この記事でわかること
- 角層と皮膚全体の厚さの、場所による違い
- 皮脂腺・汗腺・皮下脂肪が多い場所と少ない場所
- 皮膚と粘膜の境目にある唇のつくり
同じ自分の肌なのに、顔と手のひら、唇では、さわった感じも見た目もずいぶん違うと思いますよね。
結論から言うと、肌は場所によって、角層の厚さ、皮脂腺や汗腺の数、皮下脂肪の厚さが大きく違います。頬の角層は約10層なのに手のひらやかかとは約50層、唇には汗を出すエクリン汗腺がありません。まずは、角層の厚さの違いから見ていきましょう。
角層の厚さは、頬と手のひらで約5倍違う
同じ肌でも、いちばん外側の角層の厚さは、場所によって大きく違います。角層(表皮のいちばん外側の、平たい細胞が重なった層)は細胞が何層にも重なってできていて、その層の数が部位ごとに違うからです。
角層の層の数は、頬と手のひらで約5倍違います。
標準的な部位の角層は、約10〜20μm(0.01〜0.02mm)の厚さです。手のひらや足の裏のように、しっかりした守りが必要な場所では、角層がほかよりずっと厚くなっています。
表皮と真皮を合わせた皮膚全体の厚さは1.0〜4mmで、手のひらと足の裏がもっとも厚く、一般に女性より男性、幼児より大人のほうが厚くなっています。表皮だけの厚さは平均約0.2mmです。顔は、体の中でも角層が薄い場所です。
皮脂腺は手のひらと足の裏になく、顔のTゾーンに多い
皮脂腺(皮脂をつくる小さな袋)は、手のひらと足の裏をのぞく全身にありますが、その数は場所によって大きく違います。
ふつうは1cm²あたり100個以下ですが、頭や、額・眉間・小鼻などの顔のTゾーン、胸の真ん中、わきの下、へそのまわりでは、1cm²あたり400〜900個と密に並び、腺そのものも大きくなります。皮脂腺の多くは毛包(毛を包む管)に付属しているので、毛包の数も場所で違い、頭には多く、足の裏にはまったくありません。
皮脂の多い場所と少ない場所の差は、皮脂腺の数と大きさの違いから生まれています。
汗腺は手のひら・足の裏・わきに多く、種類も場所で違う
汗を出すエクリン汗腺は全身に約300万個あり、手のひら、足の裏、わきの下にもっとも多く集まっています。
エクリン汗腺は、唇などの一部をのぞく全身の皮膚にあり、1cm²あたり130〜600個の密度で分布しています。熱やストレスに反応して汗を出す汗腺です。いっぽうアポクリン汗腺は、わきの下と性器のまわりにある特殊な汗腺で、濃くて脂っぽい汗を出します。この汗を皮膚の細菌が分解することで、その場所らしいにおいが生まれます。
角層の厚さと腺のあるなしは、場所で違います。
角層の厚さ、皮脂腺、汗腺の組み合わせで、場所ごとに肌のつくりが決まっているのです。
皮下脂肪の厚さも、場所によって違う
皮膚のいちばん下にある皮下脂肪の厚さも、場所によって大きく違います。皮下脂肪の厚さは、体の部位や年齢などで変わるからです。
皮下脂肪は、頬、乳房、おしり、太もも、手のひら・足の裏などでとくに厚く、まぶた、鼻すじ、唇では薄くなっています。おなかやおしりでは、人によって5〜10cmにもなります。
まぶたや唇は、皮下脂肪まで含めて薄い場所です。
唇は、皮膚と粘膜のあいだにある特別な場所
唇は、皮膚から口の中の粘膜へ移り変わる境目にある、つくりの違う場所です。
唇は、皮膚の部分、ふだん「唇」と呼ぶ赤い部分(赤唇縁)、口の中側の粘膜の部分に分かれます。赤い部分は、表皮は厚いのに角層はとても薄く、天然保湿因子(角層の細胞の中で水を抱える成分)も皮膚より少なめです。エクリン汗腺はなく、大人の約半数には、毛包をもたない皮脂腺があります。
唇が赤く見えるのは、とても薄く透明な角層の下に、毛細血管をたくさん含む真皮乳頭(真皮が表皮へ向かって出っぱった部分)が高くのびていて、血の色がすけて見えるからです。メラニンもないか、ごくわずかです。唇の細胞の入れかわりは約3.5日で、皮膚よりずっと速く進みます。
唇は、皮膚と粘膜の両方の性質をあわせもつ場所です。
場所による違いは、角層・表皮・毛穴のしくみにつながっている
場所ごとの肌の違いは、肌の基本のつくりを知るとよくわかります。角層がどんな細胞と脂でできているかは角層の記事、表皮と真皮の役割は表皮と真皮の記事で解説しています。
皮脂腺がつながる毛包のつくりは、毛穴のつくりの記事で読めます。体のどこの肌も、同じ層の組み合わせを、場所に合わせて少しずつ変えたものです。
まとめ
- 角層は頬で約10層、標準的な部位で約15層、手のひら・かかとで約50層と、場所で大きく違います
- 皮膚全体の厚さは1.0〜4mmで、手のひらと足の裏がもっとも厚くなっています
- 皮脂腺は手のひらと足の裏になく、顔のTゾーンなどでは1cm²あたり400〜900個と多くなります
- エクリン汗腺は全身に約300万個あり、手のひら・足の裏・わきに多く、唇にはありません
- 唇は皮膚と粘膜の境目にあり、角層がとても薄く、細胞は約3.5日で入れかわります
同じ肌でも、場所ごとに層の厚さや腺の数が違います。体のあちこちの肌を見くらべると、それぞれの場所に合ったつくりになっていることがわかります。
よくある質問
角層の厚さは場所でどれくらい違う?
頬は約10層、標準的な部位は約15層、手のひらやかかとは約50層です。頬と手のひらでは約5倍違います。
手のひらに皮脂腺はある?
ありません。皮脂腺は手のひらと足の裏をのぞく全身にあり、顔のTゾーンなどでは1cm²あたり400〜900個と多くなります。
汗腺はどこに多い?
エクリン汗腺は手のひら、足の裏、わきの下にもっとも多く、全身で約300万個あります。アポクリン汗腺は、わきの下と性器のまわりにあります。
唇はほかの肌と何が違う?
皮膚と粘膜の境目にあり、角層がとても薄く、エクリン汗腺がありません。細胞の入れかわりは約3.5日で、皮膚よりずっと速く進みます。
唇が赤く見えるのはなぜ?
薄く透明な角層の下に、毛細血管を多く含む真皮乳頭が高くのびていて、血の色がすけて見えるからです。メラニンもないか、ごくわずかです。