この記事でわかること
- 春に肌が荒れやすくなる3つの原因
- そのとき肌の中で起きていること
- 春の手入れと、日焼け止めを始める時期
春になると、肌がヒリヒリしたり赤くなったりして、何が原因なのか、手入れを変えたほうがいいのか迷いますよね。
結論から言うと、春の肌あれは、冬の乾きが残った肌に、花粉や黄砂、急に増える紫外線が重なって起きます。だから手入れは、帰ったら花粉を落とす、こすらずに保湿する、日焼け止めを春から使う、の3つが軸になります。まずは原因から見ていきましょう。
春の肌あれの原因は、冬の乾き・花粉と黄砂・増える紫外線
春は、肌に負担になるものが一度に増える季節です。暖かくなって肌も楽になると思いますよね。でも実際は、冬の乾きが残ったところに、外からの負担が重なります。
1つ目は花粉と黄砂です。スギやヒノキの花粉はおおむね2月下旬から4月に飛び、黄砂は2月ごろから増え始めて3月から5月にピークを迎えます。花粉症では、花粉によって皮膚が荒れることがあります。
2つ目は紫外線です。紫外線は春のうちにぐんと強くなります。つくばで観測された紫外線の強さの目安、UVインデックスの月平均は、2月の2.5〜3.1から、5月には5.0〜6.5まで上がりました。
つくばで観測した日最大UVインデックスの月平均で、2021〜2025年の各年の値の幅を棒で示しました。
環境省の区分では3〜5が「中程度」、6〜7が「強い」です。春のうちに、中程度から強いへ入っていく年もあるということです。
3つ目は、肌そのものがまだ冬の状態にあることです。3月の頬は夏と比べて、肌から逃げる水分が1.23倍多く、角層の水分は少なめで、赤みも高めだったという結果があります。
春の肌あれは、冬の乾き、花粉と黄砂、紫外線の3つが重なって起きると考えておきましょう。
肌では、乾いた角層に花粉がつき、しみのもとが作られ始める
3つの原因は、肌の中のそれぞれ別の場所に負担をかけます。場所がわかると、手入れの意味もわかりやすくなります。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで、うるおいを守っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。3月の角層は、この守りがまだ冬の乾いた状態のままで、水分が逃げやすくなっています。
3月の角層は水分が逃げやすいので、冬の保湿を春先も続けて水分を保ちます。
そこへ、花粉や黄砂、空気中の細かい粒子が表面につきます。空気中の細かい粒子は、皮膚のバリアの働きを落とし、炎症を起こすきっかけになることがわかっています。黄砂が飛んだ日に皮膚の症状が出る人には、金属アレルギーの傾向があるともいわれています。
紫外線は、角層より下の生きた細胞に届きます。紫外線を浴びると、表皮のいちばん下にあるメラノサイトがメラニンという色の粒を作り、まわりの細胞に渡します。メラニンが作られ続けて、たまったところがしみになります。春は、このしみのもとが作られ始める季節です。
いっぽう皮脂は、これから増える側です。頬の皮脂は、3月から夏にかけて約3倍に増えたという結果があります。春は、冬の少ない状態から皮脂が増え始める途中です。
まとめると、角層では乾きと花粉、その下ではしみのもとが、春の肌の中で起きていることです。
手入れは、花粉を落とし、こすらず保湿する
花粉と黄砂には「つけない・落とす」、乾きには「こすらず保湿する」が基本です。角層の表面につくものを減らし、水分が逃げやすい角層を守るためです。
春の手入れは、花粉をつけない・落とす、こすらず保つ、紫外線を防ぐの順に考えます。
花粉よけ
洗顔
保湿
日焼け止め
外では、つばの広い帽子をかぶると、顔につく花粉を減らせます。外側にウール素材の服を着るのは避け、帰ってきたら洗顔をして花粉を落とします。黄砂が多い日は、不要不急の外出を控えることも対策になります。
落とすときは、こすらないことが大事です。ナイロンタオルなどでこすると、角層から逃げる水分が増えて乾燥が進みます。洗浄料をよく泡立てて、泡でやさしく洗いましょう。乾燥によるかゆみには、保湿剤を使うことが日本皮膚科学会のガイドラインでも勧められています。3月の角層は水分が少なめなので、冬の保湿を春先もそのまま続けるのが安心です。
春は、落とすときはやさしく、保湿は冬のままと覚えておけば大丈夫です。
日焼け止めは、夏を待たずに春から使う
日焼け止めは、夏まで待たずに春から使い始めましょう。紫外線は3月に「中程度」に入り、しみのもとが作られ始めるからです。
環境省の目安では、UVインデックスが中程度なら日中はできるだけ日陰を使い、強いなら長袖や日焼け止め、帽子を使います。つくばの観測では3月に中程度に入り、4月から5月には強いに届く年もあります。
塗る量は、顔なら1円硬貨1個分を2回重ねるのが目安で、2〜3時間おきに塗り直します。日本皮膚科学会は、日傘や帽子、長袖で肌に届く紫外線を減らすことを第一にして、日焼け止めを最後の砦と位置づけています。
春の紫外線対策は、帽子と日焼け止めをセットで、3月から始めるのが目安です。
まとめ
- 春の肌あれは、冬の乾きが残った肌に、花粉と黄砂、増える紫外線が重なって起きます
- つくばのUVインデックスの月平均は、2月の2.5〜3.1から5月には5.0〜6.5に上がります
- 角層では乾きと花粉、その下ではしみのもとが作られ始めます
- 帽子と帰ってからの洗顔で花粉を落とし、泡でこすらず洗って、冬の保湿を続けます
- 日焼け止めは3月から使い、2〜3時間おきに塗り直します
春の肌あれは、原因ごとに分けて考えると、やることがはっきりします。落とす、保つ、防ぐの3つを、春のはじめから続けてみてください。
よくある質問
春に肌が荒れやすいのはなぜですか?
冬の乾きが残った3月の肌に、花粉や黄砂がつき、紫外線も月ごとに強くなるからです。3月の頬は夏と比べて、肌から逃げる水分が1.23倍多かったという結果があります。
日焼け止めは春から必要ですか?
春から使いましょう。つくばの観測では3月にUVインデックスが「中程度」に入り、4〜5月には「強い」に届く年もあります。顔は1円硬貨1個分を2回重ね、2〜3時間おきに塗り直すのが目安です。
花粉で肌が荒れるときはどうすればいいですか?
つばの広い帽子で顔につく花粉を減らし、帰ってきたら洗顔で花粉を落とします。洗うときはこすらず、泡でやさしく洗って保湿します。黄砂が多い日は、不要不急の外出を控えることも対策になります。
「ゆらぎ肌」とは何ですか?
化粧品の説明で使われる言葉で、医学の診断名ではありません。春の肌で起きているのは、冬の乾きが残った角層に、花粉や黄砂、増える紫外線が重なることです。
春は皮脂が増えますか?
春は、冬の少ない状態から夏に向けて皮脂が増え始める途中です。頬の皮脂は、3月から夏にかけて約3倍に増えたという結果があります。
この記事で参照した情報
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 気象庁「日最大UVインデックス(観測値)の月平均値」つくば(2021〜2025年)
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)
- 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」(2022年3月改訂版)
- 環境省 環境保健部環境安全課「黄砂とその健康影響について」(小冊子、2019年3月)
- 環境省「資料1 黄砂とその健康影響について」(月別黄砂観測日数平年値)
- Dijkhoff IM, et al. Impact of airborne particulate matter on skin: a systematic review from epidemiology to in vitro studies. Part Fibre Toxicol 2020;17:35
- Nakamura T, et al. Season- and facial site-specific skin changes due to long-term mask wearing during the COVID-19 pandemic. Skin Res Technol 2022;28(5):749-758(PMC9349579)
- Youn SW, et al. Regional and seasonal variations in facial sebum secretions. Skin Res Technol 2005;11(3):189-195
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「メラノサイト」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮膚の乾燥」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け Q4 日焼けはどうして起こるのですか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け Q10」
- 日本化粧品工業会「紫外線防止の基本」
- 日本皮膚科学会「皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020」(日皮会誌130(7):1589-1606)
- 日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」(日皮会誌131(10):2255-2270)
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