この記事でわかること
- 年代で毛穴が目立つ理由が変わるわけ
- たるみで頬の毛穴が縦に長くなるしくみ
- 化粧品でできることと、やりすぎケアの注意
頬や小鼻のまわりの毛穴が前より目立つ、丸かった毛穴が縦に伸びてきた気がする。何が原因なのか、気になりますよね。
結論から言うと、毛穴が目立つ理由は年代によって変わります。20〜30代は皮脂や角栓の詰まりで目立ちやすく、40代ごろからは肌のハリが落ちて、角栓がなくても開いた毛穴や、縦に伸びた毛穴が目立ちやすくなります。まずは、毛穴の目立ち方の呼び名から見ていきましょう。
開き・黒ずみ・たるみは、目立つ原因で分けた呼び方
開き毛穴は皮脂の多さ、黒ずみ毛穴は毛穴の詰まり、たるみ毛穴は肌の弾力の低下が、それぞれ主な原因です。この3つは公的な分類ではありませんが、原因の違いをつかむのに便利な呼び方です。
3つの呼び方は、目立つ原因の違いで分けたものです。
開き毛穴
皮脂が多い
黒ずみ毛穴
角栓が詰まる
たるみ毛穴
縦に伸びる
顔の毛穴が大きく見える主な原因には、皮脂の多さ、毛穴のまわりの弾力の低下、毛を包む袋である毛包の大きさの3つが挙げられています。にきびを繰り返すこと、性ホルモン、スキンケアの方法も毛穴の大きさに影響しうるとされ、原因が1つではないぶん、合う対策も人によって変わります。
黒ずみ毛穴は、毛穴の出口に角栓が詰まった状態です。黒い点は皮脂が酸化した色とよく言われますが、毛穴の出口近くに残るメラニンを含んだ細胞の重なりや、中に埋まった数本の細い毛も、黒く見える理由に挙げられています。毛穴が開いたまま中身が詰まったこの状態は、医学では開放面皰、いわゆる黒にきびと呼ばれる、にきびの初期段階にあたります。
自分の毛穴が3つのうちどれに近いかを見ておくと、合うケアを選びやすくなります。
20〜30代は角栓、40代からは角栓のない開いた毛穴が目立つ
若いうちは角栓が詰まって毛穴が目立ち、年齢とともに、角栓がなくても目立つ形に変わっていきます。若い肌では皮脂が多く出て、毛穴の出口に角栓ができやすいからです。
毛穴の大きさは皮脂の量、性別、年齢と関係していて、なかでも皮脂の量との関係がいちばん強かったという結果があります。女性では排卵期に毛穴が大きくなっていて、月経周期などのホルモンも関わるとされます。
20〜30代の毛穴は、皮脂と角栓の詰まりで目立ちやすくなります。
多く出る
詰まる
目立つ
年代ごとに見ると、20〜30代で目立っている毛穴には角栓があり、その角栓の約7割はタンパク質でできていました。一方、40代以降では、角栓がないのに開いて目立っている毛穴が見られました。毛穴の出口の広さは、10代から20代にかけてと、30代から40代にかけての2回、急に広がっていて、毛穴の広さと皮脂の量との関係は、年齢とともに弱くなっていたという結果があります。
だから、毛穴のケアは年代や今の毛穴の状態に合わせて変えるのが基本です。
たるみで頬の皮膚が伸びると、毛穴は縦に長くなる
よく「たるみ毛穴は縦長」と言われますよね。たるみ毛穴が縦に長く見えるのは、頬の皮膚がたるみで引き伸ばされるためと考えられています。
原因の場所は、角層よりずっと下の真皮です。年齢を重ねることや紫外線を長年浴びることで、肌を支えるコラーゲンやエラスチンの骨組みが乱れることはよく知られています。そして、肌の弾力やハリが低いほど、毛穴は大きく数も多い傾向があるとされます。40〜50代では毛穴のまわりのコラーゲンが減り、いわゆるたるみで毛穴が目立つようになる、と皮膚科医も説明しています。
肌を支える線維は、角層よりずっと下の真皮にあります。
年齢
乱れる
伸びる
長くなる
実際に、頬の毛穴の形は年齢とともに長くなり、円形から楕円形になっていたという結果があります。目立つ毛穴のまわりでは肌がろうとのようにくぼみ、表皮のいちばん下の層にも大きな凹凸があるとされます。
穴そのものより、まわりの肌の形の変化が目立ち方を左右している、と考えるとわかりやすいです。
毛穴の目立ちには、年齢だけでなく紫外線や乾燥も関わる
年を取ると毛穴はどんどん広がるのでは、と不安になりますよね。でも、毛穴の目立ちは年齢だけで決まるものではなく、紫外線や空気の乾燥も関わっています。
いろいろな地域の女性の頬を比べると、毛穴の大きさや数は人によって大きく違い、多くの場合、40歳ごろからおおむね横ばいだったという結果があります。目に見える毛穴の形は、皮脂腺の働きだけで決まるものではないとされます。
また、気温や湿度の低さ、日差しの多さが、頬の毛穴の目立ちと関係していたという結果もあります。毛穴の開きは、紫外線による肌の老化によく見られるサインのひとつともされています。
年齢は変えられませんが、紫外線と乾燥は毎日のケアで減らせます。
毎日のケアは、うるおい・紫外線対策・メイクの3つ
毎日のケアでまず見直したいのは、肌のうるおいです。毛穴の多くは、肌の表面の細かい溝であるキメの溝が交わるところにあるからです。
肌のいちばん外側の角層は、皮脂膜・天然保湿因子・細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。角層が乾いたり表情が動いたりして増えたキメの溝は、毛穴を広げ、毛穴に暗い影を加えて、目立ちにつながると考えられています。化粧品で言える「肌のキメを整える」ケアは、こうした見え方の面からも意味があります。
皮脂が気になる人がよく使うのが、収れん化粧水です。肌のタンパク質に働いてひきしめる成分と、蒸発するときに肌を冷やすアルコールの2つの働きで、肌を一時的にひきしめ、余分な皮脂をおさえて化粧くずれを防ぎます。ただ、厚生労働省が定める化粧品の効能56項目に毛穴という言葉はなく、言えるのは「肌をひきしめる」「肌のキメを整える」までです。薬用化粧水の効能にも、毛穴そのものを対象にしたものはありません。
紫外線対策も、毎日できるケアです。紫外線は肌を支えるコラーゲンの骨組みを乱す原因になるので、日焼け止めで日々の紫外線を防いでおくことは、たるみ毛穴が気になる人にとっても意味があります。
すぐに目立たなくしたいときは、メイクの力を借ります。小鼻のまわりなどの毛穴の目立ちや肌の凹凸はメイクで隠して、なめらかに見せることができますし、光をいろいろな方向に散らす粉を加えて、毛穴の凹凸を目立たなく見せる商品もあります。どちらも毛穴の大きさを変えるのではなく、見え方を変えるしくみです。
うるおいでキメを整え、紫外線を防ぎ、気になる日はメイクで整える。この3つを続けることが、毎日のケアの基本です。
はがす・押し出す・洗いすぎは、かえって負担になる
毛穴が気になると、つい角栓を取りたくなりますよね。でも、はがす・押し出す・洗いすぎは、肌への負担になるので控えめにします。
はがすタイプの毛穴パックは角栓を取るのに有効ですが、はがすときの肌への物理的な刺激も強いので、頻繁に使うのは避けたほうがよいとされています。毛穴の中身を自分で押し出すのも控えましょう。にきびを触ったりつぶしたりすると、毛穴が詰まりやすくなったり炎症が強まったりして悪化すると、皮膚科医も注意しています。
洗いすぎも同じです。強くこすったり、1日に5回も10回も顔を洗ったりする必要はなく、こうした洗い方は炎症を起こしてにきびを悪くするとされています。何度も洗うと乾燥して肌荒れの原因にもなりかねず、にきびの治療ガイドラインでも、にきびのある人には1日2回の洗顔が勧められています。乾燥で増えたキメの溝も毛穴の目立ちにつながるので、皮脂を取りすぎないことが大切です。
黒い点のような詰まりが多いときや、赤く腫れたにきびになっているときは、皮膚科に相談しましょう。詰まった中身を押し出す処置は、医療機関で行うにきびの治療の選択肢のひとつとして勧められています。
毛穴のケアは、取りすぎず、目立ちにくくするのが基本です。
毛穴に関係する成分は、区分ごとに言えることが違う
毛穴に良さそうな成分はたくさんあって、どれを信じればいいか迷いますよね。化粧品・医薬部外品・メイク・皮膚科の治療で、言えることの範囲が違います。区分ごとに分けて並べます。
- 収れん剤:化粧品として言える範囲です。酸化亜鉛やクエン酸、タンニン酸などの収れん剤は、肌のタンパク質に働いてひきしめる成分で、収れん化粧水に使われます。働きは一時的で、言えるのは「肌をひきしめる」までです。
- 薬用化粧水:医薬部外品として国が認めた効能の範囲には、「油性肌」「肌をひきしめる」「にきびを防ぐ」などが入っています。毛穴そのものを対象にした効能はありません。
- 保湿成分:化粧品として言えるのは「肌のキメを整える」「皮膚にうるおいを与える」の範囲です。乾燥で増えたキメの溝は毛穴に影をつくるので、うるおいのケアは見え方の土台になります。
- グリシルグリシン:研究の報告です。皮脂の中の不飽和脂肪酸の割合が高いことが、すり鉢状にくぼんだ毛穴のまわりの肌に悪い影響を与えている、と考えた研究から見つかった成分で、配合した溶液を使うと毛穴が目立ちにくくなったという結果があります。国が毛穴の効能を認めた成分ではありません。
- 光を散らすパウダー:メイクの効果です。毛穴の凹凸を目立たなく見せるもので、毛穴の大きさそのものを変えるものではありません。
- ケミカルピーリング:皮膚科の治療です。学会のガイドラインで対象になっているのは、にきびやにきび跡の凹み、シミ、小じわなどで、毛穴は入っていません。仕事として行えば医療行為にあたるとされています。
化粧品でできるのは、ひきしめる、キメを整える、目立たなく見せるところまでです。
まとめ
- 開き・黒ずみ・たるみは、目立つ原因の違いで分けた呼び方です
- 20〜30代は皮脂と角栓で、40代からは角栓のない開いた毛穴が目立ちやすくなります
- たるみで頬の皮膚が伸びると、毛穴は縦に長い形になります
- 年齢だけでなく、紫外線や乾燥も毛穴の目立ちに関わります
- 化粧品で言えるのは「肌をひきしめる」「肌のキメを整える」まで。はがすパックや押し出し、洗いすぎは控えめにします
毛穴が目立つ理由は、年代によって変わります。今の毛穴がどのタイプに近いかを見て、取りすぎず、うるおいと紫外線対策を続けてみてください。
よくある質問
毛穴の開きの原因は何ですか?
主な原因は、皮脂の多さ、毛穴のまわりの弾力の低下、毛包の大きさの3つとされています。にきびを繰り返すことや性ホルモン、スキンケアの方法も影響しうるとされます。
年齢で毛穴の目立ち方は変わりますか?
変わります。20〜30代は角栓のある毛穴、40代以降は角栓のない開いた毛穴が目立ちやすいという結果があります。紫外線や乾燥も関わるので、年齢だけで決まるものではありません。
たるみ毛穴はなぜ縦長になるのですか?
頬の皮膚がたるみで伸びるためと考えられています。頬の毛穴は、年齢とともに円形から楕円形へと長い形になっていたという結果があります。
収れん化粧水は毛穴ケアに使えますか?
肌を一時的にひきしめ、余分な皮脂をおさえるものです。化粧品として言えるのは「肌をひきしめる」までで、毛穴の大きさそのものを変えるものではありません。
はがすタイプの毛穴パックは使っても大丈夫ですか?
頻繁に使うのは避けたほうがよいとされています。角栓を取るのには有効ですが、はがすときの肌への物理的な刺激も強いためです。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛穴」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角栓」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「面皰」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮溝」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「化粧水」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌のひきしめ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「収れん」
- 日本化粧品技術者会「第32回SCCJセミナー 毛穴周りのサイエンス―毛穴周りの皮膚科学から毛穴かくしメークアップまで―」開催報告(2007年10月18日開催)
- 水越興治、及川みどり、伊藤夕子、小林和法、今村仁、松本克夫「年齢別にみた目立つ毛穴の実態調査研究」日本化粧品技術者会誌 41(4):262-268, 2007
- 西島貴史、大須弘之、北原隆、武馬吉則「加齢による顔面皮膚表面での形態変化の部位差について」日本化粧品技術者会誌 35(2):141-148, 2001
- 藤原信太郎、牛木勝「キメの形態と頬部の毛穴目立ちとの関連性」日本香粧品学会誌 39(3):173-176, 2015
- Lee SJ, Seok J, Jeong SY, Park KY, Li K, Seo SJ. Facial Pores: Definition, Causes, and Treatment Options. Dermatol Surg 2016;42(3):277-285
- Roh M, Han M, Kim D, Chung K. Sebum output as a factor contributing to the size of facial pores. Br J Dermatol 2006
- Dong J, Lanoue J, Goldenberg G. Enlarged Facial Pores: An Update on Treatments. Cutis 2016;98(1):33-36
- Flament F, François G, Qiu H, et al. Facial skin pores: a multiethnic study. Clin Cosmet Investig Dermatol 2015;8:85-93
- Zhou H, et al. An artificial intelligence powered study of enlarged facial pore prevalence on one million Chinese from different age groups and its correlation with environmental factors. Skin Res Technol 2024;30(9):e70025
- Palawisuth S, Manuskiatti W, et al. Lasers Surg Med 2022;54(3):348-354
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年版」
- 花王 スキンケアナビ「ほおの毛穴の研究」
- 資生堂 研究開発「女性の肌悩みNo.2の『毛穴の目立ち』は、解消できる!?」(IFSCC Congress 2006 最優秀賞)
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(日皮会誌133(3):407-450)
- 日本皮膚科学会「ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)」(日皮会誌118(3):347-355, 2008)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび」Q23
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび」Q18
- 日本化粧品工業会 エッセイ「にきびとそのケア」林伸和(2013年4月15日)