この記事でわかること
- 額や鼻に皮脂が多く、ほおが乾きやすい理由
- 「混合肌」という言葉の2つの意味と、場所で分けるお手入れ
- 季節や年齢で変わる肌タイプと、普通肌との違い
おでこや鼻はテカるのに、ほおや口元はかさつく。どちらに合わせてお手入れすればいいのか、迷いますよね。
結論から言うと、混合肌は、場所ごとにお手入れを分けるのが基本です。顔は場所によって、皮脂の出る量がもともと違うからです。あぶらっぽい所は念入りに洗い、乾きやすい所は洗いすぎずにしっかりうるおします。まずは、場所でなぜ違うのかから見ていきましょう。
額と鼻は皮脂腺が多く、ほおは皮脂が少ない
額と小鼻のまわりを合わせたTゾーンは、皮脂の出方が活発な場所です。これに対して、両ほおとあごを結ぶUゾーンは皮脂の出る量が少なく、乾燥しやすいとされています。呼び名は、それぞれの形がアルファベットのTとUに似ていることから来ています。
この違いのもとは、皮脂をつくる皮脂腺の数と大きさです。顔では額や眉間、小鼻、小鼻の横から口の横へのびるみぞ、あご先などで皮脂腺がよく発達していて、皮脂をたくさんつくります。こうした場所の皮脂腺は1平方センチあたり400〜900個と、ふつうの場所の100個以下に比べてずっと多く、腺そのものも大きくなっています。
場所の違いの中心は、表面をおおう皮脂の量です。
額はほおより皮脂が多い一方で、肌の水分量は額とほおで変わらなかったという結果があります。場所の差は、表面をおおう皮脂の量の差として見るとわかりやすいです。
あごの扱いは、資料によって分かれます。Uゾーンの説明ではあごはほおと同じ側に入っていますが、皮脂腺がよく発達する場所にはあご先も含まれていて、額と鼻とあごの皮脂は両ほおより多かったという結果もあります。自分のあごがべたつくのか、かさつくのかは、ふだんの感触で見分けるのが確実です。
混合肌の場所による違いは、まず皮脂の量の違いと考えておきましょう。
「混合肌」には、場所で違う肌と、皮脂が多いのに乾く肌の2つの意味がある
混合肌という言葉、商品によって説明が違うと思いませんか。「混合肌」は、2通りの意味で使われている言葉です。ひとつは、額や鼻はべたつくのにほおや口元はかさつく、というように、顔の場所によってあぶらっぽさと乾燥が混ざっている肌です。もうひとつは、顔全体として皮脂は多いのに水分が足りない肌です。
皮脂が多いのに乾く、というのは不思議に思えますよね。角層のうるおいは、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで保たれています。
皮脂膜は3つのうちの1つなので、皮脂が多くても角層の水分が足りないことがあります。
- 1皮脂膜 肌の表面をおおう、皮脂と汗の膜
- 2天然保湿因子 角層の細胞の中で、水を抱える
- 3細胞間脂質 細胞のすき間を埋めて、水分を逃がさない。約50%はセラミド
皮脂膜はこの3つのうちの1つなので、皮脂が多くても、角層の水分が足りないことがあります。化粧品の専門分野では、この状態に近い肌を「乾燥型脂性肌」と呼び、皮脂が多いのに角層の水分が足りず、きめが粗く乱れやすい肌のこととしています。インナードライと呼ばれることもあります。
この記事では、混合肌を顔の場所によって皮脂の出方が違う肌として扱います。肌タイプの分け方はひとつではなく、化粧品の専門分野では、皮脂の量と角層の水分量の組み合わせで普通肌・脂性肌・乾燥肌・乾燥型脂性肌の4つに分ける方法があり、そこには混合肌という項目はありません。いっぽう商品の説明でよく使われるのは普通肌・乾燥肌・脂性肌・混合肌の4つで、同じ4タイプでも中身が違います。
混合肌はもっとも多いタイプなのに、意味がほかのタイプよりあいまいだという指摘もあります。商品で「混合肌」を見たら、どちらの意味かを確かめると選びやすくなります。
お手入れは、洗うのも保湿も場所で分ける
混合肌のお手入れは、あぶらっぽい所と乾きやすい所で分けて考えるのが基本です。皮脂の多い所と少ない所に同じお手入れをすると、どちらかに合わなくなるからです。
洗顔のときは、脂っぽい額・鼻・あごと、汚れがたまりやすい小鼻を特に入念に洗うのがよいとされています。ほおのように乾きやすい所は、洗いすぎに気をつける側です。洗浄料の使いすぎやすすぎ残しは、肌の乾燥を悪化させることがあるからです。同じ洗顔料を使っていても、どこに時間をかけるかで、場所ごとの差をつけられます。
洗うときは皮脂の多い所を中心に、うるおすときは乾きやすいほおから始めます。
中心に洗う
軽く洗う
うるおす
重ねづけ
保湿では、べたつきが気になるからといって化粧水や乳液の量を減らしたり、乳液を省いたりしないことが大切だとされています。塗るときは乾燥しやすいほおから始め、顔の中心から外側へ、下から上へと全体にむらなくなじませ、うるおいが足りない所には重ねづけをします。乾きやすいUゾーンには、保湿効果の高いクリームや乳液で乾燥を防ぐのが基本です。皮脂は多いのに乾く肌でも、乾燥しやすい所を洗いすぎないようにして、化粧水や乳液で水分を十分に補うことが大切です。
商品の表示を見るときは、医薬部外品の効能の言葉が手がかりになります。薬用の化粧水や乳液、クリームには、国が認めた効能のひとつとして「油性肌」があり、脂性肌ではなく油性肌という言葉で書かれます。混合肌や普通肌という言葉は効能には入っておらず、ふつうの化粧品で言えるのは、汚れを落として皮膚を清浄にする、皮膚の水分や油分を補い保つ、といった範囲です。
洗うときは額や鼻を中心に、うるおすときはほおから、と場所で順番を変えると覚えておけば十分です。
混合肌かどうかは、季節と年齢で変わる
肌のタイプは、ずっと同じとは限りません。皮脂の量にはもともと大きな個人差があるうえ、性別や年齢、部位のほか、食事、ホルモン、体のリズム、体温、気温などにも左右されるからです。
季節では、夏がもっとも皮脂の多い季節で、TゾーンにもUゾーンにも季節による変動があったという結果があります。TゾーンとUゾーンのタイプが2つ以上の季節で食い違う状態が、本人が混合肌だと感じる状態に近い、という見方も示されています。
年齢と性別でも皮脂の量は変わります。男性の皮脂はいつも女性より多く、年齢を重ねてもあまり変わらなかった一方、女性の皮脂は生涯を通じて少しずつ減っていったという結果があります。日本人女性でも、年代が上がるほど額の皮脂が少ないという結果でした。
肌のタイプを見極める方法には、機械で角層の水分量と皮脂量を測る方法と、ほおのあぶらっぽさや洗顔後のつっぱり感、かさつきやすさといった、ふだんの実感から判断する方法の2つがあります。肌質は季節や環境、体調、生活習慣で変わることがあるので、そのときの状態をときどき見直すのがよいとされています。
普通肌は、場所ごとの差があまり気にならない肌
普通肌は、皮脂が少なく水分が多く、場所ごとのべたつきやかさつきがあまり気にならない肌です。皮膚の表面の細かいみぞと盛り上がりが整っていてきめがはっきりしている、毛穴が比較的小さく目立たない、といった特徴があげられています。角層の水分と油分のバランスが整っているので、化粧水や乳液で健やかな状態を保つことが大切だとされています。
ただし普通肌も、季節の変化につれてあぶらっぽくなったりかさついたりするとされていて、いつも同じ状態というわけではありません。Tゾーンのべたつきも、Uゾーンのかさつきも、どちらもあまり気にならないなら普通肌と考えてよく、両方とも気になるなら混合肌とされています。
つまり普通肌と混合肌の違いは、場所ごとの差がどれくらい気になるかにあり、普通肌の人も季節によってその差が出てきたら、場所で分けるお手入れを取り入れるという考え方ができます。
まとめ
- 額と小鼻のまわりは皮脂腺が多く大きい場所で、ほおは皮脂が少なく乾きやすい場所です。あごは資料で扱いが分かれます
- 「混合肌」は、場所で皮脂の出方が違う肌と、顔全体で皮脂が多いのに乾く肌の2通りの意味で使われます
- お手入れは、あぶらっぽい所を中心に洗い、乾きやすい所は洗いすぎず、べたついても化粧水や乳液を減らさないのが基本です
- 皮脂の量は季節・年齢・性別で動くので、肌のタイプもときどき見直すものです
- 普通肌は水分が多く皮脂は少なめで、場所ごとのべたつきやかさつきがあまり気にならない肌です
混合肌は、顔をひとつの肌として見るのをやめて、場所ごとに見ると扱いやすくなります。まずは額とほおとあごを、それぞれ触って確かめてみてください。
よくある質問
混合肌とはどんな肌ですか?
額や鼻はべたつくのに、ほおや口元はかさつくなど、顔の場所によって皮脂の出方が違う肌です。顔全体で皮脂が多いのに水分が足りない肌を指して使われることもあります。
皮脂が多いのに乾燥するのはなぜですか?
角層のうるおいは、皮脂膜・天然保湿因子・細胞間脂質の3つで保たれていて、皮脂膜はそのうちの1つだからです。皮脂が多くても、角層の水分が足りないことがあります。
混合肌の洗顔はどうすればいいですか?
あぶらっぽい額・鼻・あごと小鼻を中心に洗い、乾きやすいほおは洗いすぎないようにするのが基本です。同じ洗顔料でも、どこに時間をかけるかで場所ごとの差をつけられます。
混合肌でも乳液は必要ですか?
必要です。べたつきが気になっても、化粧水や乳液の量を減らしたり乳液を省いたりしないことが大切とされています。乾きやすいほおから塗り始め、足りない所に重ねづけします。
普通肌と混合肌の違いは何ですか?
場所ごとのべたつきやかさつきが気になるかどうかです。普通肌は水分が多く皮脂は少なめで、額や鼻のべたつきもほおのかさつきもあまり気にならない肌です。両方とも気になるなら混合肌と考えます。
肌タイプは一生変わりませんか?
変わります。皮脂の量は季節や年齢、性別で動き、夏にもっとも多く、女性は年齢とともに少しずつ減っていくという結果があります。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「普通肌」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「脂性肌」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「乾燥型脂性肌」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌質診断」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「Tゾーン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「Uゾーン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「脂腺」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮脂」
- 資生堂 Beauty Journey「混合肌向けスキンケア&メイクテク」(2026年2月2日)
- 花王 メンズビオレ「肌タイプ」
- コーセー Maison KOSÉ「脂性肌・乾燥肌・混合肌、肌質の見分け方」(2019年8月13日)
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」(日皮会誌131(10):2255-2270)
- Youn SW, et al. Regional and seasonal variations in facial sebum secretions: a proposal for the definition of combination skin type. Skin Res Technol 2005;11(3):189-195
- Luebberding S, Krueger N, Kerscher M. Skin physiology in men and women: in vivo evaluation of 300 people including TEWL, SC hydration, sebum content and skin surface pH. Int J Cosmet Sci 2013;35(5):477-483
- Mukherjee S, et al. Sebum and Hydration Levels in Specific Regions of Human Face Significantly Predict the Nature and Diversity of Facial Skin Microbiome. Sci Rep 2016;6:36062
- Ishii Y, et al. Sebum levels are associated with the relationship between skin properties and microbiota in Japanese women. Sci Rep 2026
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)