この記事でわかること
- パックの3つのタイプと、シートマスクの位置
- シートを貼ってふさいだとき、角層で起きること
- 「浸透」の決まりと、蒸しタオルパックの温度
「パック」と「シートマスク」、売り場では両方の言葉を見かけますが、何が違うのか、長く貼ったほうがいいのか迷いますよね。
結論から言うと、シートマスクはパックのうちの「貼るタイプ」です。別のものではなく、パックという大きなグループの中の1つです。そして、貼る時間は製品に書かれた時間を守るのがいちばん確実です。まずはパックの種類から見ていきましょう。
パックは、はがす・洗い流す・貼るの3タイプに分かれる
パックは、乾いてからはがすタイプ、洗い流すタイプ、貼るタイプの3つに大きく分けられます。このうち貼るタイプが「マスク」と呼ばれ、シートマスクはここに入ります。
3つのうち、貼るタイプが「マスク」と呼ばれ、シートマスクはここに入ります。
はがす
乾くと膜になり、
膜ごとはがす
洗い流す
汚れや毛穴の脂を
吸いつけて流す
貼る
シートで
うるおいを与える
3つは、肌の上での働き方が違います。はがすタイプは、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンといった水に溶ける高分子が、乾くと膜になります。その膜ごとはがすしくみで、ピールオフタイプとも呼ばれます。
洗い流すタイプの代表はクレイパックです。塗って乾かすあいだに、粘土が汚れを吸いつけ、洗い流すときに汚れや毛穴にたまった脂がいっしょに取れます。
貼るタイプはさらに2つに分かれ、汚れや余分な皮脂を取るマスクと、保湿成分などをしみこませてうるおいを与える保湿マスクがあります。
パックは顔だけでなく、首や脚など全身にも使われてきた手入れです。つまり、シートマスクは、パックの中の「貼ってうるおいを与えるもの」と覚えておけば迷いません。
「マスク」は、パックの言い換えの名前
「マスク」は独立した種類の名前ではなく、パックの言い換えです。化粧品には、何の化粧品かを表す種類別名称をつける決まりがあり、パックの行では、種類別名称が「パック」、その代わりに使える名称が「マスク」と定められているからです。
そこに、形を表す剤型の名前と、使う部位の名前を足すことができます。剤型の名前には、ジェル、クリーム、ローション、パウダーなどと並んで「シート」があり、部位の名前には、フェイス、アイ、リップ、ネックなどがあります。
たとえば「フェイスシートマスク」は、部位のフェイス+剤型のシート+パックの言い換えのマスクという組み立てです。売り場で見る名前は、この決まりどおりに組み立てられているのです。
名前が違っても、「〇〇マスク」と書いてあれば、パックの仲間だと思って大丈夫です。
シートマスクは、書かれた時間を守るのがいちばん
長く貼ったほうがうるおいそうだと思いますよね。でも、シートマスクは製品に書かれている時間を守るのがいちばん確実です。シートで肌をふさぐと、角層の水分が満ちて、塗ったものが肌に入りやすくなるからです。
肌のいちばん外側の角層は、ふだん、表面の皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。それでも水分は少しずつ表面から逃げています。シートを貼ると表面がふさがれ、角層の水分が満ちた状態になります。
シートでふさぐと角層の水分が満ち、うるおいが角層までなじみやすくなります。
角層の水分が満ちると、塗ったものが皮膚の中へ入っていく経皮吸収が進み、反応が出やすくなります。皮膚の刺激やアレルギーを調べる試験では、反応を出やすくするために、わざと皮膚を密封するほどです。
シートにしみこんだ液がうるおいを与えるのはよいことですが、ふさぐ時間が長ければ長いほどよい、というものではありません。時間は製品の説明どおりにして、赤みやかゆみが出たら使うのをやめましょう。
「浸透」は、角質層までの話
シートマスクの広告で「浸透」という言葉を見ると、どこまで届くのか気になりますよね。化粧品の「浸透」は、角質層までの話です。化粧品が働くのは角層までなので、業界の広告ガイドラインでは、浸透と書くときは、その場所が角質層だとはっきり書くことになっているからです。
そのため「角質層へ浸透」「角質層のすみずみまで」という書き方をよく見かけます。反対に、「肌へ浸透」のように場所をぼかした書き方や、角層より深いところまで届くように読める書き方は、避ける例に挙がっています。小さな注釈で「※角質層」と添えるだけの形も、避ける例です。
国の通知のほうは、成分が体にしみこむ場面をアニメーションや模型で見せるとき、効き目や安全性について大げさな表現にならないよう注意を求めています。「角質層まで」とはっきり書くルールは、国の通知ではなく業界の適正広告ガイドラインのルールです。
広告で「浸透」を見たら、角質層、つまり肌のいちばん外側の層のことだと読みかえてください。
蒸しタオルパックは、40〜45℃のタオルで包む
道具を買わずにできるのが、40〜45℃に温めたぬれタオルで顔を包む蒸しタオルパックです。肌に温度と湿度を与えて、肌の表面や毛穴をやわらかくし、汚れを取りやすくする方法だからです。
40〜45℃に温めたタオルで包む、蒸しタオルパックの流れです。
温める
包む
やわらぐ
マッサージ
温めたタオルで顔を包み、指と手のひらでやさしくおさえます。温めることで血管が広がり、血のめぐりも一時的によくなります。そのあとクレンジングオイルなどで、小鼻やあご、額など毛穴の気になるところをマッサージすると、角栓が取れやすくなります。
40〜45℃は、家でも用意しやすい温度です。熱すぎないタオルでやさしく包むことだけ気をつければ、手軽に取り入れられます。
まとめ
- パックは、はがす・洗い流す・貼るの3タイプ。貼るタイプが「マスク」で、シートマスクはここに入ります
- 表示の決まりでは、種類別名称が「パック」、代わりに使える名称が「マスク」です
- 「フェイスシートマスク」は、部位+剤型+マスクの組み立てです
- シートでふさぐと角層の水分が満ち、塗ったものが入りやすくなります。時間は製品の説明どおりに
- 「浸透」は角質層までの話。蒸しタオルパックは40〜45℃のタオルが目安です
シートマスクは、パックの中の「貼ってうるおいを与えるもの」です。書かれた時間を守ることだけ意識すれば、安心して取り入れられます。
よくある質問
パックとシートマスクの違いは?
シートマスクは、パックのうち「貼るタイプ」のことです。パックには、乾いたらはがすタイプ、洗い流すタイプ、貼るタイプの3つがあり、貼るものがマスクと呼ばれます。
シートマスクは長く貼ったほうがいい?
製品に書かれている時間を守るのが確実です。シートで肌をふさぐと角層の水分が満ち、塗ったものが肌に入りやすくなって、反応が出やすくなります。
「角質層まで浸透」とはどこまでのこと?
肌のいちばん外側にある角質層までのことです。化粧品の広告で「浸透」と書くときは、場所が角質層であることをはっきり書くのが業界のルールです。
はがすタイプのパックはどういうしくみ?
塗って乾くと、ポリビニルアルコールなどの水に溶ける高分子が膜になり、その膜ごとはがすしくみです。
蒸しタオルパックの温度は何度がいい?
40〜45℃に温めたタオルが目安です。顔を包んで肌に温度と湿度を与え、肌の表面や毛穴をやわらかくして汚れを取りやすくする方法です。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「パック」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「蒸しタオルパック」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「閉塞塗布」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「経皮吸収」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1【種類別名称】」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
- 日本化粧品工業会 啓発推進委員会 適正広告研究部会 講演資料「「化粧品等の適正広告ガイドライン」について」(京都府薬務課掲載)