成分辞典やさしい解説

化粧品のポリマーをやさしく解説!マイクロプラスチックとの違いとは?

あるコスメオタク・2026.09.25・更新 2026.10.21・成分辞典

成分表に「〇〇ポリマー」「カルボマー」とあると、マイクロプラスチックと同じものなのでは、と気になりますよね。

結論から言うと、化粧品でとろみを出しているポリマーは、マイクロプラスチックとは違います。ポリマーは小さな部品がつながった大きな分子で、化粧品では水に溶けてとろみを出しています。マイクロプラスチックとして問題になっているのは、水に溶けない小さな固体の粒です。

ポリマーは、小さな部品がたくさんつながった大きな分子

ポリマーは、モノマーと呼ばれる小さな部品がたくさんつながってできた大きな分子で、日本語では高分子といいます。分子が大きいので、水に溶けるとまわりにたくさんの水を抱え込めるからです。

「ポリ」は「たくさん」という意味で、部品のモノマーがたくさんつながったものがポリマーです。

部品1つ=モノマー たくさんつながる=ポリマー(高分子)

化粧品で大事なのは、水に溶ける「水溶性高分子」です。水に溶けると、分子のまわりにたくさんの水を抱え込んだゲルをつくるので、液の粘りがぐっと高まります。

成分表での名前の付け方にも決まりがあります。部品が1種類のものは、ポリビニルアルコールのように部品の名前の前に「ポリ」を付けます。2種類以上の部品でできているものは、部品の名前を「/」で区切って並べ、最後に種類を表す語を付けるので、「アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー」のような長い名前になります。カルボマーという名前は、アクリル酸を架橋した、分子量の大きいポリマーに使う決まりです。

水に溶けて、まわりの水を抱え込み、とろみを出す。これが化粧品のポリマーのいちばん基本の姿です。

化粧品では、とろみをつけて分離を防ぐために入っている

化粧品のポリマーの主な仕事は、とろみをつける、分離を防ぐ、泡をつぶれにくくする、の3つです。どれも、製品を使いやすく、安定した状態に保つための仕事だからです。

化粧品のポリマーの主な仕事です。どれも、製品を使いやすく安定させるための仕事です。

とろみをつける

化粧水やジェルを使いやすい粘りにする

分離を防ぐ

油の粒や粉が分かれないようにする

泡を保つ

洗顔料などの泡をつぶれにくくする

1つめのとろみは、増粘やゲル化と呼ばれ、製品を使いやすい粘りにして、夏も冬も使い心地を同じくらいに保ちます。2つめの分離を防ぐ働きでは、乳液の中でポリマーが油と水の境目にくっついて油の粒を包み、粒どうしがくっついて分かれないようにします。3つめの泡の安定は、泡全体をつぶれにくくするもので、シャンプーや洗顔料に入っています。

さらに、膜をつくる仕事もあります。はがすタイプのパックがぺりっとめくれるのは、ポリビニルアルコールなどがつくる膜のおかげです。こうした膜をつくるポリマーは、ヘアメイク剤、マニキュア、リキッドファンデーションなどにも使われています。

ポリマーは、肌に働くというより、製品の形と使い心地をつくる成分と考えましょう。なお化粧品基準には、カルボマー、キサンタンガム、セルロース系、シリコーンといった一般的なポリマーの配合量の上限はありません。

天然・半合成・合成の違いは、原料の出どころ

天然・半合成・合成の違いは、原料の出どころです。昔は天然の高分子が主に使われていましたが、いまは安定して手に入り、品質がそろい、微生物に汚染されにくいことから、半合成や合成の高分子が使われ、なかでも合成高分子の割合が大きくなっています。

天然の代表はキサンタンガムです。キサントモナスという菌がブドウ糖などを発酵させてつくった糖の鎖を精製し、粉にしたもので、少ない量でも高い粘りを出し、酸や塩、熱にも強く、食品にも使われています。半合成のカルボキシメチルセルロースは、植物のセルロースに手を加えて水に溶けるようにしたものです。

合成のカルボマーは、別名をカルボキシビニルポリマーといい、主にアクリル酸をつなげてつくります。アルカリで中和すると水に溶けてとろみを出し、天然の高分子に比べて温度で粘りが変わりにくく、微生物にも強いのが特徴です。どれも、とろみをつけるという仕事は同じで、出どころが違うだけです。

シリコーンもポリマーの仲間

シリコーンも、ポリマーの仲間です。酸化ケイ素を基本の骨組みにして、部品がたくさんつながったポリマーの総称だからです。

炭化水素の油のようなべたつきがなく、軽い使い心地で肌や髪の上によく広がることと、水をはじく性質のために使われています。代表的なジメチコンは油性成分として使われ、水をはじく性質にすぐれるため、水や汗による化粧くずれを防ぎます。

業界には「揮発性シリコーン」の配合を控える自主基準がありますが、これはファンヒーターの運転を妨げることがあったためで、肌への害を理由にしたものではありません。軽さと水をはじく性質のための成分、と覚えておけば十分です。

毛穴が気になるなら、成分名より製品の表示を見る

毛穴やニキビが気になるときの目印は、ポリマーかどうかではなく、製品の表示です。皮膚科学会が勧めているのは、成分名で避けることではなく、表示を見て選ぶことだからです。

ポリマーやシリコーンは「毛穴をふさぐ」「肌が呼吸できなくなる」と聞いて、心配になる人は多いと思います。皮膚科学会は、基礎化粧品はノンコメドジェニック、あるいはハイポコメドジェニックと明記されたものを選ぶよう勧めています。「ノンコメドジェニック」は成分の名前ではなく、製品につく表示です。

毛穴やニキビが気になる人は、成分表のポリマーを探すより、製品の表示を確かめましょう。

水に溶けたポリマーは、マイクロプラスチックではない

マイクロプラスチックの規制の対象は固体の粒で、水に溶けているとろみのポリマーは含まれません。マイクロプラスチックは一般に5mm以下の細かいプラスチックのことで、問題は、それが粒のまま環境に残ることだからです。

規制の対象は左のような水に溶けない固体の粒で、水に溶けたとろみのポリマーは含まれません。

固体の粒 水に溶けたポリマー 水に溶けない 粒ではなく、溶けた分子

化粧品で問題になったのは、洗い流すスクラブに入っていたマイクロビーズという小さな固体の粒でした。業界団体は2016年3月に会員企業へ使用中止を呼びかけ、2019年1月21日に自主基準を出しています。対象は、角質を取ったり清潔にしたりする目的でパーソナルケア製品にわざと入れる、大きさ5mm未満の、合成の、水に溶けない固体のプラスチック粒子です。

EUの規則も同じ考え方で、対象を「固体のポリマー」とし、水への溶けやすさが1リットルあたり2gを超えるものは除いています。水に溶ける固体のポリマーは、環境に出たあとは固体ではなくなるからです。日本でも法律に事業者の努力義務があり、マイクロプラスチックが海に流れ出ないよう、製品への使用を抑えるよう努めることが求められています。

ポイントは「水に溶けない」「固体」「粒子」の3つです。とろみのために水に溶けているポリマーは、ここに当てはまりません。

まとめ

「ポリマー」という言葉のイメージより、成分表の名前の後ろにある仕事の中身を見るほうが、ずっと選びやすくなります。

よくある質問

化粧品のポリマーはマイクロプラスチックと同じ?

同じではありません。規制の対象は水に溶けない固体の粒で、水に溶けてとろみを出すポリマーは含まれません。

化粧品にポリマーが入っているのはなぜ?

主にとろみをつける、分離を防ぐ、泡をつぶれにくくするためです。はがすパックのように膜をつくる役目もあります。

シリコーンもポリマーの仲間?

はい、シリコーンもポリマーの一種です。べたつかず軽い使い心地と、水をはじく性質のために使われます。

毛穴が気になる人はポリマー入りを避けるべき?

成分名で避けるより、「ノンコメドジェニック」という製品の表示を目印にするのがおすすめです。これは成分ではなく製品につく表示です。

ポリマーに配合量の上限はある?

カルボマーやキサンタンガム、セルロース系、シリコーンといった一般的なポリマーに、配合量の上限はありません。

この記事で参照した情報

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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