この記事でわかること
- 「脂肪が増える」という話と、研究の結果
- ボルフィリンの中身と、成分表での名前
- 胸のボリュームをうたう広告を見るときの注意
「ボルフィリン配合」のボディクリームを見ると、塗ると脂肪が増えて、胸がふっくらするのか気になりますよね。
結論から言うと、化粧品で「脂肪が増える」「胸が大きくなる」とはうたえません。ボルフィリンは植物のエキスを油に溶かした原料の商品名で、化粧品として言えるのは、肌にうるおいを与えるといった範囲です。言われていることと、決まりで言えることを分けて見ていきましょう。
「脂肪が増える」は原料の紹介で、化粧品の効能ではない
「脂肪をためる細胞を増やす」というのは原料としての紹介で、化粧品の効能ではありません。化粧品がうたえる効能は56項目と決まっていて、そこに「バスト」「胸」「ボリューム」という言葉はないからです。
ボルフィリンは、脂肪をためる細胞が作られるのを促し、体の輪郭をふっくら見せる原料として紹介されています。もともとの用途は体と脚のケアで、胸ではありません。それでも日本では、バストケアの成分として紹介されることが多いのです。
原料の紹介に書かれていることと、製品が化粧品としてうたえることは別、と覚えておきましょう。
ハナスゲの成分の研究は、脂肪を増やす向きの話ではない
ハナスゲの成分で知られている研究の結果は、脂肪を増やす向きの話ではありません。調べられたのは、塗ったときではなく、飲ませたときの体の中の変化だからです。
ハナスゲに多いサルササポゲニンという成分をマウスに飲ませると、脂肪の組織の炎症がおさまり、血糖を下げるホルモンが効きやすくなったという結果があります。脂肪を増やす話でも、肌に塗った話でもありません。
「塗ると脂肪が増える」という話と、研究の結果は向きが違う、と知っておくと広告に振り回されません。
化粧品として選ぶなら、うるおいのためのボディケア
ボルフィリン入りの製品は、肌のうるおいのためのボディケアとして選ぶのが合っています。原料の半分は、油性の成分だからです。
肌の乾燥は、いちばん外側の角層から水分が逃げて起きます。化粧品に入る油性の成分は、一般に、この水分が逃げるのを抑える役をします。選ぶときの順番は、次の3つです。
ボルフィリン入りの製品は、うるおいのためのボディケアとして選びます。
名前を見る
うたえない
ケアに使う
成分表で名前を確かめ、胸の効果は期待せずに、乾燥しやすい体や脚のうるおいケアに使う。これがいちばん無理のない使い方です。
ボルフィリンは、植物のエキスを油に溶かした原料の商品名
ボルフィリンは、ひとつの成分ではなく、2つの成分を組み合わせた原料の商品名です。化粧品の原料メーカーがつけた名前なので、成分表には出てきません。
中身は、ハナスゲという植物の根のエキスと、油性の成分の水添ポリイソブテンです。水添ポリイソブテンが、エキスを溶かし込む役をしています。原料は、ハナスゲから取り出したサルササポゲニンを多く含む、水を含まない油のような溶液です。サルササポゲニンは、コレステロールに似た形をした植物由来の成分です。
ボルフィリンは、ハナスゲの根のエキスを油性の成分に溶かした原料です。
ハナスゲの根
エキスを溶かす
原料の商品名
日本の全成分表示では「ハナスゲ根エキス」と書かれている例があります。成分表で探すときは、ハナスゲ根エキスの名前を見ましょう。
もとになるハナスゲは、生薬「チモ」になる植物
ハナスゲは、漢方でおなじみの生薬「チモ」のもとになる植物です。日本の薬の公式な規格集である日本薬局方に、知母と書く「チモ」として載っています。
使われるのはハナスゲの根茎、つまり地下の茎の部分です。食品の決まりでは、ハナスゲの根茎は「専ら医薬品として使用される成分」のリストに入っています。ただしこれは食品に使えるかどうかの話で、化粧品への配合を決めるものではありません。
生薬として知られる植物でも、化粧品に入れば化粧品の決まりの中で使われる、と考えましょう。
「塗るだけでバストアップ」は、化粧品では書けない
「塗るだけでバストアップ」とうたう化粧品は、書いてはいけないことを書いています。化粧品の広告でうたえる効能の56項目に、「バスト」「胸」「豊胸」「ボリューム」という言葉はないからです。
いちばん近いのは30番目の「肌にはりを与える。」ですが、これは肌の状態の話で、体の形や大きさの話ではありません。
飲む健康食品でも、バストアップをうたった広告に、景品表示法にもとづく措置命令が出たことがあります。また、バストアップ目的で飲まれる「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品では、若い女性に危害が多く寄せられているとして、注意が呼びかけられています。
胸の大きさをうたう広告を見たら、化粧品では書けない内容だと思い出しましょう。
まとめ
- ボルフィリンは原料メーカーがつけた商品名で、成分表では「ハナスゲ根エキス」などと書かれます
- 中身はハナスゲの根のエキスと、油性の水添ポリイソブテンです
- 「脂肪をためる細胞を増やす」は原料の紹介で、もともとの用途は体と脚のケアです
- ハナスゲの成分の研究は、飲ませて脂肪の組織の炎症がおさまったという、増やすのとは別の向きの話です
- 化粧品の効能56項目に「バスト」「胸」「ボリューム」はなく、言えるのはうるおいの範囲です
ボルフィリン入りの製品は、胸の効果ではなく、体のうるおいのために選ぶと迷いません。
よくある質問
ボルフィリンは成分表に何と書かれる?
「ハナスゲ根エキス」などと書かれ、「ボルフィリン」とは書かれません。ボルフィリンは原料メーカーがつけた商品名で、中身はハナスゲの根のエキスと油性の水添ポリイソブテンです。
ボルフィリンは脂肪を増やす成分?
脂肪をためる細胞を増やす原料として紹介されていますが、化粧品の効能ではありません。化粧品としてうたえるのは、肌にうるおいを与えるといった範囲です。
ボルフィリン配合のクリームで胸は大きくなる?
化粧品で「胸が大きくなる」とはうたえません。ボルフィリンのもともとの用途も、胸ではなく体と脚のケアです。
「塗るだけでバストアップ」と書いた化粧品は大丈夫?
化粧品では書いてはいけない表現です。化粧品がうたえる効能は56項目で、「バスト」「胸」「豊胸」「ボリューム」という言葉は入っていません。いちばん近い「肌にはりを与える」も、肌の状態の話です。
ハナスゲはどんな植物?
漢方でおなじみの植物です。根茎(地下の茎)が、生薬「チモ(知母)」として日本薬局方に載っています。
この記事で参照した情報
- Croda Beauty「ボルフィリン(Volufiline™)」製品ページ(日本語)
- Croda Beauty「Volufiline™」product page
- Croda「Croda unlocks new growth through the reinvention of heritage beauty active Volufiline™」(2026年8月7日)
- 国立医薬品食品衛生研究所「日本薬局方名称データベース」チモ
- 厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」
- Yu YY, et al. Sarsasapogenin improves adipose tissue inflammation and ameliorates insulin resistance in high-fat diet-fed C57BL/6J mice. Acta Pharmacol Sin. 2021;42(2):272-281
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
- 消費者庁「株式会社アクガレージ及びアシスト株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(令和3年11月9日)
- 独立行政法人国民生活センター「美容を目的とした「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品」(2017年7月13日公表)
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