この記事でわかること
- シリコーンが肌と髪の表面でしていること
- 頭皮の毛穴につまる噂とノンシリコンの違い
- ヨーロッパで一部が制限された本当の理由
シャンプーの「ノンシリコン」をよく見かけると、シリコーンは毛穴につまるのか、避けたほうがいい成分なのか気になりますよね。
結論から言うと、シリコーンは肌や髪の表面に薄く広がってなめらかにする油で、避けるべき成分ではありません。頭皮の毛穴にはつまらないとされていて、シリコーン入りとノンシリコンの違いは、安全性ではなく仕上がりの好みです。まずは、どんな成分なのかから見ていきましょう。
シリコーンは、ケイ素と酸素がつながった骨組みをもつ油の仲間
シリコーンは、ケイ石を原料に、ケイ素と酸素がくさりのようにつながった骨組みをもつ成分の仲間です。油のようにさらっとしたものからペースト状、ゴムのようなものまであり、化粧品でよく使われるのは油状のシリコーンオイルです。温度が変わってもとろみが変わりにくく、熱に強いという性質もあります。
成分表では、いちばん代表的なのがジメチコンで、メチルポリシロキサンとも呼ばれます。揮発するタイプの環状シリコーンは、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、シクロメチコンといった名前で書かれます。髪にくっつきやすい性質をもたせたアミノ変性シリコーンのように、目的に合わせて形を変えたものもあります。
成分表で見分けるときは、名前に「ジメチコン」か「シロキサン」が入っているかを見れば大丈夫です。
シリコーンは、角層の上に薄く広がって表面をなめらかにする
シリコーンの役目は、肌や髪の表面に薄く広がって、なめらかにし、水をはじくことです。化粧品の油の中でも、無色透明でべたつきがなく、よく広がり、水をはじく力が強いからです。
シリコーンは角層の上に薄く広がって、表面をなめらかにおおいます。
シリコーンは角層の上にとどまって働きます。たとえばファンデーションや日焼け止めは、水や汗で崩れやすいもの。シリコーンが水をはじくことで、化粧くずれを防ぎます。クリームや乳液では油っぽさを抑えて軽い使い心地にし、ほかの成分が肌や髪の上に広がるのも助けます。
アメリカでは、ジメチコンを1〜30%含むものが、荒れたりひび割れたりした肌を一時的に守り、風や寒さによる乾燥から肌を守る助けになる市販薬の有効成分として認められています。これはアメリカの医薬品の決まりで、日本の化粧品の効能とは別の話です。
シリコーンは、表面で仕上がりを整える成分だと考えるとわかりやすいです。
ジメチコンは刺激が少なく、角層より内側に入りにくい
肌に膜を張ると聞くと、肌に悪いのではと心配になりますよね。でも、代表的なジメチコンは、刺激が出ないように処方すれば、化粧品に使って安全と評価されています。
アメリカの専門家による安全性評価では、ジメチコンは肌のいちばん外側の構造を乱さず、角層より内側へは入りにくいとされました。動物での刺激は最小限で、人で試したアレルギーの試験でも反応は出ていません。揮発する環状のシリコーンも、肌から吸収される量はごくわずかで、刺激やアレルギーを起こしにくいと評価されています。
シリコーンは、肌の上にとどまって働く、刺激の少ない成分です。
頭皮の毛穴にはつまらず、ノンシリコンとの違いは仕上がりの好み
「シリコーンが頭皮の毛穴につまる」という話を聞くと、不安になりますよね。でも、シリコーンが頭皮の毛穴につまることはないとされています。シリコーンは髪の表面には薄く広がりやすい一方で、頭皮の皮脂とはなじまない性質だからです。
髪に残ったシリコーンは次のシャンプーで落ちるので、たまっていきません。
広がる
なめらか
落ちる
実際に、シリコーン入りのシャンプーとコンディショナーを続けて使った地肌を調べても、毛穴にシリコーンがつまる兆しは見られなかったという結果があります。コンディショナーで髪に残ったシリコーンは次のシャンプーで洗い流されるので、髪にたまっていくこともありません。
パーマやヘアカラーへの影響もないとされています。髪がぬれているとき、シリコーンは小さな油の粒として表面にあるだけで、髪をすき間なく覆うわけではないので、ほかの成分の浸透を妨げないからです。
では、ノンシリコンは何のためにあるのでしょうか。違いは仕上がりの好みです。シリコーン入りは、洗うときの髪どうしの摩擦を減らして、なめらかに仕上げるので、傷んだ髪に向きます。ノンシリコンは細かな泡立ちでさっぱり、サラサラと仕上がるので、あまり傷んでいない髪や、さっぱり感が好きな人に向きます。
シャンプーとリンスの役割を知ったうえで、自分の髪の状態と好みで選ぶのがいちばんです。
ヨーロッパの規制は一部の環状シリコーンだけで、理由は環境
「ヨーロッパで禁止された」と聞くと、体に悪いのかと思いますよね。でも、規制されたのは一部の環状シリコーンだけで、理由は人の健康ではなく環境です。
対象はD4、D5、D6と呼ばれる揮発性の環状シリコーンです。これらは自然の中で分解されにくく、生き物の体にたまりやすい性質があるとされています。そのため、2020年1月31日から、D4とD5を0.1%以上含む洗い流す化粧品が販売できなくなりました。さらに2024年の改正でD6も加わり、2027年6月6日からは洗い流さない化粧品などにも対象が広がります。
一方で、ヨーロッパの科学委員会は、D5について、ヘアスタイリング用のエアゾールと日焼け止めスプレーを除けば、化粧品に使って安全と判断しています。代表的なジメチコンのような鎖状のシリコーンは、この規制の対象ではありません。日本では、D4とD6が、分解されにくく体にたまりやすい物質として国が見守る「監視化学物質」にあたると判定されています。
この規制は環境を守るためのもので、ジメチコン入りの化粧品を避ける理由にはなりません。
揮発するシリコーン入りのヘア用品は、ファンヒーターのそばで使わない
揮発性のシリコーンを多く含む、洗い流さないヘア用品は、ファンヒーターを使っている部屋でつけたり乾かしたりしないようにしましょう。揮発した成分をヒーターが吸い込み、点火不良や消火の原因になることがあるからです。
そのため、業界の自主基準で、こうした製品には注意表示をつけることになっています。また、スプレーのように吸い込むおそれのある使い方は、ヨーロッパでD5を安全とした判断からも除かれています。
ヘア用品やスプレー製品は、書かれている使い方と注意表示を守るのが基本です。
まとめ
- シリコーンは肌や髪の表面に薄く広がる油で、水をはじき、なめらかにします
- ジメチコンは角層より内側に入りにくく、刺激が出ないように処方すれば安全と評価されています
- シリコーンは頭皮の毛穴にはつまらず、次の洗髪で落ちるとされています
- ノンシリコンとの違いは仕上がりの好みで、安全性の違いではありません
- ヨーロッパの規制は一部の環状シリコーンが対象で、理由は環境です
シリコーンは「避けるべき成分」ではなく、仕上がりを整えるための成分です。髪の状態と好みに合わせて、シリコーン入りかノンシリコンかを選んでみてください。
よくある質問
シリコーンは頭皮の毛穴につまりますか?
つまらないとされています。シリコーンは頭皮の皮脂となじまない性質で、続けて使った地肌でも毛穴につまる兆しは見られなかったという結果があります。
ノンシリコンシャンプーのほうが髪にいいですか?
違いは仕上がりの好みです。シリコーン入りはなめらかで傷んだ髪向き、ノンシリコンはさっぱりした仕上がりで、どちらも髪や頭皮に悪い影響はないとされています。
シリコーンは肌に悪い成分ですか?
悪い成分とはされていません。代表的なジメチコンは角層より内側に入りにくく、刺激が出ないように処方すれば化粧品に使って安全と評価されています。
ヨーロッパでシリコーンが禁止されたのは本当ですか?
一部だけです。D4・D5・D6という環状シリコーンが環境の理由で制限されました。代表的なジメチコンは対象外で、人の健康への害を理由にした規制ではありません。
成分表でシリコーンを見分ける方法は?
名前に「ジメチコン」か「シロキサン」が入っていればシリコーンと考えてよいです。シクロペンタシロキサンやシクロメチコンは揮発するタイプです。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「シリコーン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ジメチコン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ウォータープルーフ」
- 日本化粧品工業会 自主基準「揮発性シリコーン」(2020年2月10日)
- シリコーン工業会「環状シロキサン」
- Cosmetic Ingredient Review「Amended Safety Assessment of Dimethicone, Methicone, and Substituted-Methicone Polymers as Used in Cosmetics」(2022)
- Johnson W Jr, et al. Safety Assessment of Cyclomethicone, Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane, Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane. Int J Toxicol 2011;30(Suppl 3)
- 米国連邦規則 21 CFR 347.10(皮膚保護剤の有効成分)
- 米国連邦規則 21 CFR 347.50(皮膚保護剤の表示)
- Commission Regulation (EU) 2018/35(D4・D5、洗い流す化粧品)
- Commission Regulation (EU) 2024/1328(D4・D5・D6)
- 欧州委員会 SCCS「Decamethylcyclopentasiloxane (cyclopentasiloxane, D5) in cosmetic products」(2016)
- 厚生労働省 平成29年度第8回 薬事・食品衛生審議会 化学物質調査会ほか合同審議会(2017年12月22日)
- 花王 化粧品Q&A「シリコーンシャンプーは、髪や毛穴や頭皮に悪影響があるのですか?」
- 花王 ヘアケアサイト「洗髪のQ&A」
- 花王 ヘアケアサイト「コンディショニング成分」
- 花王 製品Q&A「コンディショナーやシャンプーなどに使われているシリコーンは、どんな働きをするの?」
- 資生堂「【知って、なるほど化粧品】シリコンについて」(2019年11月21日)
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