この記事でわかること
- 酒さと赤ら顔の違いと、症状ごとの見方
- 保険で使える2つの塗り薬と、使用中の注意
- 悪化させるきっかけと、スキンケアの基本
顔の赤みがなかなか引かずに調べていて、「酒さ」という聞きなれない言葉に行き当たると、ただの赤ら顔と何が違うのか不安になりますよね。
結論から言うと、酒さは、顔の中心の赤みやほてり、ニキビに似たぶつぶつが長く続く皮膚の病気で、顔が赤く見える原因の一つです。皮膚科には保険で使える塗り薬があり、日差しや寒暖差などのきっかけを避けながら、やさしいスキンケアを続けることが、症状とつき合う基本になります。まずは、酒さがどんな病気なのかから見ていきましょう。
酒さは、顔の赤みやぶつぶつが続く病気で、赤ら顔と同じではない
酒さは、主に中高年の顔に起こる、慢性の炎症の病気です。赤ら顔という言葉の中には、酒さ以外の原因もたくさん含まれています。
酒さには、顔の中心に赤みやほてりが続く、ニキビに似た赤いぶつぶつが出る、鼻などが盛り上がる、まぶたや白目が充血する、といった症状があり、日本皮膚科学会のガイドラインはこれを4つの型に分けて治療を整理しています。日本では、赤みが中心の型を第1度、ぶつぶつが出る型を第2度、鼻などが盛り上がる型を第3度と呼ぶこともあります。
一方で赤ら顔は、顔が赤く見える状態を広く指す言葉で、寒暖差や緊張による一時的な赤み、脂漏性皮膚炎、かぶれ、ニキビのあとの赤みなども含みます。酒さはその中の一つなので、赤ら顔だから酒さとは限りません。酒さのぶつぶつはニキビとよく似ていますが、ニキビの始まりである白や黒の芯が見られないことと、発症する年齢が違うことが見分ける手がかりになります。
酒さは、皮膚科で見分けてもらい、治療とふだんの工夫で症状を抑えていく病気です。
続く
見分ける
抑える
避ける
酒さの治療のねらいは、症状を抑えてつき合っていくことです。症状が進まないよう早い段階から治療を始めることが大切とされ、アジア人の肌の酒さは見過ごされやすいという指摘もあります。顔の赤みが何週間も続くときは、自分で決めつけずに皮膚科で見分けてもらいましょう。
海外では、型よりも出ている症状ごとに見る
海外の専門家による国際的な合意では、型に当てはめるのではなく、出ている症状ごとに酒さを見る考え方がまとめられています。その人に出ている症状に合わせて診断し、治療を選べるからです。
それだけで酒さと診断できる特徴は2つで、顔の中心に続く赤みと、線維化や皮脂腺が増えることで皮膚が厚く盛り上がる変化です。顔の中心の赤みは、さまざまなきっかけで一時的に強まることがあります。このほかに、さっと赤くなる一時的なほてり、赤いぶつぶつや膿をもったぶつぶつ、浮き出た細い血管が主な症状として、焼けるような感じやピリピリ感、乾燥した感じ、むくみが副次的な症状として挙げられています。
皮膚科で型の名前を聞いたときも、自分はどの症状が中心なのかを確かめておくと、治療の話がわかりやすくなります。
ニキビダニは、酒さの人の肌で多く見られる
酒さに関わる要因の一つとして考えられているのが、毛穴にすむニキビダニの増加です。酒さの人の肌では、このダニが多く見られるからです。
ニキビダニは大人の毛穴や皮脂腺にふつうに見られる小さなダニで、数が少なければ正常なものとされています。持っている人の割合は、年齢とともに増えます。たとえば、赤みが中心の型でも、ぶつぶつが出る型でも、酒さの人は酒さでない人よりダニの密度が高いという結果があります。
海外の医学書ではダニに働く塗り薬も治療に挙げられていますが、日本では酒さの薬として承認されていません。ダニに働きかけるのは薬の領域の話で、化粧品や洗顔料がうたえるものではありません。スキンケアでは、ダニより先に刺激を減らしてやさしく洗うことが基本です。
保険で使える治療薬は、2つの塗り薬
日本で酒さに保険で使える塗り薬は、メトロニダゾールゲル0.75%と、イオウ・カンフルローションの2つで、どちらも医師が処方する医薬品です。化粧品とは別のものとして考えます。
メトロニダゾールゲルは、がんによる皮膚の潰瘍の臭いを抑える薬として使われてきたもので、2022年に酒さの効能が追加で承認されました。ガイドラインでは、ぶつぶつが出る型の酒さに最も強い推奨度Aとされています。たとえば、ゲルを塗った人の72.3%で、赤いぶつぶつの数と赤みの程度の両方がはっきりよくなったという結果があります。
使い方は1日2回、患部を洗ってから適量を塗るもので、使う期間は通常12週間までとされ、それを超えるときは必要かどうかを慎重に判断し、漫然と使い続けないことになっています。副作用では、かぶれが主なものとして挙げられています。
使っている間の注意は2つあります。1つは紫外線で、日光や日焼けランプなどの紫外線を浴びると薬が働かない形に変わり、効果が弱まることがあるため、使用中は紫外線を避けます。もう1つは飲酒で、薬とアルコールの組み合わせで精神症状やおなかの強い痛み、嘔吐、皮膚が赤くなる潮紅が出ることがあるため、使っている期間は飲酒を避けます。また、脳や脊髄に病気がある人、妊娠3か月以内の人は使えません。
イオウ・カンフルローションは効能が痤瘡と酒さの塗り薬で、1日2回、朝は上澄みの液、夜は混ぜて濁らせた液を塗ります。2022年4月までは、酒さの治療で国が承認していた唯一の塗り薬で、副作用として赤みや発疹などの過敏症状、皮膚炎が挙げられています。
どちらも、医師の指示どおりの量と期間で使うことが大切です。
悪化させるきっかけは、日差し・寒暖差・辛い物・飲酒など
酒さを悪くするきっかけとして、日本皮膚科学会のガイドラインは、紫外線、外の気温の急な変化、刺激のある食べ物、アルコールを挙げています。こうしたきっかけで、顔の赤みが一時的に強まることがあるからです。
日本の皮膚科では、日光、肌の乾燥、大きな温度変化、辛い食べ物、睡眠不足、飲酒といった一般的なきっかけを避けるよう指導されています。日差しや寒暖差に加えて、肌の乾燥や睡眠不足も、ふだんの生活で気をつけたい点に入っています。
食べ物や飲み物のきっかけは、熱いもの、アルコール、唐辛子の辛み成分であるカプサイシン、シナモンの香り成分であるシンナムアルデヒドの4つに分けられるという整理があります。ただし、どれで赤くなるかは人によって違います。何でも一律にやめるより、自分がどのきっかけで赤くなるのかを確かめていくほうが現実的です。
ここでの飲酒は、症状が出やすくなるきっかけとしての話です。メトロニダゾールの塗り薬を使っている間に飲酒を避けるのは、薬とアルコールの組み合わせで体に不調が出ることがあるためで、理由が別です。ふだん飲んでも赤くならない人でも、この薬を使っている期間は飲酒を控えます。また、ステロイドが酒さを悪くすることがあるので、顔の赤みに手もとのステロイドを自己判断で塗るのは避け、処方されて使っている場合は自分でやめずに医師に相談しましょう。
きっかけは、自分の赤くなり方を見ながら一つずつ避けていくと考えると続けやすいです。
スキンケアは、日差しを避け、やさしく洗って保湿する
酒さのスキンケアの基本は、日差しを避けることと、刺激の少ない洗顔料や保湿剤でやさしくケアすることです。日本のガイドラインも、適切な遮光と、刺激の少ない洗顔料や保湿剤を正しく使うための指導を、選択肢の一つとして推奨しています。
酒さのスキンケアは、刺激を減らして洗い、保湿し、日差しを防ぐことが中心です。
洗う
保湿する
防ぐ
塗り直す
海外の専門家の合意でも、正しいスキンケアを教わることはすべての酒さの患者に欠かせないとされ、きっかけを避ける、やさしい市販の洗顔料を使う、SPF30以上の日焼け止めを使う、こまめに保湿する、といった項目が挙げられています。アジア人の肌の酒さを扱った総説も、スキンケアを処方薬による治療と並ぶ大事な一部とし、刺激になりうるものを避けることが欠かせないとしています。
日焼け止めは、塗る量が少なかったり汗や手で落ちたりすると表示どおりには防げないので、量を守ってこまめに塗り直すことが大切です。メトロニダゾールゲルを使っている人にとっては、紫外線を避けることが薬の効き目を保つことにもつながります。
化粧品にできるのは、肌荒れを防ぐ、皮膚をすこやかに保つ、日やけを防ぐといった範囲と、メイクで赤みを目立たなく見せることまでで、化粧品や薬用化粧品に酒さを対象にした効能はありません。皮膚科の治療を軸に、刺激の少ないケアで支える形を考えてみてください。
まとめ
- 酒さは顔の中心の赤みやほてり、ニキビに似たぶつぶつが続く慢性の病気で、赤ら顔の原因の一つです
- 日本のガイドラインは4つの型で治療を整理し、海外では出ている症状ごとに見る考え方が広がっています
- ニキビダニは大人の毛穴にふつうにいるダニで、酒さの人の肌で多く見られます
- 保険で使える塗り薬はメトロニダゾールゲル0.75%とイオウ・カンフルローションで、前者は使用中に紫外線と飲酒を避けます
- 日光・寒暖差・乾燥・辛い物・睡眠不足・飲酒などのきっかけを確かめ、遮光とやさしい洗顔、保湿で治療を支えます
酒さは長くつき合う病気ですが、保険の治療があり、きっかけを知るほど過ごしやすくなります。顔の赤みが続くときは、まず皮膚科で酒さかどうかを見分けてもらいましょう。
よくある質問
酒さとはどんな病気ですか?
顔の中心の赤みやほてり、ニキビに似たぶつぶつが長く続く、慢性の炎症の病気です。主に中高年の顔に起こり、日本のガイドラインは4つの型に分けて治療を整理しています。
酒さと赤ら顔の違いは何ですか?
赤ら顔は顔が赤く見える状態を広く指す言葉で、酒さはその原因の一つの病気です。寒暖差による一時的な赤みや脂漏性皮膚炎、かぶれなども赤ら顔に含まれるので、赤みが続くときは皮膚科で見分けてもらいます。
酒さの治し方はありますか?
治療のねらいは、症状を抑えてつき合っていくことです。皮膚科の保険の塗り薬と、日差しや寒暖差などのきっかけを避けるケアを組み合わせます。
酒さの治療薬は保険で使えますか?
使えます。メトロニダゾールゲル0.75%とイオウ・カンフルローションが、酒さの効能をもつ保険の塗り薬です。メトロニダゾールゲルは通常12週間までで、使っている間は紫外線と飲酒を避けます。
ニキビダニは酒さと関係がありますか?
酒さの人の肌では、ニキビダニが多く見られます。ただ、ニキビダニは大人の毛穴にふつうにいるダニで、ダニに働く塗り薬は日本では酒さの薬として承認されていないので、気になるときは皮膚科に相談しましょう。
この記事で参照した情報
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(日皮会誌133(3):407-450)
- Minds ガイドラインライブラリ「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
- 日本皮膚科学会 お知らせ「ロゼックスゲル0.75%の『酒さ』に対する効能・効果追加承認について」(2022年6月10日)
- ロゼックスゲル0.75% 添付文書(2022年9月改訂 第2版)
- イオウ・カンフルローション 添付文書(2024年10月改訂 第2版)
- Nobeyama Y, et al. Real-world Evidence for the Treatment of Rosacea with Sulfur or Metronidazole Preparation in Japanese Patients. JMA J 2023;6(4):448-454
- Nobeyama Y, Aihara Y. One-year outcome trends in Japanese patients with rosacea: insights from a real-world study. Skin Health Dis 2026;6(2):138-145
- Rychlik K, et al. Significance of Demodex folliculorum and Demodex brevis in Pathogenesis of Dermatological Diseases: Current State of Knowledge. Medicina 2025;61(4):660
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「酒さ」
- Schaller M, et al. Recommendations for rosacea diagnosis, classification and management: update from the global ROSacea COnsensus 2019 panel. Br J Dermatol 2020;182(5):1269-1276
- Schaller M, et al. Rosacea treatment update: recommendations from the global ROSacea COnsensus (ROSCO) panel. Br J Dermatol 2017;176:465-471
- Weiss E, Katta R. Diet and rosacea: the role of dietary change in the management of rosacea. Dermatol Pract Concept 2017;7(4):31-37
- Kulthanan K, et al. A Review of the Challenges and Nuances in Treating Rosacea in Asian Skin Types Using Cleansers and Moisturizers as Adjuncts. J Drugs Dermatol 2023;22(1):45-53
- 黒川一郎・鶴田大輔「酒さ・酒さ様皮膚炎」日皮会誌121(9):1855-1861, 2011