この記事でわかること
- SPFとPAが防ぐ紫外線の違い
- 「SPF50+」「PA++++」の数字と記号の意味
- 数字より大切な塗り方のポイント
日焼け止めの「SPF50+ PA++++」を見て、2つは何が違うのか、数字が大きいほうがいいのか迷いますよね。
結論から言うと、SPFはUVB、PAはUVAという、別の種類の紫外線を防ぐ力の目安です。数字が大きいほど、「+」が多いほど防ぐ力は高くなりますが、実際に防げるかどうかを決めるのは、塗る量と塗り直しです。
SPFはUVB、PAはUVAを防ぐ力の目安
SPFとPAの違いは、防ぐ紫外線の種類です。紫外線は種類によって、肌に届く場所も、起こすことも違うからです。
紫外線は波長によって、320〜400nmのUVA、290〜320nmのUVB、190〜290nmのUVCに分けられます。UVCはオゾン層に吸収されて地上には届かないので、気にするのはUVAとUVBです。
UVBは主に表皮に強く働き、浴びた数時間後に肌を赤くする日やけ、サンバーンを起こします。日やけを起こす力は、UVAの600〜1000倍といわれます。UVAは力は弱いものの量が多く、波長が長いぶん真皮まで届きます。ガラスを通り抜け、曇りの日でもかなりの部分が地上に届きます。赤みが引いた数日後からは、数週間から数カ月続く黒っぽい日やけ、サンタンが現れます。日やけしたあとの肌で起きているのは、この2段階です。
UVBは主に表皮に、UVAは真皮まで届き、日焼け止めはその手前の肌の表面で防ぎます。
日焼け止めは、紫外線が肌に入る手前、肌の表面で防ぎます。そのうち、主にUVBによる赤くなる日やけを防ぐ力がSPF、UVAを防ぐ力がPAです。
赤くなる日やけを防ぐ目安はSPF、黒くなる日やけや真皮まで届く紫外線を防ぐ目安はPA、と覚えておけば十分です。
SPFは時間ではなく、紫外線の量の倍率
SPF30は「30倍長くもつ」ではなく、「30倍の量の紫外線まで赤くならない」という意味です。SPFの数字は、浴びる時間ではなく、浴びる量で決まっているからです。
赤くなる日やけを起こす最小の紫外線の量をMEDといい、日焼け止めを塗ったときのMEDが、塗らないときの何倍にあたるかを示すのがSPFです。同じ時間外にいても、日差しが強ければ浴びる量は増えます。そのため、SPFの数字だけでは何時間もつかは決まりません。
数字が大きいほど防ぐ割合は上がりますが、その差はだんだん小さくなります。
SPFの数字が2倍になっても防ぐ割合の差は4ポイントほどで、100%になる製品はありません。
SPF15でUVBの約93%、SPF30で約97%を防ぎます。15から30に上げても、ぐんと強くなるわけではありません。
SPFは「どれだけの量の紫外線まで赤くならないか」の倍率、と考えましょう。
PAの「+」は4段階で、多いほどUVAを防ぐ
PAは、UVAを防ぐ力を「+」の数で4段階に分けたものです。UVAの防止倍率を測り、その値で段階を決めているからです。
UVAの防止倍率はUVAPFと呼ばれ、SPFと同じ考え方でUVAを防ぐ力を測ったものです。ただし基準にするのは赤くなる反応ではなく、UVAで短い時間のうちに肌が黒くなる反応で、これを持続型即時黒化といいます。
PAの「+」が1つ増えるごとに、段階の基準になるUVAの防止倍率は2倍になります。
UVAPFが2以上4未満ならPA+、4以上8未満ならPA++、8以上16未満ならPA+++、16以上ならPA++++です。PA++++は2013年1月1日から使えるようになった段階なので、「PAは3段階」と書かれた古い資料には気をつけてください。
「+」が多いほどUVAを防ぐ力が高い、と読めば大丈夫です。
「SPF50+」は、50よりはっきり高いという意味
「SPF50+」は、SPFが50よりはっきり高いという意味で、SPF60やSPF100という意味ではありません。日本では、表示の上限を「50+」にそろえる決まりだからです。
SPFが50ほどあれば、紫外線の強い場所でも、紫外線に敏感な人でも、UVBによる赤い日やけを防げるという考えから、表示はここで止めています。細かくいうと、測ったSPFが50以上で、ばらつきを考えても51以上と言える場合が「50+」で、そうでなければ「50」です。
「50+」どうしの製品は、表示の数字ではそれ以上比べられない、と覚えておきましょう。
数字の測り方と表示は、業界の自主基準で決まっている
SPFとPAは、法律ではなく、業界の自主基準で決まっています。国が決めているのは化粧品がうたえる効能で、数字の表示のしかたではないからです。
測り方はISO 24444とISO 24442という国際規格として発行されていて、表示のしかたは日本化粧品工業会が自主基準として定めています。一方、国が決めた化粧品の効能のうち、日焼け止めに関わるのは「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」の2項目で、国の通知にはSPFやPAという言葉は出てきません。「ウォータープルーフ」やUV耐水性の★も、同じ業界の自主基準によるものです。
効能は国が決め、数字は業界が決めているという2階建て、と考えるとわかりやすいです。
数字より、塗る量と塗り直しで効果が決まる
数字の大きい日焼け止めを選んでも、塗る量が少なければ、表示どおりには防げません。SPFやPAは、決まった量を塗って測った値だからです。
測るときに塗る量は、肌1平方センチあたり2mg、液体なら2µlです。実際に塗られている量は1平方センチあたり1.3mgほどで、必要な量の3分の2くらいにとどまり、そうすると効果は半分くらいになるといわれます。また、SPFは製品ごとに測った値なので、重ねて塗っても単純に足し算はできません。
量の目安は、顔なら、手のひらに1円玉を置いたくらいの面積が埋まる量を2回です。ムラなく伸ばし、2、3時間おきに塗り直すのがすすめられています。くわしくは塗る量とタイミングの記事で解説しています。
数字で選んだら、あとは量と塗り直し。ここが、実際の日やけの防ぎ方を決めます。
まとめ
- SPFはUVB(赤くなる日やけ)、PAはUVA(黒くなる日やけ・真皮まで届く)を防ぐ力の目安です
- SPFは何倍の紫外線量まで赤くならないかの倍率で、時間ではありません
- PAはUVAの防止倍率を4段階の「+」にしたもの。PA++++は2013年からです
- 「SPF50+」は「50よりはっきり高い」の意味。測り方は国際規格、表示は業界の自主基準です
- 足し算はできず、量(1円玉大を2回)とムラ、2〜3時間おきの塗り直しが数字より大切です
「SPF50+ PA++++」を選ぶことより、「1円玉2回分をちゃんと塗る」ことのほうが、日やけを防ぐうえでは大切です。数字の意味がわかると、そこに納得がいくはずです。
よくある質問
SPF30なら30倍の時間、効果が続くの?
いいえ、SPFは時間ではなく、何倍の紫外線量まで肌が赤くならないかを表す倍率です。効果は日差しの強さや塗る量によって変わります。
PA++++とPA+++はどう違う?
PA++++のほうが、UVAを防ぐ力が高い段階です。PAの「+」は4段階で、++++は2013年1月から使えるようになった、いちばん上の段階です。
SPF50+の「+」はどういう意味?
「50よりはっきり高い」という意味です。SPF60やSPF100という意味ではなく、日本ではそれ以上の細かい数字は表示しない決まりです。
日焼け止めを重ねたらSPFは足し算できる?
できません。SPFは製品ごとに測った値なので、単純に足し算はできません。数字よりも、十分な量をムラなく塗ることと、2〜3時間おきの塗り直しが大切です。
日焼け止めは顔にどのくらい塗ればいい?
顔なら、1円玉大を2回が目安です。実際には測るときの量の3分の2くらいしか塗れていないことが多く、そうなると効果は半分くらいになるといわれます。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品工業会「気になる紫外線用語CHECK!」
- 日本化粧品工業会「紫外線防止効果の測定法・表示の自主基準」(SPF/PA/UV耐水性)
- JCIA Standards and Related Notifications for SPF, PA and Water Resistance (2022)
- 日本化粧品工業連合会「UVA防止効果測定法基準〈2012年改定版〉」(平成24年6月20日)
- 日本化粧品工業会「紫外線の肌への影響」
- 日本化粧品工業会「化粧品Q&A」(SPFの足し算・持続時間・塗り直し)
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「SPF」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「PA」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「紫外線」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「サンバーン」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「サンタン」
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
- 気象庁「紫外線とは」
- 気象庁「UVインデックスとは」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」Q3 UVBとUVAはどう違いますか
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け」Q13 サンスクリーン剤の使い方
- 米国FDA「Sun Protection Factor (SPF)」
- 米国皮膚科学会(AAD)「How to decode a sunscreen label」
- 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)
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