この記事でわかること
- 並び順の決まりと「1%ルール」
- 成分表から読めることと、書かれていない成分
- 全成分が書かれるようになった理由と、薬用化粧品との違い
化粧品の裏に細かい字で並んでいる成分表。どこから読めばいいのか、上にあるほど多く入っているのか、迷いますよね。
結論から言うと、成分表は配合量の多い順に並んでいますが、1%以下の成分と着色剤は順不同です。だから、上のほうはその製品の土台、下のほうは入っているかどうかだけを見れば十分です。まずは、並び順の決まりから見ていきましょう。
成分表は多い順。ただし1%以下は順不同
成分表は、製品の中の分量が多い順に書く決まりです。ただし、1%以下の成分と着色剤は、順不同で書いてかまいません。この「1%以下は順不同」は業界の習慣ではなく、国の通知にそのまま書かれているルールです。
たとえば、化粧水の成分表で水が1番目にあるのは、ごく普通のことです。その下にグリセリンやBGが続けば、これらが多く入っていると読めます。いっぽう、ずっと下のほうに並ぶ成分は、1%以下なら順番に意味がありません。
1%の線より下は順不同です。実際の成分表には、この線は書かれていません。
しかも、どこからが1%以下なのかは、成分表には書かれていません。「何番目だから多い」と読めるのは、上のほうだけです。
上のほうは製品の土台、下のほうは「入っているか」だけ見る
成分表で読めるのは、上のほうに並ぶ成分がその製品の土台だということと、話題の成分が入っているかどうかです。配合量そのものは、成分表に書かれていないからです。
たとえば、気になる成分の名前が下のほうにあれば、入っていることは確かめられます。でも、それが何%なのかは成分表からはわかりません。下のほうの成分どうしの順番も、どこからが1%以下かも読めません。「〇〇フリー」の表示も同じで、その成分を入れていないという意味で、それ以上のことは読み取れません。
成分表は、入っているかを確かめる材料で、量を比べる材料ではないと覚えておくと、成分表を信じすぎずにすみます。
成分表に書かれていない成分もある
全成分表示というくらいだから、すべて書いてあると思いますよね。でも、成分表には、書かなくてよい成分が2つあります。国の通知で、例外として認められているからです。
1つめは、キャリーオーバー成分です。原料にくっついて入ってくる不純物などの成分で、製品の中では働くだけの量がないものは、書かなくてよいとされています。2つめは香料で、香りづけに使う場合は「香料」とまとめて書いてかまいません。そのため、「香料」の2文字の中身は成分表からはわかりません。
この2つがあるので、成分表は、「書かれていないから入っていない」とは限らないと読むのが正解です。
着色剤は、最後にあるとは限らない
色の成分は成分表の最後にまとまっている、と聞いたことがあるかもしれません。でも、着色剤が最後にあるとは限りません。最後にまとめる書き方は、国の決まりではなく、業界の自主基準で選べる書き方のひとつだからです。
国の通知が認めているのは、1%以下の成分と着色剤を順不同で書いてよい、ということだけです。業界の自主基準には2つの書き方があり、1つは、すべての成分を多い順に書き、1%以下は順不同にするやり方です。もう1つは、着色剤以外の成分を多い順に書き、そのあとにすべての着色剤を順不同で書くやり方です。
着色剤が最後にまとまるのは、2つめを選んだときだけです。1つめなら着色剤は途中に出てくるので、色の成分は、リスト全体から探しましょう。
成分の名前は、世界共通の名前から作られている
成分表の名前は、国際的に使われている成分名をもとに、業界の団体が作っています。日本化粧品工業会に、そのための全成分表示名称委員会が置かれています。
表示名は、国際的な成分名を日本語に訳して作り、化学名でない場合は読みをそのままカタカナにするのが原則です。だから「セラミドNP」のようにカタカナ読みのものと、「加水分解コラーゲン」のように日本語に訳したものが混ざっていて、セラミドの表示名が記号つきになっているのも、この仕組みの結果です。公開されている成分表示名称リストには、16,000を超える成分が載っています。
見慣れない名前でも、リストで調べれば、どんな成分かたどれるようになっています。
全成分が書かれるのは、選びやすくするため
化粧品の成分表は、使う人が製品を選びやすくするためにあります。2001年4月1日に、決まりの目的そのものが変わったからです。
それまで書く必要があったのは、国が指定した102種類の成分だけでした。目的は、皮膚のトラブルを起こすおそれのある成分を、使う人が自分で避けられるようにすることです。それが、製品を選ぶための情報を充実させる目的で、原則すべての成分を書く方式に変わりました。
化粧品は国の決まりで、薬用化粧品は業界の自主基準で、全成分が書かれるようになりました。
指定の102種
化粧品は全成分
薬用も全成分
法律の条文そのものには「すべての成分を書く」とはありません。化粧品の容器に何を書くかを決めた薬機法第61条は、国が指定する成分を書くよう定めていて、その指定を「配合されている成分」とまとめてしているので、全成分表示になっています。
いまの成分表は、危ないものを知らせるためではなく、選べるようにするためのものです。
薬用化粧品の全成分は、業界の自主基準で書かれている
薬用化粧品、つまり医薬部外品の裏にも、同じように全成分が並んでいますよね。でも、薬用化粧品の全成分表示は、法律の義務ではなく、業界の自主基準によるものです。
医薬部外品の容器に書くことを決めた薬機法第59条が求めているのは、指定された医薬部外品の有効成分の名前と分量、そして指定された成分の名前です。すべての成分を求める決まりはありません。そこで日本化粧品工業会が自主基準として成分を表示すると決め、2006年4月1日から実施されています。
見た目は同じ成分表でも、化粧品は国の決まり、薬用化粧品は業界の取り決めで書かれています。
まとめ
- 成分表は配合量の多い順。ただし1%以下の成分と着色剤は順不同で、どこからが1%以下かは書かれていません
- 上のほうはその製品の土台。下のほうは、入っているかどうかだけを確かめます
- キャリーオーバー成分は書かなくてよく、香料は「香料」とまとめて書けます
- 着色剤を最後にまとめるのは業界の自主基準の書き方のひとつで、途中に出てくることもあります
- 化粧品の全成分表示は2001年4月から、薬用化粧品は2006年4月からの業界の自主基準です
成分表は万能の答えではなく、選ぶための材料です。読めることと読めないことの線引きを知っておくと、ちょうどいい距離で付き合えます。
よくある質問
成分表は配合量の多い順に並んでいる?
原則は多い順ですが、1%以下の成分と着色剤は順不同でよいことになっています。どこからが1%以下かは表示されないので、後半の順番から量はわかりません。
成分表で配合量はわかる?
わかりません。配合量そのものは書かれていないので、話題の成分が入っているかは確かめられても、どれくらい入っているかはわかりません。
成分表に書かれていない成分はある?
あります。原料についてくるごく少量の成分、つまりキャリーオーバー成分は書かなくてよく、香りの成分は「香料」とまとめて書けます。
着色剤は必ず最後に書かれている?
必ずではありません。着色剤を最後にまとめるのは、業界の自主基準で選べる書き方のひとつです。もうひとつの書き方を選べば、着色剤が途中に出てくることもあります。
薬用化粧品にも全成分が書かれているのはなぜ?
業界が自主基準として決め、2006年4月から表示しているためです。法律で求められているのは、有効成分と指定された成分の表示です。
この記事で参照した情報
- 医薬品医療機器等法 第61条(化粧品の直接の容器等の記載事項)
- 医薬品医療機器等法 第59条(医薬部外品の直接の容器等の記載事項)
- 厚生省告示第332号(平成12年9月29日) 医薬部外品及び化粧品の成分の指定
- 厚生省「化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について」(平成12年9月29日 医薬発第990号)
- 厚生労働省「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬監麻発第220号・医薬審発第163号)
- 日本化粧品工業会「化粧品の全成分表示の記載方法に関する自主基準」(2018年7月31日 粧工連通知2018005号)
- 日本化粧品工業会「化粧品の成分表示名称リスト」
- 日本化粧品工業会「表示名称作成ガイドライン」(2002年2月27日)
- 日本化粧品工業会「全成分表示名称委員会について」
- 日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示について」
この記事が入っているテーマ別まとめ