この記事でわかること
- 「皮膚水分保持能の改善」と、水分を足す保湿の違い
- No.11入りの製品で言える効能の範囲と見分け方
- No.11とNo.11+の違いと、使うときの注意
成分表や広告で「ライスパワーNo.11」「米エキスNo.11」を見かけると、ふつうの保湿成分と何が違うのか、乾燥肌に本当に向くのか気になりますよね。
結論から言うと、ライスパワーNo.11は、角層が水分を抱えておく力に向けた、医薬部外品の有効成分です。お米を発酵させてつくるエキスで、効能は「皮膚水分保持能の改善」です。水分を足す保湿とは、目のつけどころが違います。
乾燥しやすい肌は、角層が水分を抱えておく力が落ちている
乾燥しやすい肌では、角層が水分を抱えておく力が落ちています。この力のことを「水分保持能」といいます。
肌のいちばん外側の角層は、細胞の中で水を抱える天然保湿因子や、細胞のすき間を埋める細胞間脂質などで水分を保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。水分保持能が高い角層は、長い時間うるおった状態を保てます。
反対に、水分保持能が低い角層では、化粧水で水分を与えても、時間とともにすぐ乾いてしまいます。乾燥が気になると「水分が足りない」と思いがちですが、水分を保つ力が落ちていることも原因のひとつです。
つまり乾燥の手入れには、水分を足すことと、水分を保つ力を支えることの2つの見方があります。
ライスパワーNo.11は、水分を保つ力に向けた有効成分
ライスパワーNo.11は、この水分保持能に向けた効能をもつ有効成分です。医薬部外品の有効成分として、「皮膚水分保持能の改善」という効能が認められています。
薬用化粧品の保湿の効能は、ふつうは「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の乾燥を防ぐ」などです。これは水分を足したり、逃がさないようにしたりする効能です。No.11の効能はそれとは別の新しい効能として、角層が水分を抱えておく力そのものに向けて認められました。
「皮膚水分保持能の改善」は、角層が水分を抱えておく力に向けた効能です。
水分がすぐ逃げてしまう角層を、水分を抱えておける角層に近づける、というのがこの効能の考え方です。たとえば、No.11を塗り続けると、肌の水分保持能が上がったという結果があります。
水分を足す成分ではなく、水分を保つ力に向けた成分と覚えておくと、商品の説明を読み違えずにすみます。
効能を書けるのは、その効能で承認を受けた製品だけ
「皮膚水分保持能の改善」と書けるのは、その効能で承認を受けた医薬部外品だけです。医薬部外品の効能は、成分ではなく製品ごとの承認で決まるからです。
医薬部外品を申請するときは、原則として、うたえる内容と表現はすでに承認された範囲に限られます。そのため、No.11が入っていても、その製品がこの効能で承認を受けていなければ書けません。ふつうの化粧品で言えるのは、国が定める化粧品の効能56項目の範囲で、「皮膚の水分、油分を補い保つ」「皮膚の乾燥を防ぐ」などまでです。56項目の中に「皮膚水分保持能の改善」はありません。
No.11入りの製品で、効能を名乗れるものかを見分ける順番です。
の表示
No.11
見る
見分けるときは、医薬部外品の表示、有効成分の欄、効能の欄の順に見ると確実です。成分表示では「米エキスNo.11」と書かれ、薬用化粧品のパッケージでは「ライスパワー®No.11」と並べて書かれていることがよくあります。
乾燥の手入れに選ぶなら、成分の名前より先に効能の欄を見てみてください。
番号がちがえば、効能もちがう別の成分
ライスパワーは、番号がちがえば別の成分です。お米と微生物の組み合わせ方で働きが変わるため、番号をつけて区別しています。
ライスパワーエキスは、米を麹菌や酵母、乳酸菌などの微生物で発酵・熟成させて取り出したエキスです。酒造会社が開発した成分ですが、酒造りの工程で出るエキスや酒粕ではありません。たとえば、No.6は「皮脂分泌の抑制」の効能をもつ有効成分、No.1-Dは入浴剤の有効成分です。
よく混ざりやすいのがNo.11+です。つくり方を変えたNo.11+は、水分保持能に加えてシワの効能をもつ、No.11とは別の有効成分です。「No.11でシワにも働く」と思われがちですが、シワの効能はNo.11+のものです。
番号と効能はセットで見る、と覚えておけば大丈夫です。くわしくはライスパワーの番号の記事で解説しています。
米アレルギーのある人は、使う前に成分表を確かめる
米アレルギーのある人は、使う前に成分表を確かめましょう。お米からつくる成分だからです。
同じお米由来のNo.6を国が審査したときにも、米アレルギーのある人が使わないよう注意を促すことが必要とされ、目に入れないように注意することも示されました。No.11を使うときも、同じように気をつけておくと安心です。
どんな成分でも、肌に合わないことはあります。赤みやかゆみが出たら使うのをやめ、肌の炎症やかゆみが続くときは皮膚科に相談しましょう。
お米由来の成分だからこそ、米アレルギーの有無だけは先に確かめておくのが安心です。
まとめ
- ライスパワーNo.11は、米を微生物で発酵させたエキスで、成分表示では「米エキスNo.11」です
- 乾燥しやすい肌では、角層が水分を抱えておく力、つまり水分保持能が落ちています
- No.11は、医薬部外品の有効成分として「皮膚水分保持能の改善」の効能が認められています
- この効能を書けるのは、その効能で承認を受けた医薬部外品だけで、化粧品の56項目にはありません
- 番号がちがえば別の成分で、シワの効能はNo.11+のものです。米アレルギーのある人は成分表を確かめます
ライスパワーNo.11は、水分を足すのではなく、水分を保つ力に向けた効能をもつ成分です。選ぶときは「医薬部外品」の表示と効能の欄を見てみてください。
よくある質問
ライスパワーNo.11はどんな成分ですか?
角層が水分を抱えておく力に向けた、医薬部外品の有効成分です。お米を発酵させてつくるエキスで、効能は「皮膚水分保持能の改善」です。
ライスパワーNo.11が入った化粧品なら、水分保持能の改善をうたえますか?
うたえるとは限りません。効能は製品ごとの承認で決まり、この効能を書けるのはその効能で承認を受けた医薬部外品だけです。ふつうの化粧品で言えるのは「皮膚の乾燥を防ぐ」などの範囲です。
ライスパワーNo.11はシワにも働きますか?
シワの効能は、つくり方を変えたNo.11+という別の有効成分のものです。No.11の効能は、水分を保つ力に向けたものです。
ライスパワーは酒粕のエキスですか?
違います。米を麹菌や酵母、乳酸菌などの微生物で発酵・熟成させて取り出したエキスで、酒造りの工程で出るエキスや副産物ではありません。
ライスパワーNo.11は成分表示でどう書かれますか?
成分表示では「米エキスNo.11」と書かれます。薬用化粧品のパッケージでは「ライスパワー®No.11」と並べて表示されていることがよくあります。
この記事で参照した情報
- 勇心酒造「ライスパワーエキスについて」
- 松野孝祐・徳山孝仁・大久保明・徳山孝(勇心酒造株式会社)「各種機能性を有する米発酵エキスの研究開発 ライスパワー®エキス~日本酒から化粧品まで~」化学と生物 57(2):129-133 (2019)
- 厚生労働省「2015年11月9日 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録」
- 勇心酒造 プレスリリース「ライスパワー®No.11+」(PR TIMES、2023年6月20日)
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「水分保持力」
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 医薬品医療機器総合機構「医薬部外品を承認申請する際の基本的留意事項について(令和5年度版)」
- コーセー Precious Beauty vol.86「日本で唯一の、うるおい改善美容液。」
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
この記事が入っているテーマ別まとめ