この記事でわかること
- 「エイジングケア」という言葉の意味と、アンチエイジングとの違い
- 化粧品で言える「はり」と「乾燥による小ジワ」の範囲
- シワが気になるときの選び方
「エイジングケア」と書かれた化粧品を見ると、ほかの化粧品と何が違うのか、アンチエイジングと同じなのか迷いますよね。
結論から言うと、「エイジングケア」は「年齢に応じたお手入れ」という意味の言葉で、言葉そのものに特別な効果はありません。化粧品が年齢に関係して言えるのは「肌にはりを与える」と「乾燥による小ジワを目立たなくする」の2つで、アンチエイジングとも意味が違います。
「エイジングケア」は、年齢に応じたお手入れという意味の言葉
「エイジングケア」は、年齢とともに変わる肌に合わせて、化粧品の効能の範囲の中で行うお手入れのことです。化粧品の広告のガイドラインで、そう決められているからです。
使ってよい言い方の例も、「年を重ねた肌にうるおいエイジングケア」や、うるおい成分を入れたクリームでエイジングケアと書き、「年齢に応じたお肌の手入れ」と注釈を添える形です。どちらも、実際にうたっているのはうるおいです。
「エイジングケア」の文字を見たら、いつもの化粧品と同じ範囲のお手入れだと読みましょう。
化粧品が年齢に関係して言えるのは、「はり」と「乾燥による小ジワ」の2つ
化粧品が年齢に関係して言えるのは、「肌にはりを与える」と「乾燥による小ジワを目立たなくする」の2つだけです。国が決めた化粧品の効能56項目に、「エイジング」「老化」「若返り」「たるみ」という言葉がないからです。
30番目が「肌にはりを与える。」、56番目が「乾燥による小ジワを目立たなくする。」です。「たるみ」は項目そのものがないので、化粧品は何も言えません。
「エイジングケア」という言葉を添えても、この枠の外には出られません。「若々しい素肌がよみがえる」「シワを改善する」とうたうエイジングケアや、「加齢に待ったをかける」「肌の老化と戦う」「衰えに負けない肌をつくる」といった言い方は、使えない表現の例としてはっきり挙げられています。
年齢の悩みに化粧品が言えるのは、はりと乾燥による小ジワまで、と覚えておくと広告を読み分けられます。
「乾燥による小ジワを目立たなくする」と書けるのは、試験をした製品だけ
56番目の効能は、決められた試験をした製品だけが書けます。国の通知で、製造販売業者が自分の責任で、学会の抗シワ製品評価ガイドラインにもとづく試験か、それと同等以上の試験をすることが求められているからです。承認を受けるのではなく、試験の資料を自社で保管しておく形です。
この効能の「乾燥による」にも意味があります。角層が乾くと、表面に浅い溝ができます。これが乾燥による小ジワです。角層にうるおいを与えると、この浅い溝が目立ちにくくなります。
化粧品で言えるのは、角層のうるおいで乾燥による小ジワを目立たなくするところまでです。
乾燥以外が原因のシワは、この効能の対象外です。化粧品の「小ジワ」は、角層のうるおいの話だと考えましょう。
エイジングケアは、アンチエイジングの言い換えではない
エイジングケアとアンチエイジングは、同じ意味ではありません。アンチエイジングは文字どおり加齢に抗うこと、エイジングケアは年齢による変化に合わせることで、向きが逆だからです。
化粧品の広告のガイドラインの解説資料でも、エイジングケアはアンチエイジングの言い換えではない、と念を押しています。「エイジングケア」と書けば何でも言えるようになるわけではありません。
売り場では、言葉そのものより、その前後に何が書いてあるかを見るほうが役に立ちます。
深いシワとたるみは、角層より下で起きている
深いシワやたるみは、化粧品が働く角層より下の変化から起きています。だから、角層のうるおいだけでは届かない悩みです。
シワは形で大きく3つに分けられます。目じりや眉間にできる線状じわ、頬や首で深めの溝が交わってひし形や三角形に見える図形じわ、太ももやおなかなどのゆるんだ皮膚にできる細かなひだの縮緬じわです。
線状じわや図形じわのような深めのシワには、日光による肌の老化、いわゆる光老化が関わっていると考えられています。深いシワは、紫外線や年齢によって、真皮という層で肌のハリを支える線維が衰え、表面の溝が深く刻まれてできます。
深いシワが刻まれるまでの流れです。線維は、角層よりずっと下の真皮にあります。
年齢
衰える
失われる
刻まれる
たるみは、年齢とともに肌のはりが失われて垂れ下がってできるふくらみです。肌の弾力の低下、筋力の低下、皮膚の脂肪の増加などが原因として考えられています。
光老化は、顔や首など、ふだん外に出ている部分で起こります。深いシワの流れの入り口を減らすには、日焼け止めでの紫外線対策が大切です。
「シワを改善する」と書けるのは、承認を受けた医薬部外品
「シワを改善する」とうたえるのは、承認を受けた医薬部外品です。この効能は化粧品の56項目にはなく、医薬部外品として国の承認が必要だからです。
シワの医薬部外品は以前は認められていませんでしたが、2016年に初めて承認されました。認められた効能は「シワを改善する」で、皮膚をすこやかに保つ、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ、という効能と並んで書かれています。ナイアシンアミドも、医薬部外品の有効成分として「シワを改善する」効能が認められている成分です。
深いシワが気になるなら、「エイジングケア」の文字ではなく、「薬用」と「シワを改善する」の表示を探しましょう。
選ぶときは、区分と効能の言葉を見る
年齢の悩みで選ぶときは、「エイジングケア」の文字より、区分と効能の言葉を見ます。書ける効能は、化粧品か医薬部外品かで決まっているからです。
年齢の悩みについて、区分ごとに書ける効能の言葉です。
化粧品
「肌にはりを与える」
化粧品+試験
「乾燥による小ジワを目立たなくする」
医薬部外品
「シワを改善する」
乾燥やはりが気になるなら、保湿成分の入った化粧品で、「皮膚にうるおいを与える」「肌にはりを与える」の範囲のお手入れをします。乾燥による小ジワなら「効能評価試験済み」と書かれた化粧品、深いシワなら「シワを改善する」医薬部外品が目安です。
どの年齢でも、うるおいと紫外線対策が土台になります。
まとめ
- 「エイジングケア」は、化粧品の効能の範囲の中で行う年齢に応じたお手入れのことです
- 化粧品が年齢に関係して言えるのは「肌にはりを与える」と「乾燥による小ジワを目立たなくする」の2つです
- 乾燥による小ジワの効能は、決められた試験をした製品だけが書けます
- エイジングケアはアンチエイジングの言い換えではありません。深いシワやたるみは角層より下で起きています
- 「シワを改善する」は、2016年に初めて承認された医薬部外品の効能です
「エイジングケア」の文字より、その隣に書かれた区分と効能の言葉を見ると、選びやすくなります。
よくある質問
エイジングケアとアンチエイジングは同じ?
同じではありません。アンチエイジングは加齢に抗うこと、エイジングケアは年齢による肌の変化に合わせたお手入れのことで、向きが逆です。エイジングケアはアンチエイジングの言い換えではありません。
エイジングケア化粧品はたるみに効く?
化粧品は「たるみ」について何もうたえません。化粧品の効能56項目に「たるみ」「老化」「若返り」という言葉はなく、年齢に関係して書けるのは「肌にはりを与える」「乾燥による小ジワを目立たなくする」の2つです。
「小ジワを目立たなくする」はどの化粧品でも書ける?
書けるのは、決められた試験をした製品だけです。学会の抗シワ製品評価ガイドラインにもとづく試験などを、製造販売業者の責任で行う必要があります。対象も乾燥による小ジワに限られます。
「シワを改善する」とうたえる製品はある?
医薬部外品にはあります。「シワを改善する」という効能は、2016年に初めて医薬部外品で承認されました。ナイアシンアミドも、この効能が認められた有効成分です。
エイジングケア化粧品はどう選べばいい?
「エイジングケア」の文字より、「薬用」かどうかと、どの効能が書かれているかを見ると選びやすくなります。深いシワは日光の影響とも関係するので、日焼け止めも大切です。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「しわ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「たるみ」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
- 日本化粧品工業会 啓発推進委員会 適正広告研究部会 講演資料「「化粧品等の適正広告ガイドライン」について」(京都府薬務課掲載)
- 日本香粧品学会「化粧品機能評価法ガイドライン」(新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドラインを含む)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) 医薬部外品 審議結果報告書(平成28年5月24日)
- 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録(平成28年5月20日)
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