成分辞典やさしい解説

グリセリンは何性?水を引き寄せる水溶性の保湿成分をやさしく解説

あるコスメオタク・2026.09.28・更新 2026.10.22・成分解説
肌の悩み乾燥肌荒れケア保湿

化粧水や乳液の成分表でいつも上のほうにあるグリセリン。何性の成分なのか、肌の上で何をしているのか、気になりますよね。

結論から言うと、グリセリンは水に溶ける水溶性の成分で、水に溶かした液は中性です。水を引き寄せて抱える性質があり、肌のいちばん外側の角層にうるおいを抱えさせる保湿成分として入っています。

グリセリンは水溶性で、水に溶かした液は中性

グリセリンは、水によく溶ける水溶性の成分で、水に溶かした液は酸性でもアルカリ性でもない中性です。炭素が3つつながった小さなアルコールで、グリセロールとも呼ばれ、分子量は約92です。水やエタノールとはどんな割合でも混ざり合いますが、油とは混ざりません。

水を引き寄せる部分が3つあり、水によく溶けます。

グリセリンの分子

水には溶け、油とは混ざらない

油水
  • 炭素
  • 水を引き寄せる部分
  • 水分

空気中の水分を吸いこむ吸湿性もあり、化粧水の水の部分に溶かして使えるのも、この水となじむ性質のためです。原料は主に、石けんをつくるときや油脂を分解するときの副産物で、プロピレンから合成してつくることもできます。

どの方法でも、できるのは同じグリセリンです。

石けんづくり副産物として
油脂分解して
プロピレン合成して

乾燥は、角層から水分が逃げて足りなくなること

肌の乾燥は、角層から水分が逃げて、うるおいが足りなくなることで起きます。角層は、表面をおおう皮脂膜、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、細胞のすきまを埋める細胞間脂質の3つでうるおいを保っています。細胞間脂質の約50%はセラミドです。このバランスが崩れたり、冬の乾いた冷たい空気にさらされたりすると、水分が逃げて、かさつきや肌あれにつながります。だから乾燥の手入れでは、角層に水分を抱えさせることが大事になります。

グリセリンは、水を引き寄せて角層にうるおいを抱える

グリセリンは、水を引き寄せて抱え、角層の水分を増やす成分です。天然保湿因子と同じように水を抱える性質をもち、塗った化粧品の水分やまわりの水を角層にとどめるからです。

塗ると、角層の水分が増えます。

使う前

グリセリンを使ったあと

  • 角層の細胞
  • グリセリン
  • 水分

たとえば、グリセリンを塗ると角層の水分が上がったという結果があります。角層が傷ついた肌に塗ると、肌から逃げる水分が早く元に近づいたという結果もあります。体の中にもともとあるグリセリンも角層のうるおいに関わっていて、グリセリンを角層へ運ぶ通り道がないと角層の水分が大きく減り、グリセリンを塗ると戻ったという結果があります。グリセリンは、角層に水を抱えさせて乾燥を防ぐ、保湿成分の土台のような存在です。

向くのは、乾燥や肌あれが気になるときの保湿

グリセリンが向くのは、乾燥や肌あれが気になるときの保湿です。化粧品として言えるのは「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の乾燥を防ぐ」などの範囲で、グリセリンの働きもこの中にあります。

たとえば、アトピー性皮膚炎の肌でも角層の水分は上がりましたが、グリセリンを加えたことで湿疹が軽くなるという結果にはなりませんでした。湿疹や傷そのものが気になるときは、医師に相談しましょう。グリセリンを含むグリセリンカリ液は指定医薬部外品で、「ひび、あかぎれ」の効能が認められていますが、これは指定医薬部外品の話で、化粧品のグリセリンで同じことは言えません。グリセリンカリ液にも、傷口や粘膜、炎症のある部分には使わないこと、長く続けて使わないことが注意として添えられています。グリセリンはうるおいを与えて乾燥を防ぐ成分として見ておくと安心です。

成分表の上のほうにあるのは、多く入っているから

グリセリンが成分表の上のほうにあるのは、ほかの多くの成分より多く入っているからです。成分表は入っている量の多い順に書く決まりで、1%以下の成分は順不同でかまいません。

グリセリンには、水を抱える保湿と、とろみで製品ののびやすべりをよくする役目の両方があります。そのため化粧品全般に使われ、アメリカの報告では15,654の化粧品に使われていました。ただし、何%入っているかまでは成分表からはわかりません。上のほうにあれば多めに入っている、とだけ読んでおきましょう。

気をつけるのは、べたつきと、とても乾いた空気

グリセリンを使うときに気をつけるのは、べたつきと、とても乾いた空気の2つです。どちらも、水を抱える性質の裏返しだからです。

保湿剤は、濃く入れるほどべたつきやすくなり、べたつきを抑える処方の工夫も研究されています。アメリカの報告では洗い流さない製品で最大79.2%まで使われた例がありますが、これはいちばん多い例で、ふつうの配合量ではありません。また、空気がとても乾いているときは、グリセリンが抱えていた水分を蒸発させてしまうこともあるとされます。空気が乾く季節は、乳液やクリームを重ねるのがよいとされます。油分で表面をおおうと、水分が逃げにくくなるからです。

安全性では、アメリカの化粧品成分の専門家委員会が、今の使い方と濃度なら化粧品に使って安全と結論づけています。ただし、化粧品のグリセリンで湿疹が出て、グリセリンを避けると治まったという人の報告もあり、アレルギーはまれでもゼロではありません。赤みやかゆみが出たら、使うのをやめましょう。べたつきが気になれば軽めの製品に、乾く季節は乳液やクリームを重ねる、と覚えておけば十分です。

「濃グリセリン」や基準の数字は、配合量の話ではない

原料名の「グリセリン」と「濃グリセリン」を見ると、入っている量が違うのかと思いますよね。でも、この2つの違いは原料の純度で、化粧品への配合量ではありません。日本薬局方のグリセリンは84.0〜87.0%のグリセリンを含む原料で、濃グリセリンはさらに純度が高く、日本化粧品技術者会の用語集では含量95%以上のものとされています。

どちらも原料の純度で、配合量ではありません。

グリセリン

84〜87%

濃グリセリン

95%以上
  • グリセリン
  • そのほか(主に水)

また、化粧品に使うグリセリンは、100gあたりジエチレングリコールが0.1g以下と決められています。海外でかぜ薬に混入する事故があったことなどを受けて見直された、不純物を防ぐための品質の決まりで、グリセリンが危ないという意味ではありません。グリセリンにまつわる数字を見かけたら、何を表す数字かを見て読みましょう。

まとめ

グリセリンは、多くの化粧品のうるおいを下支えしている成分です。成分表で見かけたら、角層に水を抱えさせる役目の成分だと思い出してみてください。

よくある質問

グリセリンは肌に何をする成分ですか?

水を引き寄せて抱える性質をもつ保湿成分で、角層の水分を増やし、うるおいを与えるために使われます。製品ののびやすべりをよくする目的でも配合されます。

グリセリンは何性ですか?

水に溶ける水溶性で、水に溶かした液は中性です。水やエタノールとよく混ざり、油とは混ざりません。

グリセリンが成分表の上のほうにあるのはなぜですか?

ほかの多くの成分より多く入っているためです。成分表は入っている量の多い順に書く決まりで、1%以下の成分は順不同です。何%入っているかまでは成分表からはわかりません。

空気が乾燥しているときのグリセリンは逆効果ですか?

とても乾いた空気では、抱えていた水分を蒸発させてしまうこともあるとされます。使うのをやめるより、空気が乾く季節は乳液やクリームを重ねて使うのがよいとされます。

グリセリンと濃グリセリンの違いは何ですか?

原料の純度の違いです。日本薬局方のグリセリンは84.0〜87.0%のグリセリンを含む原料で、濃グリセリンはさらに純度の高い原料です。どちらも化粧品への配合量とは別の数字です。

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この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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