この記事でわかること
- 「アミノ酸系」の洗浄成分の正体と、石けんとの関係
- 「アミノ酸系は低刺激」と言える範囲
- 洗いすぎで肌に起きることと、洗顔のコツ
「アミノ酸系だから肌にやさしい」「石けんはアルカリ性で肌に負担」と聞くと、洗顔料はどれを選べばいいのか迷いますよね。
結論から言うと、アミノ酸系が穏やかで、弱酸性でもよく泡立つのは本当です。一方で、石けんのアルカリ性は肌が自分で中和できるので、それほど気にしなくてもよいとされています。肌にとって大事なのは、成分の種類より、洗いすぎやこすりすぎを避けることです。まずは、アミノ酸系がどんな成分なのかから見ていきましょう。
アミノ酸系は、アミノ酸と脂肪酸をつなげた洗浄成分
アミノ酸系とは、アミノ酸と脂肪酸をつなげてつくった、汚れを落とすための界面活性剤です。正式にはN-アシルアミノ酸塩と呼ばれ、マイナスの電気を帯びた洗浄成分です。
代表的なものはN-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン、N-アシルサルコシン塩で、成分表の「ココイルグルタミン酸Na」や「ラウロイルグルタミン酸Na」などがこれにあたります。近い仲間にはN-アシルメチルタウリン塩もあり、こちらはミネラルの多い硬い水の中でも泡立ちが落ちにくい性質を持っています。
成分表で「グルタミン酸」などアミノ酸の名前が入った洗浄成分を見かけたら、アミノ酸系だと思って大丈夫です。
アミノ酸系も石けんも、同じ陰イオン性の仲間
アミノ酸系と石けんは、正反対のものだと思いますよね。でも、アミノ酸系も石けんも、同じ「陰イオン性界面活性剤」という仲間です。違うのは、水になじむ部分の形だけです。
界面活性剤は、水になじむ部分の電気の帯び方で、陰イオン性、陽イオン性、両性、非イオン性の4つに分けられます。脂肪酸塩とも呼ばれる石けんも、アミノ酸系も、マイナスの電気を帯びる陰イオン性に入ります。陰イオン性界面活性剤は歴史が古く、安全性も高いことから、洗浄剤をはじめ乳化剤などにも、いまいちばん広く使われているグループです。
「界面活性剤は体に悪いので石けんを使いましょう」という話もありますが、石けんも界面活性剤の一種です。アミノ酸系と石けんは、同じ仲間の中での違いと考えましょう。
「低刺激」と言えるのは、作用が穏やかで弱酸性でも泡立つところ
アミノ酸系について言えるのは、肌や髪への作用が穏やかなことと、弱酸性でもよく泡立つことの2つです。化粧品技術者の用語集でも、この2つが特徴として挙げられています。
N-アシルアミノ酸塩は肌や髪への作用が穏やかで、自然の中で分解されやすい成分とされ、仲間のN-アシルメチルタウリン塩も肌や髪に対して穏やかとされています。弱酸性でもよく泡立つので、弱酸性の洗顔料をつくりやすくなります。これは肌のpHを考えるうえでの利点です。
さらに、中性や弱酸性の洗顔料に使われるアシルグルタミン酸塩などは、角層に入り込みにくいため、肌にもともとある天然保湿因子や細胞間脂質といったうるおい成分を溶かし出しにくいとされています。
アミノ酸系の「低刺激」は、穏やかで、弱酸性の洗顔料にしやすいという意味で受け取っておきましょう。
石けんのアルカリ性は、それほど気にしなくてよい
石けんはアルカリ性だから肌によくない、と心配になりますよね。でも、石けんのアルカリ性は、それほど気にしなくてもよいとされています。肌には、アルカリ性の物質を中和する力があるからです。
石けんのpHは、中性より少しアルカリ性側の弱アルカリ性です。そのうえで弱酸性の製品も開発されてきた、という流れなので、弱酸性は「別の選択肢」という位置づけです。石けんの欠点として挙げられているのは、アルカリ性であること、硬い水に弱いこと、使っているうちにだんだん泡立ちが悪くなることの3つです。一方で、固形石けんは泡立ちがよく洗いあがりもさっぱりしているため、石けんの感触を好む人は多いとされています。
石けんかアミノ酸系かは、好みの洗いあがりで選んでよいのです。
本当に気をつけるのは、成分より洗いすぎ
洗顔で本当に気をつけたいのは、成分の種類より、洗いすぎやこすりすぎです。洗いすぎると、肌がうるおいを保つのに必要な油分まで流れてしまうからです。
肌のいちばん外側の角層は、3つの要素でうるおいを保っています。表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすき間を埋める細胞間脂質です。細胞間脂質の約50%はセラミドです。洗浄剤には油性の成分を取り去る脱脂力という力があり、これが強すぎると、皮脂膜や細胞間脂質のように健康な肌に必要な油分まで洗い流してしまいます。すき間の脂が減ると、角層から水分が逃げやすくなります。
汚れは落としながら、皮脂膜や細胞間脂質は残すのが洗顔の基本です。
洗浄の基本は、肌に不要な汚れを落とすこと、よくすすいで洗浄料も落とすこと、そして天然保湿因子や細胞間脂質は残すことの3つです。肌への作用が強い洗浄剤で洗うと、一時的に肌の水分量やpHが変わることもあります。脱脂力が強すぎると困るのは、アミノ酸系を含む洗浄剤すべてに共通です。
どの洗顔料を選んでも、汚れは落として、うるおいの成分は残すことを意識しましょう。
洗顔は、泡立てて、こすらず、すぐ保湿
洗顔のコツは、よく泡立てて、こすらずに洗い、よくすすいで、すぐに保湿することです。肌を洗って清潔に保つことは大切ですが、よくないのは洗いすぎや強くこすりすぎることだからです。
洗顔料はよく泡立てて、こすらずに洗い、すすいだらすぐに保湿します。
泡立てる
洗う
すすぐ
保湿する
泡立てるのは感触のためだけではありません。洗顔料は、水で薄めて泡立てたときに、いちばん肌にやさしく、汚れをきちんと落とせる状態になるようにつくられています。洗ったあとの肌は乾燥しやすくなっているので、保湿などのスキンケアは早めに行いましょう。
成分表を見比べるより、洗い方に気を配るほうが、肌のうるおいを守る近道です。
まとめ
- 「アミノ酸系」の正体は、アミノ酸と脂肪酸をつなげた洗浄成分、N-アシルアミノ酸塩です
- アミノ酸系も石けんも、同じ「陰イオン性界面活性剤」の仲間です
- アミノ酸系は作用が穏やかで、弱酸性でもよく泡立ちます
- 石けんのアルカリ性は、肌が中和できるので、それほど気にしなくてよいとされています
- 気をつけるのは成分の種類より、洗いすぎ・こすりすぎと、洗ったあとの保湿です
泡立てる、こすらない、すすぎ残さない、そのあとすぐ保湿する。この4つを意識すれば、アミノ酸系でも石けんでも、自分の好きな洗顔料を安心して選べます。
よくある質問
アミノ酸系洗浄成分とは?
アミノ酸と脂肪酸をつなげた、汚れを落とす成分、つまり界面活性剤です。成分表で「グルタミン酸」などの名前が入った洗浄成分が、代表的なものです。
アミノ酸系は本当に低刺激?
肌や髪への作用が穏やかで、弱酸性でもよく泡立つのは本当です。角層に入り込みにくく、うるおい成分を溶かし出しにくいともされています。ただ、洗いすぎれば必要な油分まで落ちるのは、どの洗浄成分も同じです。
アミノ酸系と石けんは別のもの?
どちらも同じ「陰イオン性界面活性剤」の仲間で、対立するものではありません。水になじむ部分の形が違うだけです。
石けんのアルカリ性は肌に悪い?
それほど気にしなくてよいとされています。肌には、アルカリ性の物質を中和する力があるためです。弱酸性の製品は、別の選択肢のひとつです。
洗顔でいちばん気をつけることは?
成分の種類より、洗いすぎ・こすりすぎを避けることと、洗ったあと早めに保湿することです。洗顔料はよく泡立てて、すすぎ残しのないようにしましょう。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「N-アシルアミノ酸塩」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「N-アシルメチルタウリン塩」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「陰イオン性界面活性剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「界面活性剤」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「石けん」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「脱脂力」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「起泡力」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「洗顔料」
- 国立健康・栄養研究所「セラミド(N-アシルスフィンゴシン)」素材情報
- 日本化粧品工業会 やさしい技術解説「肌の汚れを落とす ―洗浄料―」
- 花王 スキンケアナビ「肌にやさしい洗浄剤の開発」
- 花王 スキンケアナビ「上手な洗顔のしかた」
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
この記事が入っているテーマ別まとめ