この記事でわかること
- 紫外線を防ぐ2種類の成分の違いと、「ノンケミカル」の中身
- SPFとPAの読み方と、「薬用」の日焼け止めの見分け方
- 表示どおりに防ぐための塗る量と塗り直し
「SPF50+ PA++++」「ノンケミカル」「薬用」と、日焼け止めは言葉が多くて、何がどう違うのか迷いますよね。
結論から言うと、日焼け止めは、紫外線を吸収する透明な成分と、紫外線を散乱させる白い粉のどちらか、または両方で紫外線を防いでいます。「ノンケミカル」は粉だけで防ぐ製品で、SPFはUVB、PAはUVAを防ぐ目安です。まずは、紫外線が肌で何をするのかから見ていきましょう。
日焼け止めは、吸収剤と散乱剤の2種類で紫外線を防ぐ
紫外線を防ぐ成分は、紫外線を吸収する紫外線吸収剤と、紫外線を散乱させたり吸収したりする紫外線散乱剤の2種類です。どちらも、肌に届く紫外線の量を減らすために入っています。
防ぐ相手は、2種類の紫外線です。波長290〜320nmのUVBは、肌が赤くなる炎症を引き起こす紫外線です。波長320〜400nmのUVAはガラスを通り抜け、曇りの日でも地上に届きます。
紫外線を浴びると、肌の中ではメラニンという色の粒が作られ、まわりの細胞に渡されてたまります。これがしみのもとです。日焼け止めは、この流れのいちばん最初で、肌に届く紫外線を減らします。
日焼け止めは、枠で囲んだ流れの入り口で、肌に届く紫外線を減らします。
浴びる
できる
渡される
しみになる
赤くなる日焼けも、メラニンとシミも、入り口は紫外線です。日焼け止めは、その入り口を減らすための成分と考えるとわかりやすいです。
紫外線吸収剤は透明で、使える成分と上限が決まっている
紫外線吸収剤は、紫外線を効率よく吸収できる透明な成分で、使える成分と量が決まっています。肌に塗っても白く見えないので、軽い使い心地の日焼け止めに多く使われます。
おもに有機化合物で、パラアミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体などに分かれます。日本でもっとも使われているのは、ケイ皮酸誘導体のメトキシケイヒ酸エチルヘキシルです。UVBの312nm付近をよく吸収する液状の吸収剤で、国内のUVケア化粧品のほとんどに入っています。UVA側でもっとも使われるのは、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンです。
化粧品基準は、紫外線吸収剤を別表第4に載っている物に限っています。使ってよいものだけを並べたポジティブリストの形で、成分ごとに100g中の最大配合量が決まっています。上限は、洗い流す製品、洗い流さない製品、唇などの粘膜に使う製品で分かれています。
たとえばメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、顔用の日焼け止めなら100g中20g、つまり20%まで、リップなど粘膜に使う製品では8.0%までです。t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ホモサレートは、どの化粧品でも10%までです。ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのように、粘膜に使う製品には入れられない成分もあります。
環境省のマニュアルは、吸収剤の利点を白く見えないこと、欠点をまれにかぶれる人がいることと整理しています。透明で軽い使い心地の代わりに、合う・合わないが出ることがある成分です。
紫外線散乱剤は白い粉で、「ノンケミカル」はこれだけで作った製品
紫外線散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛を細かくした白い粉で、粉の表面で紫外線を散乱させます。「ノンケミカル」は、この散乱剤だけで作った製品を指します。
酸化チタンは白い顔料、酸化亜鉛は亜鉛華とも呼ばれる成分で、どちらも無機の粉です。粒の大きさは0.02μm程度ととても小さく、高い紫外線散乱効果が得られます。もともと酸化チタンはファンデーションの白い顔料ですが、粒をごく細かくすることで白浮きをおさえ、紫外線を防ぐ働きも持たせています。紫外線だけを選んで吸収する物ではないため、別表第4のリストには載っていません。
有機系の紫外線吸収剤を入れずに紫外線を防ぐ化粧品は、敏感肌用として開発されてきました。環境省のマニュアルでも、子ども用や敏感肌用には「紫外線吸収剤無配合」「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカルサンスクリーン」の表示が多いとされています。
散乱剤の欠点は肌に塗ったときに白く見えること、利点はアレルギーをほとんど起こさないことです。吸収剤でかぶれた経験がある人は、ノンケミカルを選ぶと安心です。
SPFはUVB、PAはUVAを防ぐ目安で、SPFの表示上限は50+
SPFは赤くなる日焼けを起こすUVBを、PAは黒くなる日焼けにつながるUVAを、どれだけ防げるかの目安です。防ぐ紫外線が違うので、2つの表示があります。
SPFは、塗ったときに赤くなる紫外線の量を、塗らないときに赤くなる紫外線の量で割って求めます。表示できるのはSPF50までで、測定結果が50以上のものは「SPF50+」と表示されます。50+の中でも差はありますが、表示の上では区別されません。
PAは、数字ではなく+の数で表します。UVAを当てたあとの肌の黒くなり方で測った値で分けられ、PA++++が加わって、今は4段階です。
選ぶ目安は、買い物や散歩くらいの日常生活なら15程度まで、屋外での軽いスポーツやレジャーなら15〜30程度、海や山、炎天下での長時間の活動なら30以上です。環境省のマニュアルも、日常の洗濯物干しや買い物なら、それほど数値の高くない日焼け止めで十分としています。
剤型の違いは、水と油のどちらが外側か
日焼け止めの剤型は、乳液・クリーム・ジェル・スプレーなどがあり、使い心地は、水と油のどちらが外側かで変わります。塗りやすいものを選べば、毎日続けやすくなります。
日焼け止め化粧品の剤型には、O/W型とW/O型の乳液、クリーム、オイル、エアゾール、不織布シートなどがあります。O/WやW/Oは、水と油のどちらが外側かを表す言葉です。軽くのびる乳液やジェルは水が外側のO/W型が中心で、クリームやW/O型の乳液は油が外側なので、こっくりした使い心地です。
スプレーやミストはエアゾールで、手を汚さずに重ねられます。化粧下地やファンデーションにも、SPFやPAの表示つきのものがあります。
「ウォータープルーフ」は、塗った膜が汗や涙、水で取れにくいことで、水をはじく油やポリマーで実現しています。ウォータープルーフでも、衣服や動作による摩擦などで落ちてしまうことがあります。
「薬用」は医薬部外品で、有効成分欄で見分ける
パッケージに「薬用」「医薬部外品」とあり、「有効成分」欄に成分名が書かれていれば、承認を受けた医薬部外品の日焼け止めです。化粧品と医薬部外品では、うたえる効能の範囲が違います。
化粧品の日焼け止めがうたえるのは、「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」などの範囲です。SPFやPAは、業界の基準による表示です。医薬部外品では、「日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ」「日やけ・雪やけを防ぐ」「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」「皮膚を保護する」などの効能が認められています。
有効成分の代表は、甘草、つまりカンゾウ由来のグリチルリチン酸2Kと、トラネキサム酸やアルブチン、ビタミンC誘導体などのしみ・そばかすを防ぐ有効成分です。作用によっては「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」効能もうたえます。化粧品では、同じ成分が入っていてもこれらの効能は使えません。
だから成分名ではなく、区分と有効成分欄で判断するのが確実です。
表示どおりに防ぐには、十分な量と2〜3時間おきの塗り直し
SPFやPAの数字どおりに防ぐには、十分な量を塗り、2〜3時間おきに塗り直すことが大切です。表示の数値は、1cm²あたり2mgという、たっぷりの量を塗って測ったものだからです。
顔に塗る量の目安は、クリーム状ならパール粒1個分、液状なら1円硬貨1個分を手に取り、もう一度同じ量を重ねづけします。塗る量が少ないと、表示どおりの効果にはなりません。
クリーム状ならパール粒1個分、液状なら1円硬貨1個分が、1回に手に取る量の目安です。
手に取る
のばす
重ねる
おきに塗る
手や衣類に触れたり汗を拭いたりすると落ちるので、環境省のマニュアルも、少なくとも2〜3時間おきを目安に塗り直すようすすめています。
「UV耐水性」の★や★★の表示は、水に入ったあとにSPFがどれだけ残るかの目安です。汗への強さには、共通の試験法や表示の決まりはありません。同じSPFとPAの製品なら、UV耐水性の表示があってもなくても、紫外線を防ぐ効果は同じです。
まとめ
- 日焼け止めは紫外線吸収剤(透明)と紫外線散乱剤(酸化チタン・酸化亜鉛の粉)のどちらか、または両方で紫外線を防ぐ
- 吸収剤は化粧品基準 別表第4のポジティブリストにある成分しか使えず、上限がある(メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは20%、粘膜用8.0%)
- 「ノンケミカル」は散乱剤だけの製品。白く見えやすいが、アレルギーをほとんど起こさない
- SPF=UVB、PA=UVA。SPFの表示上限は50+、PAは4段階
- 「薬用」は医薬部外品。区分と有効成分欄で判断し、十分な量を2〜3時間おきに塗り直す
日焼け止め選びは、数字の大小より「何で防いでいるか」「どの区分か」「どれだけ塗れるか」で決まります。
よくある質問
紫外線吸収剤と散乱剤の違いは?
吸収剤は紫外線を吸収する透明な成分で、散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛の粉で紫外線を散乱させます。吸収剤は白く見えにくく、散乱剤はアレルギーがほとんどないかわりに白く見えやすい性質です。
ノンケミカルの日焼け止めとは?
紫外線吸収剤を使わず、散乱剤だけで紫外線を防ぐ製品のことです。子ども用や敏感肌用によく見られます。
SPFとPAの違いは?
SPFは肌が赤くなる日焼けを、PAは黒くなる日焼けを防ぐ目安です。SPFの表示上限は50で、それ以上は「50+」と表示され、PAは+の数で4段階です。
薬用の日焼け止めは何が違う?
医薬部外品として、「日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ」などの効能が承認されています。作用によっては「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」もうたえるので、区分と有効成分欄で見分けましょう。
日焼け止めはどのくらいで塗り直す?
2〜3時間おきを目安に塗り直しましょう。表示の数値は十分な量を塗って測ったもので、塗る量が少ないと表示どおりの効果になりません。
この記事で参照した情報
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「紫外線防御」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「SPF」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「PA」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「サンプロテクター」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「超微粒子無機粉体」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「ウォータープルーフ」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「紫外線」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「酸化亜鉛」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「グリチルリチン酸」
- 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年 厚生省告示第331号) 別表第4
- 日本化粧品工業連合会「UVA防止効果測定法基準」(平成24年改定)
- 日本化粧品工業会「紫外線対策 用語解説」
- 日本化粧品工業会「紫外線防止の基本」
- 日本化粧品工業連合会「UV耐水性 測定法基準」(2021年版)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年 薬生監麻発0929第5号)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年 薬食発0721第1号)
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
この記事が入っているテーマ別まとめ