この記事でわかること
- 「テスト済み」でも、かぶれることがある理由
- 「テスト済み」の横に小さな注記がある理由と、皮膚科の検査との違い
- 「刺激が少ない」「無添加」の表示の決まり
「アレルギーテスト済み」と書いてあれば自分もかぶれないのか、近くにある小さな注意書きは何なのか、迷いますよね。
結論から言うと、「テスト済み」が表しているのは、テストをしたという事実だけで、自分に合うかどうかは別です。近くに小さく書かれた「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」という一文は、書くことが決まりで求められています。まずは、かぶれがどうやって起きるのかから見ていきましょう。
アレルギーのかぶれは、体が覚えた成分にまた触れて起きる
アレルギーによるかぶれは、その人の体が覚えた成分に、もう一度触れたときに起きます。だから、どの成分でかぶれるかは人によって違います。
肌に触れたものでかぶれることを、接触皮膚炎といいます。大きく2つあり、1つは、刺激の強いものが肌に入りこみ、表皮の細胞を刺激して起きるかぶれです。もう1つがアレルギーによるかぶれで、こちらは2段階で起きます。
アレルギーによるかぶれは、体が成分を覚えたあとに、また触れると起きます。
肌につく
覚える
触れる
出る
最初に成分が肌につくと、体がその成分を覚えます。これを感作といいます。感作が起きた人がまたその成分に触れると、かぶれが出ます。アレルギーによるかぶれは、ごく少しの量でも起こりうるのが、刺激によるかぶれとの違いです。
たとえば、香料で反応が出る人もいれば、出ない人もいます。くわしくは香料の記事で解説しています。ほかの人の肌で試してかぶれなかったとしても、自分の体が覚えている成分が入っていれば、かぶれることはあるのです。
つまり、テストの結果は「試した人ではかぶれにくかった」という目安で、自分の体が何を覚えているかまではわかりません。
「テスト済み」の書き方は、公正競争規約で決まっている
「テスト済み」の書き方は、化粧品の表示に関する公正競争規約で決まっています。景品表示法にもとづく業界のルールで、化粧品公正取引協議会が運用しています。
その施行規則の別表4-2「テスト済みに関する用語」では、「アレルギーテスト済み」などの言葉を表示するときの基準を2つ定めています。
ひとつは、デメリットを示す一文を、同じくらいの大きさで目立つように、近くに並べて書くこと。もうひとつは、キャッチフレーズにしないことです。日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」にも、「アレルギーテスト済み」などの表現を扱う項目があります。
「テスト済み」は、書き方まで決められた表示だと覚えておきましょう。
あの小さい注記は、書くことが決められた一文
パッケージで、「アレルギーテスト済み」の近くに小さな注意書きを見たことがあると思います。あの注記は、ルールで書くことが決められた一文です。作る側の気づかいで添えているのではありません。
決まっている一文は、表示ごとに違います。「アレルギーテスト済み」なら「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」、「皮膚刺激性テスト済み」なら「全ての方に皮膚刺激が発生しないということではありません。」、「ノンコメドジェニックテスト済み」なら「全ての方にコメド(ニキビのもと)が発生しないということではありません。」です。
どれも、あなたに合うという保証ではないことを言っています。キャッチフレーズにしないという基準も同じ考え方で、商品名や大見出しに使うと、保証のように見えてしまうからです。
小さな注記は飾りではなく、表示の意味をはっきりさせる大事な一文です。
皮膚科のパッチテストは、自分の原因を調べる検査
同じ「パッチテスト」という言葉なので、製品の「パッチテスト済み」と同じものだと思いますよね。でも、皮膚科のパッチテストは、かぶれた人が自分の原因を調べるための検査です。製品の「パッチテスト済み」とは、目的も、試す人も違います。
日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドラインにあるパッチテストは、試薬を載せたシートを背中の上のほうに貼り、何日かかけて反応を見ます。
皮膚科のパッチテストは、何日かかけて肌の反応を見る検査です。
背中に貼る
はがす
に判定
にも判定
48時間後にシートをはがし、貼ってから48、72、または96時間後と、1週間後に判定します。すでに症状が出ている人が、自分の体が何に反応するのかを突き止めるための検査です。
一方、製品の「パッチテスト済み」は、製品を人の肌に貼って、刺激が出ないかを確かめたという意味です。公的に決まっているのは、テストをしたときにどう表示するかで、どう試験するかではありません。試す人の数や貼る時間、判定のしかたは、それぞれの試験によって違います。
自分のアレルギーの原因を知りたいときは、皮膚科でパッチテストを受けるのが確かな方法です。
ノンコメドジェニックは、コメドができにくいかを調べた表示
「ノンコメドジェニックテスト済み」は、ニキビのはじまりであるコメドができにくいかを調べた、という表示です。これも別表4-2の対象なので、注記を近くに書く決まりがあります。
コメドは、毛穴の出口に皮脂と角質がつまった状態で、ニキビはここから始まります。
コメドは、皮脂と角質で毛穴の出口がつまった、ニキビのはじまりです。
たまる
たまる
コメドに
日本皮膚科学会のニキビの治療ガイドラインでも、ニキビのある人のスキンケアやメイクでは、ニキビの人で使用試験が行われた、低刺激性でノンコメドジェニックな化粧品を選ぶ配慮が必要とされています。ただし、強くすすめるものではなく、選択肢の一つという位置づけです。
ニキビができやすい人にとって、化粧品を選ぶときの手がかりの一つになる表示です。
「刺激が少ない」は、立証されていなければ使えない言葉
「低刺激」「刺激が少ない」と書いてあると、やさしそうに感じますよね。でも、「刺激が少ない」は、安全性を誤解させるおそれがあるとして、使わないことになっている言葉です。
厚生労働省の医薬品等適正広告基準の解説では、「副作用が少ない」「比較的安心して」「刺激が少ない」といった表現は、安全性について誤解させるおそれがあるので使わないこととされています。ただし、低刺激性などが立証されていて、安全性を強調しない場合は認められるので、どんなときも禁止というわけではありません。
同じ解説には、体へしみこむ場面の見せ方などの項目も並んでいます。化粧品で「浸透」といえるのは角層までです。化粧品の広告が回りくどい言い方をしているのは、こうした基準に沿っているからです。
「刺激が少ない」と書いてあっても、誰にでも刺激がないという意味ではないと読んでおきましょう。
「無添加」は、何が入っていないかまで書いて意味がある
「無添加」は、何を入れていないのかまで書いて、はじめて意味のある表示です。「無添加」とだけ書くと、何を添加していないのかわからないからです。
公正競争規約の別表4-1は、「無添加」「無配合」「不使用」など、ある成分を入れていないことを表す言葉を使うときは、何を入れていないかをはっきり示すこととしています。日本化粧品工業会の適正広告ガイドラインも、「無香料・無着色」のような書き方にとどめ、「100%無添加」「100%ピュア」のように必要以上に強調しないよう求めています。
さらに、もともと化粧品にほとんど入れない成分の「無配合」を書くことも認められていません。ほかの化粧品には入っているかのように誤解されるからです。入っていないことを理由に安全であるかのように書いたり、ほかの商品をけなすように書いたりすることも禁じられています。
つまり、入っていないことは、安全の根拠にはならないということです。
テスト済みは「試した」という目安。合うかどうかは別に考える
「テスト済み」は、テストをしたという目安として見て、自分に合うかどうかは別に考えましょう。アレルギーのかぶれは、その人の体が覚えた成分で起きるからです。
それでも、表示に意味がないわけではありません。その項目について試験をしたという事実は残ります。敏感肌で選ぶ手がかりを増やしたい人には、役に立つ情報です。
使っていて赤みやかゆみが出たら、使うのをやめましょう。何度もくり返すときや、原因を知りたいときは、皮膚科で相談すると、パッチテストで調べてもらえます。
表示は「試した」という目安、合うかどうかは自分の肌の反応で見る、と覚えておけば迷いません。
まとめ
- アレルギーのかぶれは、体が覚えた成分にまた触れると起き、どの成分かは人によって違います
- 「テスト済み」の書き方は公正競争規約の別表4-2で決まっていて、注記を近くに同じくらいの大きさで書き、キャッチフレーズにしないことが基準です
- 皮膚科のパッチテストは、かぶれた人が自分の原因を調べる検査で、製品の「パッチテスト済み」とは別のものです
- 「刺激が少ない」は、立証されていない限り使わない言葉。「浸透」は角層までです
- 「無添加」は何を入れていないかを書くのがルールで、入っていないことは安全の根拠になりません
「テスト済み」は、試したという事実を伝える表示です。小さな注記まで読んで、合うかどうかは自分の肌の反応で見ていきましょう。
よくある質問
アレルギーテスト済みなら誰でもかぶれない?
いいえ、テストをしたという事実を表すだけで、自分に合うかどうかは別です。アレルギーのかぶれは、その人の体が覚えた成分にまた触れると起きるので、人によって違います。「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」と近くに書く決まりもあります。
「テスト済み」の近くの小さい注意書きはなぜあるの?
表示のルールで書くことが決められているからです。同じくらいの大きさで目立つように近くに書くこと、「テスト済み」をキャッチフレーズにしないことが定められています。
皮膚科のパッチテストと「パッチテスト済み」は同じ?
別のものです。皮膚科のパッチテストは、かぶれた人が自分の原因を調べる検査です。製品の「パッチテスト済み」は、製品を肌に貼って刺激が出ないかを確かめたという意味です。
ノンコメドジェニックテスト済みとは?
ニキビのはじまりであるコメドができにくいかを調べた、という表示です。こちらも「全ての方にコメド(ニキビのもと)が発生しないということではありません。」と近くに書く決まりです。
「無添加」と書いてあれば安全?
そうとは言えません。「無添加」は何を入れていないかを書くのがルールで、入っていないことを理由に安全であるかのように表示することも禁じられています。
この記事で参照した情報
- 化粧品公正取引協議会 施行規則 別表4-2「テスト済みに関する用語」
- 化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則」
- 化粧品公正取引協議会「公正競争規約の運用基準」
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年版)
- 日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023(日皮会誌 133巻3号)
- 日本皮膚科学会 接触皮膚炎診療ガイドライン2020(日皮会誌 130巻4号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)