この記事でわかること
- 一緒に使うと刺激が重なりやすい組み合わせと、その理由
- 朝と夜で分ける使い方と、日焼け止めが要る理由
- 組み合わせを「役割分担」で考えるコツ
レチノールにナイアシンアミド、ビタミンC、角質ケアの酸。気になる美容成分が手元にそろうと、「これって一緒に使っていいの?」と迷いますよね。
結論から言うと、多くの組み合わせは使い方しだいで一緒に使えます。気をつけたいのは、刺激を感じやすいものどうしを重ねることと、日焼けしやすくなる成分を使う日の紫外線対策の2つです。迷ったときは朝と夜に分けて使うと、どちらにも備えやすくなります。組み合わせごとに見ていきましょう。
レチノールとAHA・BHAは、刺激が重なりやすいので日を分ける
レチノールとAHA・BHAは刺激が重なりやすいので、まずは使う日や時間帯を分けましょう。どちらも、肌のいちばん外側の角層に変化を起こす側の成分だからです。
レチノールの仲間は、使い始めに肌が乾燥したり、赤くなったり、皮がむけたりしやすい成分です。AHAやBHAは、角層の表面の古い角質をはがれやすくする酸です。同じ時間に重ねると、肌の表面に起きる変化が重なり、刺激を感じやすくなります。
レチノールと同じ系統の医薬品、つまりレチノイドと呼ばれる塗り薬では、この注意がはっきり示されています。ニキビの治療に使われるアダパレンの添付文書は、ほかの刺激のある塗り薬と一緒に使うと刺激感が増すおそれがあるとして注意を求めています。海外の塗り薬トレチノインでも、乾燥させる作用の強い石けんや化粧品などとの併用に注意するよう求め、BHAの代表であるサリチル酸を含むものとの併用には特に注意が必要とされています。
医療機関で酸を使って角質をはがすケミカルピーリングの指針でも、レチノイドを使っていた人には、休薬期間を考えたうえで、皮膚の反応に十分注意するよう求めています。ここで使う薬剤はグリコール酸やサリチル酸で、濃度は20〜35%など、化粧品とは別の世界の話です。
化粧品のレチノールは医薬品とは別のものですが、同じ系統の成分です。重ねるなら、使う日や時間帯を分けるところから始めると、肌の変化に気づきやすくなります。
ナイアシンアミドとビタミンCの「赤くなる」説は、高温の水溶液での話
ナイアシンアミドとビタミンCは混ぜると赤くなる、と聞いて不安になりますよね。この説のもとは、2つを水に溶かして高い温度で調べたときの反応で、肌に塗ったときの話ではありません。
ナイアシンアミドは、強い酸性や強いアルカリ性、高温といった条件で、ニコチン酸という別の物質に変わります。ニコチン酸は血行をよくする働きがあり、肌の上で出ると赤くなることがあります。ただ、ふつうの化粧品の処方の中では、ナイアシンアミドは安定しています。
また、ナイアシンアミドとビタミンCを含む水溶液は、すぐに黄色くなることがあります。これは2つが結びつく水溶液の色の変化で、肌が赤くなる反応ではありません。
それでも気になるなら、ビタミンCを朝、ナイアシンアミドを夜というように分けて使えば安心です。重ねて赤みやヒリつきが出たら、使うのをやめて様子を見ましょう。
レチノールとビタミンCは、朝と夜に分けるのが基本
ビタミンCは朝、レチノールは夜に分けるのが基本の形です。それぞれの成分の性質に合った時間帯があるからです。
家庭医向けの解説では、ビタミンCは朝、日焼け止めの前に塗るのがもっとも有利で、レチノールは日光への感受性を避けるため夜に使うのが望ましいとされています。レチノイドとビタミンCは別の時間に使うのがよいとされ、朝にビタミンCの美容液、夜にレチナールという使い方の例もあります。
迷ったときは、ビタミンCを朝、レチノールを夜に分けて使います。
ビタミンC
を重ねる
レチノール
うるおす
レチノールを夜に回す理由はほかにもあります。純粋レチノールは熱や光、酸素に弱い、とても不安定な成分です。医薬品のレチノイドも、アダパレンは就寝前、トレチノインは1日1回寝る前と、夜に使う用法が決められています。
ニキビの塗り薬で過酸化ベンゾイルを使っている人は、ビタミンCとの組み合わせにも気を配りましょう。過酸化ベンゾイルはビタミンCを酸化させて働きを失わせるため、ビタミンCは日を替えるか、別の時間帯に使うのがよいとされています。
製品に使い方の案内があれば、そちらを優先し、なければビタミンCは朝、レチノールは夜と覚えておけば大丈夫です。
レチノールとナイアシンアミドは、役割を分け合える組み合わせ
レチノールとナイアシンアミドは一緒に使えて、役割を分け合える組み合わせです。レチノールはシワの手入れ、ナイアシンアミドは角層のうるおいを支える側と、働く場所が違うからです。
角層は、細胞のすき間を埋める細胞間脂質などでうるおいを保っていて、細胞間脂質の約50%はセラミドです。レチノールの使い始めは肌が乾燥しやすく、米国皮膚科学会も保湿剤を一緒に使うよう案内しています。ナイアシンアミドには、角層のセラミドを増やす働きが報告されていて、角層が自分でうるおいを保つ力を支えます。
2つは働く場所が違うので、シワの手入れと角層のうるおいの支えを分け合えます。
シワに
働く
うるおいを
支える
シワと
うるおい
たとえば、レチノールの仲間の塗り薬を使う人が、ナイアシンアミドなどを含む保湿剤を一緒に使うと、使い始めの乾燥や皮むけが早くおさまったという結果があります。
ただし、レチノール入りの製品どうしを重ねるのは別の話です。レチノール配合の医薬部外品には、ほかのレチノール配合品と一度に何品も併用しないよう案内しているものがあります。2つの組み合わせは、レチノールとナイアシンアミドの記事でくわしく解説しています。
シワの手入れをレチノールに、うるおいの支えをナイアシンアミドに、と役割で分けて考えるとわかりやすいです。
AHAやレチノールを使う日は、日焼け止めが要る
AHAやレチノールを使う日は、日焼け止めが要ります。ただし、必要な理由は成分によって少し違います。
AHAでは、塗っている間に、紫外線で肌が赤くなることへの感受性が18%上がったという結果があります。アメリカの食品医薬品局は、AHA入りの製品に、日焼けしやすくなるおそれがあるので使っている間とやめてから1週間は日焼け止めを使い、服で肌を覆い、日光を控えるよう伝える注意表示を勧めています。
AHAを使っている間は紫外線で赤くなりやすいので、日焼け止めで備えます。
使う
浴びる
やすい
で防ぐ
医薬品のレチノイドも、アダパレンは過度の紫外線を浴びないよう求め、トレチノインは日光への感受性が高まるため、日光を浴びるのを最小限にするよう求めています。
化粧品のレチノールでは、理由の説明が少し違います。レチノール配合の医薬部外品の中には、朝に使うときは紫外線カット効果のある化粧品を重ねるよう案内しているものがあり、光に弱い成分を守るためという考え方です。
どちらの場合も、使う日の日中は日焼け止めをと覚えておきましょう。
効き目を足す組み合わせは、薬と医薬部外品の話
組み合わせれば効き目が上がるのでは、と期待したくなりますよね。ただ、成分を組み合わせて効き目を足す考え方は、主に医薬品や医薬部外品のものです。化粧品として言える効能は、組み合わせても変わらないからです。
ニキビの治療では、アダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%を1本にした配合ゲルがあり、日本皮膚科学会のガイドラインは、中等症から重症の赤いニキビにこれを強く推奨しています。ただし皮膚の刺激症状は、それぞれ単独の薬より配合剤のほうが多く出ました。海外には、トレチノインとハイドロキノンを含む3つの成分を合わせた肝斑の短期治療用のクリームもありますが、使った人の41%に赤み、38%に皮むけが出ていて、日本では承認されていない医薬品です。
日本でも、複数の有効成分を1品に入れた医薬部外品が承認されています。純粋レチノールに、しみを防ぐ有効成分を2種類合わせた製品では、「シワを改善する」「メラニンの生成を抑えシミ・そばかすを防ぐ」という効能が表示されています。ナイアシンアミド、トラネキサム酸、D-パントテニルアルコール、サリチル酸の4つの有効成分を組み合わせた医薬部外品も承認されています。
一方、ふつうの化粧品どうしを組み合わせても、化粧品として言える効能は厚生労働省が定める56項目の範囲のままです。化粧品の組み合わせは、効き目を足すためではなく、役割を分けるためと考えましょう。
妊娠中のレチノールは、使う前に医師や薬剤師に相談する
妊娠中や妊娠を考えているときは、レチノールを使う前に医師や薬剤師に相談しましょう。レチノールと同じ系統の医薬品には、妊娠に関わるはっきりした注意があるからです。
飲み薬のエトレチナートは胎児に奇形を起こすおそれがあるため、飲んでいる間とやめたあと、女性は2年間、男性は6か月間の避妊が求められています。塗り薬でも、アダパレンは妊婦や妊娠している可能性のある人には使えない薬です。米国皮膚科学会は、妊娠中はレチノイドを使わないよう呼びかけています。
厚生労働省は、妊娠中に薬を使うときは医師か薬剤師に相談するよう案内しています。化粧品のレチノールでも、迷ったら自分だけで決めずに相談するのが安心です。
まとめ
- 組み合わせで気をつけたいのは、刺激を感じやすい成分どうしを重ねることと、日焼けしやすくなる成分を使う日の紫外線対策です
- レチノールとAHA・BHAは刺激が重なりやすいので、使う日や時間帯を分けて肌の様子を見ます
- ナイアシンアミドとビタミンCの「赤くなる」説は、高温の水溶液での話です
- ビタミンCは朝、レチノールは夜。レチノールとナイアシンアミドは役割を分け合えます
- AHAやレチノールを使う日は日焼け止めを。妊娠中のレチノールは医師や薬剤師に相談します
組み合わせは「使っていいかだめか」ではなく、「刺激と紫外線にどう備え、役割をどう分けるか」で考えると、手元の美容成分を無理なく使い分けられます。
よくある質問
レチノールとAHA・BHAは一緒に使っていいですか?
刺激が重なりやすい組み合わせなので、まずは使う日や時間帯を分けましょう。同じ系統の医薬品では、刺激のある塗り薬との併用で刺激感が増すおそれがあるとして注意が求められています。
ナイアシンアミドとビタミンCを一緒に使うと赤くなりますか?
「赤くなる」説のもとは、2つを水に溶かして高い温度で調べたときの反応で、肌に塗ったときの話ではありません。ふつうの化粧品の中でナイアシンアミドは安定しています。気になるなら、朝と夜に分けて使えば安心です。
レチノールとビタミンCは朝と夜で分けたほうがいいですか?
分ける使い方がよく勧められていて、ビタミンCは朝、レチノールは夜が基本の形です。純粋レチノールは熱や光、酸素に弱い成分で、医薬品のレチノイドも夜に使う用法になっています。
レチノールとナイアシンアミドを一緒に使うと何がいいですか?
役割を分け合えます。レチノールはシワの手入れ、ナイアシンアミドは角層のセラミドを増やしてうるおいを支える側に働きます。レチノールの使い始めは乾燥しやすいので、うるおいを支える成分と組み合わせると考えやすくなります。
AHAを使う日は日焼け止めが要りますか?
要ります。AHAを塗っている間は、紫外線で肌が赤くなることへの感受性が18%上がったという結果があります。アメリカでは、使っている間とやめてから1週間は日焼け止めを使うよう伝える表示が勧められています。
妊娠中にレチノールを使ってもいいですか?
使う前に医師や薬剤師に相談してください。同じ系統の飲み薬には避妊期間が求められるものがあり、塗り薬のアダパレンは妊婦には使えない薬とされています。米国皮膚科学会は、妊娠中はレチノイドを使わないよう呼びかけています。
この記事で参照した情報
- ディフェリンゲル0.1% 添付文書(マルホ、2023年1月改訂)KEGG MEDICUS
- RETIN-A (tretinoin) Cream/Gel 米国添付文書(DailyMed、2024年3月改訂)
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(日皮会誌133(3):407-450)
- 日本皮膚科学会「ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)」2008年
- 米国食品医薬品局(FDA)「Alpha Hydroxy Acids」(2022年11月22日更新)
- TRI-LUMA Cream 米国添付文書(DailyMed、2023年2月改訂)
- 中外製薬「適正使用のお願い 角化症治療剤チガソン ―催奇形性について―」2014年6月
- Draelos ZD, Ertel KD, Berge CA. Facilitating Facial Retinization Through Barrier Improvement. Cutis 2006;78:275-281
- Guttman DE, Brooke D. Solution Phase Interaction of Nicotinamide with Ascorbic Acid. J Pharm Sci 1963;52(10):941-945
- Finholt P, Higuchi T. Rate Studies on the Hydrolysis of Niacinamide. J Pharm Sci 1962;51:655-661
- Ball S, et al. Vitamin C, Topical Retinoids, and Sunscreen in Clinical Practice: Essentials for Family Physicians. OFP Journal Vol.16 No.3, 2024
- 資生堂 ニュースリリース「有効成分純粋レチノールによるしわを改善する効能効果の承認を日本で初めて取得」2017年2月28日
- SHISEIDO バイタルパーフェクション リンクルリフト ディープレチノブライト A+ 商品ページ(医薬部外品)
- 東洋新薬 ニュース「日本初の医薬部外品承認を取得―ナイアシンアミドを含む4つの有効成分の組み合わせ―」2024年2月2日
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- American Academy of Dermatology. Retinoid or retinol? (2021年5月25日更新)
- ドイツ化学会 食品化学会 化粧品作業部会「Data sheets for evaluating the effectiveness of active ingredients in cosmetic products. Niacinamide (Vitamin B3)」
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 厚生労働省「妊娠と薬」(令和7年10月17日更新)
この記事が入っているテーマ別まとめ