成分辞典やさしい解説

コウジ酸とは?麹から生まれた成分の働きと安全性をやさしく解説

あるコスメオタク・2026.10.04・更新 2026.10.22・成分解説
肌の悩みシミ

薬用化粧品の成分表示でコウジ酸を見かけると、味噌やお酒の麹と関係があるのか、肌に塗っても大丈夫なのか、気になりますよね。

結論から言うと、コウジ酸は麹菌などのカビがつくる成分で、医薬部外品の有効成分として「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」などの効能が認められています。一時は国が新しくつくるのを止めたこともありますが、その後、決められた使い方なら安全性に特段の懸念はないと判断されています。

しみは、紫外線でできたメラニンがたまってできる

しみのもとは、紫外線を浴びて作られるメラニンという色の粒です。表皮のいちばん下にある色素の細胞(メラノサイト)が、紫外線の刺激を受けてメラニンをさかんに作り、まわりの細胞に渡すからです。

コウジ酸が働くのは、色素の細胞がメラニンを作るところです。

紫外線でメラニンができる

まわりの細胞にたまってしみに

  • 紫外線
  • 色素の細胞(メラノサイト)
  • メラニン
  • コウジ酸が働くところ

メラニンを作るときに欠かせないのが、チロシンというアミノ酸からメラニンを作るチロシナーゼという酵素です。しみを悪くするいちばん大きな原因は紫外線とされていて、しみを防ぐ手がかりは、流れの入り口の紫外線と、メラニンができるところにあります。

コウジ酸は、麹菌などのカビがつくる成分

コウジ酸は、麹菌などのカビがつくる、水に溶ける成分です。1907年に、味噌やしょうゆ、日本酒づくりに使われてきた麹菌から見つかりました。

名前に「コウジ酸」とあっても、効能が認められているのは医薬部外品の有効成分だけです。

コウジ酸麹菌がつくる配合0.1〜1.0%
ジパルミチン酸コウジ酸油になじむ仲間別の成分
発酵食品酢や酒にわずか約0.0002%

麹菌の仲間のほか、アオカビの仲間や一部の細菌もコウジ酸をつくります。水に溶けやすい一方で、保存しているあいだに不安定になりやすいことが、化粧品に使ううえでの課題です。成分表示で見かけるジパルミチン酸コウジ酸は、油になじみやすく安定しやすくした仲間ですが、有効成分のコウジ酸とは別の成分なので、同じ効能があるとは考えないほうが安心です。

コウジ酸は、メラニンを作る酵素の銅をはさみ込む

コウジ酸は、チロシナーゼが働くのに必要な銅をはさみ込んで、酵素の働きを抑えると考えられています。チロシナーゼは、材料が入るくぼみに銅をもっているからです。

銅をつかまえられた酵素は、メラニンを作れなくなります。

酵素のくぼみには銅がある

コウジ酸が銅をはさみ込む

  • チロシナーゼ(メラニンを作る酵素)
  • 銅
  • チロシン(材料)
  • コウジ酸
  • メラニン

コウジ酸は、チロシナーゼのじゃまをする成分のなかでもよく調べられてきたもので、新しい成分の強さを比べるときの基準としてもよく使われています。メラニンを作る酵素を抑えることで、紫外線を浴びたあとにメラニンができすぎるのを防ぐ、というのがコウジ酸の役割です。

効能は「防ぐ」で、できたシミを消すものではない

しみに効く成分と聞くと、今あるシミが薄くなるのか期待しますよね。でも、コウジ酸の効能は、しみを「防ぐ」ことです。働くのはメラニンができるところなので、すでにたまったメラニンをなくすための成分ではないからです。

日本では、コウジ酸は1988年4月に医薬部外品の有効成分として承認されました。配合する量は0.1〜1.0%で、「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」などの効能が認められています。一般の化粧品に入っている場合は、この効能はうたえません。

皮膚科での肝斑というしみの治療では、4%のハイドロキノンのクリームのほうが、コウジ酸にビタミンCを合わせたクリームより全体として上回ったという結果があります。コウジ酸とハイドロキノンを組み合わせたものが最もよかったという結果もあります。どちらも医療としての使い方で、薬用化粧品とは使い方が違います。シミ対策で選ぶなら、「医薬部外品」の表示と有効成分の欄を見て、毎日の紫外線対策と一緒に使いましょう。

正しく使えば、安全性に特段の懸念はないと国が判断した

一度止められた成分と聞くと、不安になりますよね。2005年に国は、医薬部外品として正しく使われる場合には、安全性に特段の懸念はないと結論づけています。

見合わせから2年で、正しく使えば懸念はないと見直されました。

1907年
見つかる
1988年
有効成分に
2003年
見合わせ
2005年
懸念なし

見合わせのきっかけは、動物に多い量を食べさせると甲状腺や肝臓の腫瘍が増えたという結果で、肌に塗ったものではありませんでした。その後、コウジ酸を配合したクリームを人の顔に塗っても、血液に移る量は非常に少ないことがわかりました。くわしい経緯はしみ対策の成分の扱いの記事で解説しています。

ヨーロッパの評価でも、シミ対策の目的で化粧品に使う場合は1%までなら安全とされ、ほかの国の審査でも目安は同じく1%です。ただし、ピーリング剤との組み合わせには注意が必要とされています。角層の守りが弱まって、皮膚から吸収される量が増えるおそれがあるためです。コウジ酸によるアレルギーのかぶれはごく少ないとされていますが、かゆみや赤みが出たら使うのをやめて、皮膚科に相談しましょう。

発酵食品のコウジ酸は、有効成分とは分けて考える

麹を使った食品と、医薬部外品の有効成分のコウジ酸は、分けて考えるのが安心です。食品に入っている量はごくわずかで、決まりも別だからです。

食品に加える添加物としては、コウジ酸は2003年から使えなくなっています。動物の試験で肝臓への発がん性が疑われ、遺伝子への影響も否定できないことや、国内外で使われておらず必要性が低いことから、国が基準を改めました。これは食品にわざと加える場合の決まりです。

一方で、麹菌などを使う発酵食品には、もともとごく少し含まれていることがあります。市販の発酵食品を測った結果では、酢や酒類などから見つかりましたが、多いものでも1kgあたり約2.3mgで、医薬部外品の配合量とはけた違いに少ない量です。麹菌の種類や発酵の条件によっては、つくられないこともあります。味噌や酒粕を食べることと、薬用化粧品でコウジ酸を肌に使うことは、別のこととして考えましょう。

まとめ

コウジ酸は「消す」ではなく「防ぐ」ための成分です。医薬部外品の表示と有効成分の欄を見て、紫外線対策と一緒に、肌に合うかを確かめながら使ってみてください。

よくある質問

コウジ酸とはどんな成分ですか?

麹菌などのカビがつくる水に溶ける成分で、1907年に麹菌から見つかりました。日本では1988年に医薬部外品の有効成分として承認され、配合する量は0.1〜1.0%です。

コウジ酸でシミは消えますか?

できたシミをなくす効能はありません。医薬部外品の有効成分として認められた効能は「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」などで、予防の範囲です。

コウジ酸はどうやってしみを防ぐのですか?

メラニンを作る酵素チロシナーゼが働くのに必要な銅をはさみ込んで、酵素の働きを抑えると考えられています。

コウジ酸は安全ですか?

2005年に国は、医薬部外品として正しく使われる場合には安全性に特段の懸念はないと結論づけました。ヨーロッパの評価でも、化粧品で1%までなら安全とされ、アレルギーのかぶれはごく少ないとされています。

味噌や酒粕にもコウジ酸は入っていますか?

発酵食品にごく少し含まれることがあり、多いものでも約0.0002%でした。医薬部外品の配合量よりけた違いに少ないので、麹を使った食品と有効成分のコウジ酸は分けて考えましょう。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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