。同じサケのDNAでも、医薬品・医療機器・化粧品で扱いが分かれていて、化粧品として言えることには範囲があるからです。
同じサケのDNAでも、医薬品・医療機器・化粧品で扱いが分かれます。
医薬品
PDRNの
注射薬
医療機器
PNの
注入剤
化粧品
「肌を整える」
などの範囲
日本の化粧品に入るDNA-Naなどは、肌の調子を整えるための成分で、化粧品として言えるのは「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」などの範囲です。化粧品が働くのは、肌のいちばん外側の角層までです。研究者の総説には、塗る使い方は肌に入る量が限られ、注射より働きが弱いとするものもあります。
PDRN入りの化粧品は「塗る注射」と呼ばれることがありますが、医療機関で医師が行う注射とは別ものです。種類の名前よりも、何のために使うのかを考えて選ぶと迷いにくくなります。
まとめ
- もとのPDRNはサケの仲間の精子のDNAのかけらで、注射の医薬品として始まり、研究がいちばん多い種類です
- PNは同じサケのDNAで鎖が長く、150万ダルトンを境にする分け方は研究者の提案です
- 植物由来・乳酸菌由来は新しく作られるようになった原料で、サケ由来とは中身が同じではありません
- 成分表ではどれもDNA-Naなどと書かれることがあり、由来は販売元に確かめます
- 魚アレルギーが気になる人は植物由来でも確かめ、化粧品のPDRNは肌を整える成分として選びます
PDRNは、同じ名前でも出どころと研究の積み重ねが大きく違う成分です。化粧品としては肌を整える成分のひとつと考えて、名前の新しさより自分の目的に合うかで選んでみてください。
よくある質問
植物由来のPDRNはサケ由来と同じ働きですか?
同じものとは考えないほうがよいです。サケ由来は医薬品として使われてきて研究がいちばん多い種類で、植物由来や乳酸菌由来は新しく作られるようになった原料です。原料によって分子の性質や作り方も違います。
PDRNとPNの違いは何ですか?
いちばんの違いはDNAの鎖の長さで、PNはPDRNより長い鎖を指します。どちらもサケの仲間の精子からとったDNAで、分子量150万ダルトンを境にする分け方は研究者の提案であり、決まった基準ではありません。
成分表でPDRNがサケ由来か植物由来かわかりますか?
成分表だけではわかりません。韓国の成分辞典では植物由来をうたう原料もサケ由来と同じ名前で登録されていて、日本の成分表ではDNA-Naなどと書かれるため、由来は販売元に確かめます。
魚アレルギーでも植物由来のPDRNなら安心ですか?
植物由来と書かれていても、使う前に販売元に由来を確かめると安心です。サケ以外の原料はたんぱく質がやや多い傾向があるという指摘もあります。心配なときは医師に相談してから使いましょう。
PDRN入りの化粧品は注射と同じですか?
注射とは別ものです。化粧品として言えるのは「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」などの範囲で、医療機関で医師が行う注射とは異なります。
この記事で参照した情報
- Laurent AE, et al. From Polydeoxyribonucleotides (PDRNs) to Polynucleotides (PNs): Bridging the Gap Between Scientific Definitions, Molecular Insights, and Clinical Applications of Multifunctional Biomolecules. Biomolecules 2025;15(1):148
- Squadrito F, et al. Pharmacological Activity and Clinical Use of PDRN. Front Pharmacol 2017;8:224
- Kim TH, et al. Applications of Marine Organism-Derived Polydeoxyribonucleotide: Its Potential in Biomedical Engineering. Mar Drugs 2021;19(6):296
- Nguyen TH, Wang SL, Nguyen VB. Recent advances on polydeoxyribonucleotide extraction and its novel application in cosmeceuticals. Int J Biol Macromol 2024
- 韓国薬学情報院 医薬品情報「플라센텍스주(Placentex Inj.)」
- 薬業新聞(韓国)「파마리서치, 피부조직 재생 힐링필러 식약처 허가」(2014年5月19日)
- Arora G. Polynucleotides and polydeoxyribonucleotides in dermatology – A narrative review. J Cutan Aesthet Surg 2026;19:17-28
- Lee KS, et al. Analysis of Skin Regeneration and Barrier-Improvement Efficacy of Polydeoxyribonucleotide Isolated from Panax Ginseng (C.A. Mey.) Adventitious Root. Molecules 2023;28(21):7240
- Bak SU, et al. Anti-Aging Efficacy of Low-Molecular-Weight Polydeoxyribonucleotide Derived from Paeonia lactiflora. Int J Mol Sci 2026;27(1):220
- Rodríguez-Aleriano JJ, et al. Polydeoxyribonucleotide (PDRN) from Diverse Biological Sources: Comparative Biochemistry, Biotechnological Production, and Translational Potential. Cosmetics 2026;13(5):239
- Seo WS, et al. First Report on Microbial-Derived Polydeoxyribonucleotide: A Sustainable and Enhanced Alternative to Salmon-Based Polydeoxyribonucleotide. Curr Issues Mol Biol 2025;47(1):41
- 韓国特許 KR102682937B1「식물세포로부터 PDRN 생산 방법」
- 韓国特許 KR102249241B1「신혈관생성 및 세포재생 효과를 갖는 해조류 유래 폴리데옥시리보뉴클레오타이드 및 폴리뉴클레오타이드 추출방법」
- 大韓化粧品協会(KCIA) 成分辞典「소듐디엔에이(Sodium DNA)」
- 大韓化粧品協会(KCIA) 成分辞典「디엔에이(DNA)」
- 大韓化粧品協会(KCIA) 成分辞典「하이드롤라이즈드디엔에이(Hydrolyzed DNA)」
- 大韓化粧品協会(KCIA) 成分辞典「병풀추출물(Centella Asiatica Extract)」
- COSMILE Europe「SODIUM DNA」
- 株式会社壽商会「化粧品原料|鮭由来PDRN」
- Cermakova E, et al. Parvalbumin: A Major Fish Allergen and a Forensically Relevant Marker. Genes 2023;14(1):223
- EyeWiki(米国眼科学会)「Periorbital Polynucleotide Injections」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
この記事が入っているテーマ別まとめ