この記事でわかること
- シカの正体と、成分表示での名前
- 肌荒れが起きるしくみと、シカが向く理由
- キズの薬との違いと、かぶれを防ぐ使い方
シカクリームもトナーもパッドも増えていて、「シカ」がいったい何で、肌に何をしてくれるのか、気になりますよね。
結論から言うと、シカはツボクサという植物からとった成分の呼び名で、化粧品として期待できるのは、肌荒れを防ぎ、うるおいを与えることです。キズの手当てに使う薬とは別のものです。まずは、シカの正体から見ていきましょう。
シカは、ツボクサという植物からとった成分の呼び名
シカは1つの成分の名前ではなく、ツボクサ由来の成分をまとめて指す呼び名です。売り場で使われる言葉なので、成分表示には「シカ」とは書かれません。
シカのもとは、ツボクサというセリ科の植物です。日本の化粧品の成分表示では、「ツボクサ葉エキス」「ツボクサエキス」などの名前で並びます。
シカクリームを選ぶときは、成分表示で「ツボクサ」の文字を探すと見分けられます。
肌荒れは、角層から水分が逃げて、きめが乱れた状態
肌荒れは、肌の表面のきめが乱れて、かさつきや粉ふきが目立つ状態です。その始まりは、肌のいちばん外側にある角層から水分が逃げることです。
角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質の3つで、うるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。このバランスが崩れると、すき間から水分が逃げて、きめが乱れていきます。
肌荒れは、角層から水分が逃げるところから始まります。
逃げる
乱れる
肌荒れ
角層に水分が多いと、肌がやわらかくなり、古い角層もスムーズにはがれます。つまり、肌荒れを防ぐ基本は、角層の水分を逃がさないことです。
ツボクサエキスは、角層の水分を保って肌荒れを防ぐ側に働く
ツボクサエキスは、角層の水分を保ち、逃げる水分を減らす側に働きます。だから、乾燥や肌荒れが気になるときの手入れに向きます。
ツボクサエキスは、角層の水分を保つ側に働きます。
実際に、ツボクサエキス5%を含むクリームやジェルを塗ると、角層の水分が増え、肌から逃げる水分が減ったという結果があります。水分が逃げにくくなれば、きめが乱れるのを防ぐことにつながります。
ただし、化粧品として言えるのは、国が決めた化粧品の効能の中の「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」といった範囲です。キズの手当てではなく「防ぐ・保つ」ための成分として見ておくと、期待しすぎずに選べます。
シカは、うるおいを保って肌荒れを防ぐ成分です。肌がゆらいでいるときの保湿なら、セラミドも選ぶ軸になります。
マデカッソシドもアジアチコシドも、ツボクサの成分
成分表示に並ぶ「マデカッソシド」「アジアチコシド」も、ツボクサに含まれる成分です。名前が違うので別の成分に見えますが、どれもツボクサから取り出したものです。
ツボクサに多いのは、糖がついた形のアジアチコシドとマデカッソシド、そしてその糖が外れた本体のアジア酸とマデカシン酸です。どれもトリテルペンという仲間に入ります。
「TECA」という表記もよく見かけます。これは、ツボクサの成分を、アジアチコシドが40%、本体が60%になるよう調整した抽出物です。名前が多いのは、ツボクサから何を、どのくらい取り出したかの違いによるものです。
どの名前も「ツボクサ由来」とわかれば、成分表示がぐっと読みやすくなります。
キズに使う薬のツボクサは、化粧品のシカとは別物
シカと聞くと、キズに塗る薬を思い浮かべる人も多いと思います。でも、キズに使う薬のツボクサと、化粧品のシカは、区分の違う別のものです。
ヨーロッパでは、ツボクサは「小さなキズの治りを助ける」伝統的な薬草の薬として扱われています。韓国にも、ツボクサの成分を使った塗り薬があり、シカのイメージのもとになっています。こうした薬には、抗生物質など、ツボクサとは別の薬の成分を一緒に配合したものもあります。
日本の化粧品は、キズの手当てのような薬の効能をうたえません。化粧品のシカは、薬の話とは切り離して考えましょう。
シカでもかぶれることがあるので、腕の内側で試す
シカは「ゆらぎ肌の味方」と紹介されることが多く、敏感肌でも安心と思いますよね。でも、シカも誰にとっても刺激がない、という成分ではありません。
ツボクサエキスによるアレルギー性のかぶれは、これまでに何度も報告されています。ツボクサの軟膏を使ったあとに、湿疹が出たという例もあります。
ヨーロッパの医薬品の評価では、使ってはいけない人として、セリやにんじんなどの仲間であるセリ科の植物に過敏症のある人を挙げています。ツボクサもセリ科なので、セリ科のアレルギーがある人は注意が必要です。アメリカの化粧品成分の評価も、アレルギーを起こさないように処方された場合に限り安全だと、条件つきで結論づけています。
新しいシカのアイテムは、腕の内側で試してから顔に使います。
少し塗る
かゆみを見る
顔に使う
新しいアイテムは、いきなり顔全体に使わず、腕の内側などで試してから使いましょう。赤みやかゆみが出たら使うのをやめ、続くときは皮膚科に相談します。
まとめ
- シカは、ツボクサという植物からとった成分の呼び名です。成分表示では「ツボクサ葉エキス」などと書かれます
- 肌荒れは、角層から水分が逃げて、きめが乱れることで起きます
- ツボクサエキスは、角層の水分を保ち、肌荒れを防ぐ側に働きます
- キズに使う薬のツボクサは、化粧品のシカとは別物です
- シカでもかぶれることがあるので、腕の内側などで試してから使います
シカは、うるおいを保って肌荒れを防ぐための成分です。イメージで選ぶより、自分の肌に合うかを確かめながら取り入れてみてください。
よくある質問
シカクリームの「シカ」とは何?
ツボクサという植物に由来する成分をまとめて指す呼び名です。日本の成分表示では「ツボクサ葉エキス」「ツボクサエキス」などと書かれます。
シカの化粧品は肌荒れに向いている?
向いています。ツボクサエキスは角層の水分を保つ側に働き、化粧品として「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」範囲で期待できます。湿疹やキズそのものが気になるときは、皮膚科に相談しましょう。
マデカソサイド(マデカッソシド)とシカの違いは?
シカはツボクサからとった成分をまとめた呼び名で、マデカッソシドはツボクサに含まれる成分のひとつです。商品名では「マデカソサイド」と書かれることもありますが、成分表示では「マデカッソシド」です。
シカはキズに塗る薬と同じもの?
いいえ。キズに使う薬のツボクサは医薬品で、化粧品のシカとは区分の違う別のものです。薬には、抗生物質など、ツボクサとは別の成分を一緒に配合したものもあります。
敏感肌でもシカなら安心?
誰にでも刺激がないとは限りません。ツボクサエキスによるかぶれの報告があり、セリ科の植物にアレルギーがある人は注意が必要です。腕の内側などで試してから使いましょう。
この記事で参照した情報
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「肌荒れ」
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- Ratz-Łyko A, Arct J, Pytkowska K. Moisturizing and antiinflammatory properties of cosmetic formulations containing Centella asiatica extract. Indian J Pharm Sci 2016;78(1):27-33
- EMA "Assessment report on Centella asiatica (L.) Urb., herba" (rev.1, 2022)
- EMA "European Union herbal monograph on Centella asiatica" (rev.1, 2022)
- 東国製薬 マデカソル軟膏 製品ページ
- Özkaya E, Toprak İD., Contact Dermatitis (2024) 症例報告
- CIR "Safety Assessment of Centella asiatica-Derived Ingredients" (2023)