成分辞典やさしい解説

酸化チタンをやさしく解説!発がん性の話と化粧品で使われる理由とは?

あるコスメオタク・2026.10.09・更新 2026.10.21・成分解説

成分表示でよく見る「酸化チタン」。発がん性があると聞いて、肌に塗っても大丈夫なのか気になりますよね。

結論から言うと、酸化チタンは白さを出したり紫外線を防いだりするための白い粉で、肌に塗る使い方では害のリスクはないと評価されています。発がん性の話は、粉をたくさん吸い込ませた動物の試験がもとになっていて、塗る話とは別です。まずは、化粧品の中での役目から見ていきましょう。

酸化チタンは、白さを出して紫外線を防ぐ粉

酸化チタンが化粧品に入るおもな目的は、白い色をつけることと、紫外線を防ぐことの2つです。どちらの役目になるかは、粒の大きさで変わります。

酸化チタンは光を強く曲げる性質、つまり屈折率が高いので、白い顔料として広く使われ、ファンデーションなどに白さと下の色を隠す力を与えます。肌色のファンデーションも、酸化鉄の色に白の酸化チタンを合わせて色をつくっています。雲母を酸化チタンの膜でおおったものは、メイクのパール剤の主流です。

もうひとつの役目は、日焼け止めです。紫外線を浴びると、肌の中でメラニンという色の粒が作られ、まわりの細胞に渡されてたまり、しみのもとになります。

酸化チタンは、枠で囲んだ最初の段階で、紫外線が肌に届くのを防ぎます。

紫外線を
浴びる
メラニンが
できる
細胞に
渡される
たまって
しみになる

粒をとても細かくした酸化チタンは、日焼け止めの紫外線散乱剤として、この流れの入り口で働きます。散乱剤の粒の大きさは0.02μm程度で、400nm以下の波長の光、つまり紫外線を散らしたり吸収したりして、肌に届くのを防ぎます。日焼け止めの化粧品では、「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」という効能が、化粧品の効能の範囲として認められています。

紫外線吸収剤を入れずに、酸化チタンや酸化亜鉛などの散乱剤だけで作った日焼け止めが「ノンケミカル」と呼ばれる製品です。デメリットとしてよく挙げられるのは塗ったときに白く見えやすいことで、粒を細かくするほど透明感が出て白浮きしにくくなります。

酸化チタンは、大きな粒なら白さと隠す力、細かい粒なら紫外線よけと覚えておきましょう。

酸化チタンと二酸化チタンは、同じ成分の呼び方の違い

「酸化チタン」と「二酸化チタン」、別のものかと思いますよね。どちらも同じ成分で、化粧品の成分表示では酸化チタン、化学の名前では二酸化チタンと呼ばれます。

化粧品の技術者の団体がつくる用語の辞典でも見出しは二酸化チタンで、酸化チタンとも呼ぶとされています。食品添加物としての名前も二酸化チタンです。

原料はイルメナイトという鉱石で、そこからつくる白い微粉末です。アルミナやシリカなどで粒の表面を処理したものも使われます。名前が違っても、中身は同じ白い粉です。

発がん性の話は、粉を吸い込んだ場合の話

酸化チタンの発がん性の話は、粉を吸い込んだ場合の評価で、肌に塗る使い方を調べたものではありません。もとになっているのは、ラットに酸化チタンの粉を吸わせた試験だからです。

国際がん研究機関は、酸化チタンをグループ2B、つまり人に対して発がん性がある可能性がある物質に分類しています。その根拠は、ラットに粉を吸わせた試験で肺に腫瘍が増えたことです。アメリカの州が出した通知でも、対象は空気中に浮かんでいて吸い込める大きさの粒に限られています。

ヨーロッパでも、10μm以下の粒を1%以上含む粉末の酸化チタンが、吸い込んだ場合の発がん性の区分に入れられていました。しかしこの区分は裁判で取り消され、2025年に取り消しが確定しました。2025年12月には、粉末の酸化チタンは吸入による発がん性の統一された区分の対象ではないと告示されています。

発がん性と聞いたら、吸い込む話か、塗る話かを分けて考えると落ち着いて読めます。

化粧品の酸化チタンは、塗る・吸い込む・口に入るで評価が違う

酸化チタンの安全性は、肌に塗るのか、吸い込むのか、口に入るのかで、評価が分かれています。体に入る道すじによって、心配する点が違うからです。

肌に塗る場合、ヨーロッパで化粧品の安全性を評価する委員会は、日焼け止めにナノの酸化チタンを25%まで配合し、健康で傷のない肌や日焼けした肌に塗っても、全身に入らないことから、人に害のリスクはないと考えられると結論しました。これをもとに日焼け止めへの配合が認められ、その後の再評価でも、肌に塗る化粧品についての結論は変わっていません。日焼け止めに使うナノの酸化チタンには、配合は25%まで、光触媒の働きが表面処理をしていないものの10%以下であること、といった条件もつけられています。

アメリカでは日焼け止めは市販薬の扱いで、酸化チタンと酸化亜鉛を25%までの濃度で、一般に安全で有効と認める案が示されています。日本の化粧品基準には使える紫外線吸収剤の一覧がありますが、酸化チタンは紫外線だけを選んで吸収する物質ではないため、この一覧には入っていません。

吸い込む可能性がある粉やスプレーは、別に扱われています。ヨーロッパの規則では、粉末の酸化チタンについて、顔用のルースパウダーは25%まで、ヘアスプレーは一般向け1.4%、業務用1.1%までとされ、使う人が肺に吸い込むおそれのある使い方には使わない、という条件がついています。ナノの酸化チタンも、スプレーでの使用は安全とはみなせないとされています。

食べる場合については、ヨーロッパの食品安全機関が食品添加物としては安全とみなせないと結論し、2022年から食品への使用が禁止されています。この評価は食品添加物としてのもので、ほかの用途は対象外です。日本では、二酸化チタンは指定添加物として認められ、白い着色料として菓子などに使われています。厚生労働省の資料によると、英国・カナダ・豪州とニュージーランドはいずれもヨーロッパの食品の結論を支持しておらず、米国でも食品添加物としての規制は変わっていません。

食品の話は食べた場合の評価です。化粧品を肌に塗る場合は、害のリスクはないという評価だと押さえておきましょう。

ナノの酸化チタンも、肌の表面と角層の外側にとどまる

日焼け止めの酸化チタンはとても細かいので、肌から体に入るのではと心配になりますよね。ナノの酸化チタンは、肌に塗っても、肌の表面と角層の外側にとどまると考えられています。

規制当局による文献の評価では、酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子は、傷んだ肌であっても生きた皮膚の細胞には届かず、肌の表面と角層の外側にとどまるとされました。そのうえで、日焼け止めの成分として使う限り、害を起こす可能性は低いとされています。

ナノの酸化チタンは、肌の表面と角層の外側にとどまるとされます。

塗る前 ふだんの肌 塗ったあと 粒は角層の外側にとどまる 日焼け止めの粒 角層 表皮 真皮

ナノの大きさの粒は、日焼け止め用の細かい酸化チタンだけにあるわけではありません。ヨーロッパの再評価では、顔料用の酸化チタンにもナノの大きさの粒を多く含むものがあるとされました。日本の化粧品の業界団体は、化粧品の中では粒どうしが集まり、おおむね100nmを超える大きさで存在しているとしています。

ナノの粒も、塗ったあとは角層の外側で紫外線を防ぐ、と考えて大丈夫です。

MRI検査の前は化粧を落とし、合わなければ使うのをやめる

酸化チタン入りの化粧品で気をつけるのは、MRI検査の前に化粧を落とすことと、肌に合わないときにやめることの2つです。

MRI検査の前に化粧を落とすように言われるのは、金属の成分がついた部分で画像が乱れることがあり、化粧をした部分のやけどの事例も報告されているからです。化粧品とMRIの報告で原因として挙げられてきたのは、磁石に引かれる酸化鉄です。アートメイクのインクを調べた研究でも、検査中の痛みの主な原因は磁石につく鉄の鉱物と考えられています。ファンデーションやアイシャドウには酸化チタンと酸化鉄が一緒に入っていることが多いので、成分で判断せず、検査を受ける病院の案内に従って化粧を落としましょう。

酸化チタンなどの紫外線散乱剤は、かぶれの報告が少ないとされ、敏感肌用として開発されてきたノンケミカルの日焼け止めにも使われています。それでも肌に合わないと感じたら、使うのをやめて皮膚科に相談しましょう。ルースパウダーやスプレーは、顔のまわりで吸い込まないように使うのが基本です。

検査の前は病院の案内どおりに化粧を落とす、ふだんは吸い込まないように使う、の2つを覚えておけば安心です。

まとめ

酸化チタンの安全性は、塗るのか、吸い込むのか、食べるのかで分けて考えるのがポイントです。肌に塗るときは評価の結論を参考にしつつ、パウダーやスプレーは吸い込まないように使ってみてください。

よくある質問

酸化チタンは化粧品でどんな効果がありますか?

白い色と色むらを隠す力を与えることと、日焼け止めで紫外線を防ぐことが主な役目です。粒をとても細かくした酸化チタンは、紫外線を散らしたり吸収したりして、肌に届くのを防ぎます。

酸化チタンに発がん性はありますか?化粧品は危険?

国際がん研究機関は「人に発がん性がある可能性がある」2Bに分類していますが、根拠はラットに粉を吸わせた試験です。肌に塗る使い方では、ヨーロッパの評価で、健康な肌や日焼けした肌に25%まで塗っても害のリスクはないと考えられています。ヨーロッパで禁止されたのは、食品添加物としての使用です。

酸化チタンのデメリットは?

肌に塗ったときに白く見えやすいことです。粒を細かくするほど白浮きしにくくなるため、日焼け止めには細かい粒が使われます。パウダーやスプレーは、吸い込まないように使うのが基本です。

MRI検査の前に、酸化チタン入りの化粧品は落とすべきですか?

検査を受ける病院の案内に従って、化粧は落としてから受けましょう。化粧品とMRIの報告で原因として挙げられてきたのは磁石に引かれる酸化鉄で、ファンデーションなどには酸化チタンと一緒に入っていることが多いからです。

酸化チタンでアレルギーは起こりますか?

酸化チタンなどの紫外線散乱剤は、かぶれの報告が少ない成分とされます。それでも肌に合わないと感じたら、使うのをやめて皮膚科に相談しましょう。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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