成分辞典やさしい解説

アゼライン酸の効果をやさしく解説!ニキビ跡の噂の正体とは?

あるコスメオタク・2026.09.27・更新 2026.10.21・成分辞典
肌の悩みニキビシミ

この記事でわかること

  • 「ニキビ跡に」という噂が生まれた背景
  • 薬としてのアゼライン酸と、化粧品のアゼライン酸の違い
  • 水に溶けにくい性質と、使うときの注意

「アゼライン酸はニキビ跡にいい」と聞くと、化粧品でも同じように期待していいのか、気になりますよね。

結論から言うと、「ニキビ跡に効く」という話のもとは、海外で15〜20%の薬として使ったときの結果です。日本で売られている製品は化粧品で、肌を整えるために入っています。小麦などの穀物にも、肌にいる菌にもある身近な酸です。

「ニキビ跡に効く」は、海外の薬として使ったときの話

SNSで語られる「ニキビ跡の色素沈着に」という話の出どころは、薬として使ったときの結果です。アゼライン酸は海外では処方される薬で、よく知られている結果の多くは、その濃度で、医師の管理のもとで使ったものだからです。

ニキビは、皮脂が増えて毛穴の出口がつまるところから始まります。おさまったあとに、赤みや茶色い色素沈着が残ることがあり、これがよく言われるニキビ跡です。薬の濃度のアゼライン酸では、こうした赤みや色素沈着が目立ちにくくなったという結果があります。肝斑というしみでは、20%のアゼライン酸が、4%のハイドロキノンと同じくらいの結果だったという報告もあります。

また、アゼライン酸は、塗れば誰でも肌が白くなる成分ではありません。色をつくる細胞のメラノサイトのうち、正常な細胞の働きははっきりとは抑えず、働きすぎている細胞を選んで働くとされています。

一方、日本の化粧品で言えるのは、「肌を整える」「肌のキメを整える」など、国が決めた化粧品の効能の範囲です。薬としての結果は、化粧品の働きとは分けて読みましょう。

海外では、20%はニキビ、15%は酒さの薬

アメリカやイギリスでは、アゼライン酸は処方される薬です。20%のクリームはニキビに、15%のジェルは酒さという顔が赤くなる病気に使われています。

アメリカの薬の説明書では、どちらも軽度から中等度の、炎症を伴うぶつぶつに外から塗って使う薬です。臨床でよく使われる濃度は15%と20%で、化粧品の濃度はたいていそれより低いとされています。日本の化粧品には、アゼライン酸の配合量の公的な上限はなく、濃度は製品ごとに違います。

海外で薬なのに日本で化粧品なのは、日本で医薬品として承認された成分かどうかで決まる制度の違いによるものです。化粧品のアゼライン酸は「薬より低め」と覚えておけば十分です。

アゼライン酸は、穀物にも肌の上にもある身近な酸

アゼライン酸は、小麦やライ麦、大麦に含まれ、肌にいる菌もつくっている、身近な酸です。飽和ジカルボン酸という、酸が2つついた分子の仲間です。

正式な名前は「ノナン二酸」といいます。「ノナン」は炭素が9個、「二酸」は酸が2つという意味です。

正式名の「ノナン二酸」は、炭素9個の鎖の両端に酸が1つずつついた形を表しています。

酸 1 2 3 4 5 6 7 8 酸 9 炭素9個=ノナン、酸2つ=二酸

この酸は、私たちの肌の上にもあります。肌にふつうにいる菌の一種、マラセチアがつくっているからです。マラセチアを育てた液から炭素9個の酸が見つかり、それがメラニンをつくる酵素の働きを邪魔したことが、肌の成分として研究されるきっかけになりました。

パンの材料にも、自分の肌の上にもある酸、と考えると身近に感じられます。

水に溶けにくいので、化粧品では誘導体も使われる

アゼライン酸は水に溶けにくいので、化粧品では水に溶けやすく形を変えた誘導体もよく使われます。20℃の水1Lに溶けるのは2.4gだけで、化粧水のような水ベースの製品に、そのままたくさん入れることができないからです。見た目は白い粉で、融点は約106℃です。

アゼロイルジグリシンKは、アゼライン酸を水に溶けやすい形に変えた誘導体です。

水に溶け
にくい
形を変えて
誘導体に
水に溶け
やすい
化粧水にも
入れやすい

成分表で見かけるアゼロイルジグリシンKが、この誘導体にあたります。「アゼライン酸配合」と「アゼロイルジグリシンK配合」は似ていても別の成分なので、成分表を見るときの目印にしてください。

使うときは、ヒリつきと目に入れないことに気をつける

アゼライン酸で気をつけたいのは、ヒリつきと、目や口に入れないことです。薬の説明書に、この成分の性格として書かれている注意だからです。化粧品としては、まず製品の説明書きに従いましょう。

20%のクリームでは、かゆみや熱い感じ、ヒリつき、チクチク感が患者の約1〜5%に、15%のジェルでは29%に起きています。「使い始めにピリッとする」という声の裏づけは、ここにあります。また、まれに肌の色が抜ける色素脱失の報告があり、肌の色が濃い人は初めのうちの変化に気をつけるよう求められています。

妊娠中については、アメリカの薬の説明書では、皮膚から吸収される量はわずかで、おなかの赤ちゃんに届くことは想定されないとされています。日本の化粧品には、妊娠中についての公的な注意は定められていません。気になる人は医師に相談しましょう。

赤みやヒリつきが続くときは使うのをやめて、肌に合わないときは肌トラブルの相談窓口も使えます。

まとめ

パンにも肌にもある酸が、国によって薬になったり化粧品になったりします。この立場の違いを知っておくと、広告の言葉に振り回されません。

よくある質問

アゼライン酸はニキビ跡に効く?

「ニキビ跡に効く」は、海外で15〜20%の薬として使ったときの結果です。日本の市販品は化粧品で、目的は「肌を整える」「肌のキメを整える」などの範囲です。

アゼライン酸を塗ると肌が白くなる?

正常な肌の色を変える成分ではありません。色をつくる細胞のうち、正常な細胞の働きははっきりとは抑えず、働きすぎている細胞を選んで働くとされています。

アゼライン酸とアゼロイルジグリシンKの違いは?

似ていますが、別の成分です。アゼライン酸は水に溶けにくいため、水に溶けるように形を変えた誘導体のアゼロイルジグリシンKが、化粧品でよく使われます。

使い始めにピリピリするのはなぜ?

ヒリつきは、この成分で知られている反応です。米国の薬の説明書では、20%クリームで患者の約1〜5%、15%ジェルで29%に、かゆみやヒリつきなどが起きています。目や口に入れないよう注意しましょう。

妊娠中でも使える?

日本の化粧品には、妊娠中についての公的な注意は定められていません。米国の薬の説明書では、皮膚からの吸収はわずかで、おなかの赤ちゃんに届くことは想定されないとされています。気になる人は医師に相談しましょう。

この記事で参照した情報

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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