この記事でわかること
- 赤ちゃんの表皮のうすさと肌の面積
- 胎脂と皮脂の量の変化
- 表面のpHと汗腺の、大人との違い
ぷるぷるに見える赤ちゃんの肌ですが、大人の肌とくらべて、つくりがどう違うのか気になりますよね。
結論から言うと、赤ちゃんの肌は大人より表皮がうすく、皮脂の量が月齢で大きく変わり、表面のpHも中性に近いところから始まります。うすさ・皮脂・pHの3つが、大人の肌との大きな違いです。生まれたあと、肌は少しずつ大人のしくみに近づいていきます。まずは、うすさの違いから見ていきましょう。
赤ちゃんの表皮は、大人より約20%うすい
赤ちゃんの表皮は、大人より約20%うすくできています。表皮(肌のいちばん外側の層)の厚さは、大人で平均約0.2mmです。表皮と真皮(表皮の下にある、肌の土台の層)を合わせた皮膚全体も、一般に幼児より大人のほうが厚くなっています。
赤ちゃんの表皮は、大人より約20%うすい。
体重に対する肌の面積の割合も、赤ちゃんは大人の約3倍です。体の小ささのわりに、外の世界と接する肌が広いのです。赤ちゃんの肌は、うすく、体のわりに面積の広い肌だといえます。
生まれたときの肌は、胎脂という脂でおおわれている
生まれたばかりの赤ちゃんの肌は、胎脂(おなかの中で肌をおおっていた白っぽい脂)でおおわれています。胎脂は、おなかの中にいるあいだ、肌を守るためにできているものです。
胎脂は、おなかの中で羊水や酵素から肌を守り、菌を抑える性質をもっています。生まれたあとも、肌から逃げる水分を少なく保ち、肌の表面のpHを下げ、脂と水分を補う働きがあります。
また、おなかの中の赤ちゃんの肌には菌がいなく、生まれるときや、生まれて数分のうちに常在菌(ふだんから肌にすむ菌)がつき始めます。生まれた瞬間から、肌は外の世界に合わせて変わり始めるのです。
皮脂は生後すぐに多く、生後3か月ごろにはほとんど出なくなる
赤ちゃんの皮脂の量は、生まれてから数か月で大きく変わります。皮脂腺(皮脂をつくる小さな袋)は男性ホルモンの仲間であるアンドロゲンの影響を強く受け、生まれてすぐと思春期に皮脂が多く出るからです。
皮脂の量は、生後3か月ほどで大きく変わります。
すぐ出る
最も多い
減り始める
ほぼ止まる
その後は、思春期にまた増えるまで、乳幼児の皮脂は大人よりずっと少ない状態が続きます。赤ちゃんの皮脂は、生後3か月を境に大きく少なくなると覚えておきましょう。
肌の表面のpHは、中性に近いところから弱酸性へ近づいていく
生まれたばかりの赤ちゃんの肌の表面は、中性に近いpHです。大人の肌の表面はpH5〜7の弱酸性ですが、赤ちゃんの肌は生まれたあと、時間をかけて酸性に近づいていきます。
生まれたときの肌のpHは約6.34〜7.5で、中性か、わずかにアルカリ性です。その後少しずつ下がり、pH5.5ほどの酸性になります。この変化は、生後2週間から1年ほどのあいだに落ち着くとされています。
天然保湿因子(角層の細胞の中で水を抱える成分)の量も、生後1年までのあいだに少しずつ増えていきます。赤ちゃんの肌は、大人の角層のしくみを、生まれてから整えていく途中にあります。
汗腺は生まれたときにでき上がり、背中には熱をつくる脂肪がある
汗を出すエクリン汗腺は、生まれたときにはもうでき上がっています。ただし、手のひら、足の裏、前腕の汗の出方が大人と同じになるのは、1歳ごろです。
皮膚のいちばん下にある皮下脂肪も、新生児のころと思春期に発達して厚くなる傾向があります。胎児や新生児の背中には、脂肪のつぶをたくさんもつ褐色脂肪組織(熱をつくる働きをもつ脂肪)があり、さかんに熱をつくっています。
赤ちゃんの肌は、汗や熱にかかわるしくみも、大人とは少し違うのです。
赤ちゃんの肌の変化は、角層・皮脂・常在菌のしくみとつながっている
赤ちゃんの肌で起きている変化は、大人の肌のしくみを知るとよくわかります。pHや天然保湿因子が整っていく角層のつくりは角層の記事、皮脂がつくられるしくみと肌が弱酸性になる理由は皮脂とpHの記事で解説しています。
生まれた直後からすみはじめる菌については、常在菌の記事で読めます。赤ちゃんの肌は、大人の肌のしくみができ上がっていく途中の姿です。
まとめ
- 赤ちゃんの表皮は大人より約20%うすく、体重に対する肌の面積は大人の約3倍です
- 生まれたときの肌は胎脂におおわれ、生まれた直後から常在菌がすみはじめます
- 皮脂は生後1週間ごろがいちばん多く、生後3か月ごろにはほとんど出なくなります
- 肌の表面のpHは生まれたとき約6.34〜7.5で、少しずつpH5.5ほどの酸性になります
- エクリン汗腺は生まれたときにでき上がっていて、新生児の背中には熱をつくる褐色脂肪組織があります
赤ちゃんの肌は、うすさ・皮脂・pHの3つで大人と違い、生まれてから少しずつ大人のしくみに近づいていきます。その変化の途中にあるのが、赤ちゃんの肌です。
よくある質問
赤ちゃんの肌は大人と何が違う?
表皮が大人より約20%うすく、体重に対する肌の面積は大人の約3倍です。皮脂の量や表面のpHも、生まれてから大きく変わります。
赤ちゃんの皮脂はいつ減る?
生後1か月をすぎると減り始め、生後3か月ごろにはほとんど出なくなります。いちばん多いのは生後1週間ごろです。
生まれたときの肌についている白い脂は何?
胎脂です。おなかの中で羊水などから肌を守り、生まれたあとも水分が逃げるのを少なくし、表面のpHを下げる働きがあります。
赤ちゃんの肌も弱酸性?
生まれたときは中性に近く、pHは約6.34〜7.5です。その後少しずつ下がり、生後2週間から1年ほどのあいだにpH5.5ほどの酸性に落ち着きます。
赤ちゃんにも汗腺はある?
あります。エクリン汗腺は生まれたときにでき上がっていて、手のひらや足の裏などの汗の出方は1歳ごろに大人と同じになります。
この記事で参照した情報
- Structure of children's skin and rules for its care - what's new? Children's skin structure. Pediatr Pol 2021;96(4):258-262
- Elias PM. Stratum corneum acidification: how and why? Exp Dermatol 2015;24(3):179-180
- Grice EA, Segre JA. The skin microbiome. Nat Rev Microbiol 2011;9(4):244-253
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ベビー用化粧品」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮膚」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「脂腺」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「pH」
- 北海道大学大学院医学研究院 皮膚科学教室 公開資料「皮膚の構造と機能 B. 表皮」
- 北海道大学大学院医学研究院 皮膚科学教室 公開資料「皮膚の構造と機能 D. 皮下脂肪組織」