この記事でわかること
- クリームが肌の上でしていることと、量の目安
- 塗り薬の物差しと1日1.54gの意味
- 5か所に置いて広げる塗り方と、重ねづけする場所
クリームはどれくらいの量を、顔のどこから塗ればいいのか、多すぎてもベタつきそうで迷いますよね。
結論から言うと、量は使っているクリームの説明にある量に合わせ、額・両ほお・鼻・あごの5か所に置いてから、顔の中心から外へ広げれば大丈夫です。ほおのように皮脂が少なめの場所や、乾燥が気になるところには、少しだけ重ねます。まずは、クリームが肌の上で何をしているのかから見ていきましょう。
クリームは、油の成分で角層の水分が逃げるのを防ぐ
クリームの役目は、油の成分で肌の表面をおおい、角層の水分が逃げにくいようにすることです。肌の乾燥は、角層の水分が外へ逃げていくことで起きるからです。
肌のいちばん外側の角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つのバランスで、うるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。ところが、暖房した部屋のように空気が乾いていると、肌の表面から水分がどんどん奪われてしまいます。
クリームには、肌の表面になめらかに伸びて、水分を逃がさない油の成分が入っています。こうした成分はエモリエント剤と呼ばれ、植物などの油脂やラノリン、脂肪酸エステルなどがその仲間です。保湿を目的としたクリームが、エモリエントクリームとも呼ばれるのはこのためです。
クリームの油の成分が表面をおおい、角層の水分が逃げにくくなります。
化粧水で与えた水分を、クリームの油分で逃がさないようにする、という分担です。だから、乾燥が気になるときのスキンケアの最後にクリームを使うと考えるとわかりやすいです。
量は、使っているクリームの説明どおりでいい
どれくらい出せばいいのか、迷う人は多いと思います。クリームの量は、まず使っているクリームの説明にある量に合わせれば十分です。製品のかたさや油分の量によって、目安の量が変わるからです。
たとえば、パール粒1個分やパール粒大とする製品がある一方で、付属のスパチュラ1杯分で約0.5g、直径1cmくらいとするもの、直径約2cmで指の第一関節でひとすくいする程度とするものもあります。同じクリームという名前でも、夜に使うこってりしたものなど、製品のタイプによって目安の量が違います。
製品の説明にある量の目安は、パール粒大から直径約2cmまで幅があります。
化粧品の使用説明書には、その製品の特徴や使い方、注意がまとめられています。使い方を誤ると本来の効果が期待できないだけでなく、肌トラブルの原因になることもあります。ほかの製品の量にそろえるより、手元のクリームの説明をいちばんの目安にするのが基本です。
塗り薬の0.5gや1日1.54gは、クリームのおすすめの量ではない
「指の第1関節まで」や「1日1.54g」という数字を見かけると、これが正しい量なのかと思いますよね。でも、どちらも化粧品のクリームの量を決めるための数字ではありません。それぞれ、別の目的でつくられた数字だからです。
スキンケアの量の話でよく出てくるフィンガーチップユニットは、皮膚科で塗り薬の量を示すための目安です。口径5mmのチューブから押し出した量を、人差し指の先から第1関節までのせると約0.5gになり、大人の手のひら2枚分、体の表面のおよそ2%に塗るのにちょうどよい量とされています。もとは軟膏で調べられた物差しです。スパチュラ1杯で約0.5gというクリームの目安とは、数字が同じでも別のものです。
もうひとつ、ヨーロッパの化粧品の安全評価では、フェイスクリームを1日に1.54g使うと見積もっています。これは、1日に何回か使った合計を、安全を確かめるために多めに見積もった推定で、1回に塗る量ではありません。
数字を見かけたら、塗り薬の目安か、安全評価の推定かを見分けて、クリームの量は製品の説明に合わせましょう。
塗り方は、5か所に置いて中心から外へ広げる
クリームは、顔の5か所に置いてから、中心から外へ広げるのが基本です。先に何か所かに分けて置き、両手で包み込むように広げると、顔のすみずみまでムラなくなじませやすいからです。
クリームの塗り方は、この4つの手順です。
出す
置く
外へ広げる
所に重ねる
まず目安の量を手の甲などに一度出し、額、両ほお、鼻、あごの5か所に置きます。次に、顔の中心から外側へ、顔の丸みに合わせて両手で包み込むように、ゆっくりしたテンポでなじませます。最後に、乾燥が気になるところにだけ、少し重ねます。
広げるときは、こすったり、すりこんだりしないのがポイントです。肌の上に薄いマスクをつくるようなつもりで、のせるように広げると覚えておきましょう。
皮脂が少なめのほおなど、乾燥が気になる所に少し重ねる
重ねづけは、ほおのように皮脂が少なめの場所や、乾燥が気になるところにだけ少し足せば十分です。皮脂は、肌の表面をおおう皮脂膜のもとになる脂で、顔の場所によって量が違うからです。
ほおは、額・鼻・あごより皮脂が少なめです。
顔の皮脂の量を場所ごとに測ると、額、鼻、あごが両ほおより多く、季節では夏がいちばん多いという結果があります。場所ごとの皮脂の量の違いは、混合肌を考えるときの手がかりにもなっています。
とはいえ、実際にどこがつっぱったり、かさついたりするかは人によって違います。乳液を使ったあとに、乾燥が気になるところだけクリームを重ねる使い方もできます。自分がかさつきを感じる場所に、少しだけが目安です。
赤みやかゆみが出たら、使うのをやめる
クリームを塗って赤みやかゆみが出たら、使うのをやめましょう。肌に合っていないサインだからです。
たとえば、肌に傷や湿疹などのトラブルがあるときは、化粧品を使わないようにします。赤みやかゆみが続くときは、皮膚科に相談すると安心です。また、製品の目安より多く塗って、肌の上に残っているように感じるときは、量を見直してみましょう。
いつもと違うと感じたら、やめて様子を見るのが基本です。
まとめ
- クリームは油の成分で肌の表面をおおい、角層の水分が逃げにくいようにします
- 量の目安はパール粒大から直径約2cmまで幅があり、まずは使っているクリームの説明に合わせます
- フィンガーチップユニットは塗り薬の目安、1日1.54gは安全評価の推定で、どちらもおすすめの量ではありません
- 額・両ほお・鼻・あごの5か所に置き、中心から外へ、すりこまずに包み込むように広げます
- ほおは額や鼻、あごより皮脂が少なめです。乾燥が気になるところに少し重ねます
クリームの量に、どの製品にも通じるひとつの正解はありません。手元のクリームの説明をいちばんの目安にして、乾燥が気になる場所を見ながら調整してみてください。
よくある質問
クリームの量はどれくらいですか?
製品によってパール粒大から直径約2cmまで幅があります。まずは使っているクリームの説明にある量に合わせましょう。
フィンガーチップユニットの0.5gはクリームにも当てはまりますか?
当てはまりません。フィンガーチップユニットは皮膚科で塗り薬の量を示すための目安で、化粧品のクリームの量はこれで決めるものではありません。
クリームはどう塗ればいいですか?
額、両ほお、鼻、あごの5か所に置き、顔の中心から外側へ、両手で包み込むようにゆっくり広げます。こすったり、すりこんだりせず、乾燥が気になるところには少し重ねます。
顔の中で乾燥しやすいのはどこですか?
ほおは額や鼻、あごより皮脂が少ないという結果があります。かさつく場所は人によって違うので、自分で乾燥が気になるところにクリームを少し重ねましょう。
フェイスクリームの1日1.54gはおすすめの量ですか?
おすすめの量ではありません。ヨーロッパの安全評価で、1日に何回か使った合計を多めに見積もった推定で、1回に塗る量でもありません。
この記事で参照した情報
- 資生堂 ビューティーインフォ「クリームの正しい使い方」(2023年1月9日)
- コーセー スキンケア講座「乳液とクリームの違い」
- 花王 キュレル 潤浸保湿 フェイスクリーム 商品ページ(使い方)
- カネボウ化粧品 KANEBO クリーム イン ナイトⅡ 商品ページ(使い方)
- 花王 化粧品Q&A「化粧水の後に使うのは乳液とクリームのどちら?」
- Long CC, Finlay AY. The finger-tip unit — a new practical measure. Clin Exp Dermatol 1991;16(6):444-447
- Finger-tip unit in Indian scenario: Is it relevant? Journal of Skin and Sexually Transmitted Diseases
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」
- SCCS Notes of Guidance for the Testing of Cosmetic Ingredients and Their Safety Evaluation, 12th revision (SCCS/1647/22) Table 3A
- Youn SW, et al. Regional and seasonal variations in facial sebum secretions: a proposal for the definition of combination skin type. Skin Res Technol 2005;11(3):189-195
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品工業会 化粧品用語解説「保湿とエモリエント」
- 日本化粧品工業会 エッセイ「皮膚の乾燥と保湿」
- 日本化粧品工業会「化粧品の使用説明書について」
- 日本化粧品工業会「化粧品を使うときに注意していただきたいこと」
この記事が入っているテーマ別まとめ