成分辞典やさしい解説

AHA・BHA・PHAをやさしく解説!3つの違いと使い分けとは?

あるコスメオタク・2026.09.20・更新 2026.10.22・成分解説

「AHA配合」「BHAトナー」「敏感肌にはPHA」とよく見かけるけれど、3つは何が違うのか、どれを選べばいいのか迷いますよね。

結論から言うと、3つはどれもヒドロキシ酸という酸の仲間で、違いは分子の形となじむ相手です。AHAとBHAは古い角質をはがれやすくし、PHAはそれをおだやかに行いながら水分も抱えます。はがれる分うるおいを守る力も下がりやすいので、濃さと使う回数に気をつけて選びましょう。

成分表示では「AHA」などではなく、成分の名前で書かれます。

AHA果物にもある酸グリコール酸・乳酸 など
BHA油になじむ酸サリチル酸
PHA糖からできる酸グルコノラクトン など
成分表の「BHA」角質ケアとは別の酸化防止剤ブチルヒドロキシアニソール

3つは同じ酸の仲間で、違いは分子の形

AHA・BHA・PHAは、どれも酸の部分とアルコールの部分を1つの分子にもつ「ヒドロキシ酸」です。違うのは、アルコールの部分(ヒドロキシ基)がつく位置と数です。酸の部分のすぐ隣につくのがAHA、その1つ先につくのがBHA、たくさんつくのがPHAです。

AHAにはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などがあり、果物やワイン、サワーミルクにも含まれることから「フルーツ酸」とも呼ばれます。BHAの代表はサリチル酸で、工業的には合成で作られます。PHAのグルコノラクトンは、ぶどう糖からできる酸です。どれも効き目ではなく分子の形で分けた名前で、形が違うと水や油へのなじみ方が変わり、それが使い分けにつながります。

AHAは、角層ののりをゆるめて古い角質をはがれやすくする

AHAは、角層の細胞どうしをつなぐ「のり」をゆるめて、いちばん上の古い角質をはがれやすくします。肌がごわついたり、くすんで見えたりするのは、余分な古い角質が表面に重なっているのが原因のひとつです。

はがれるのは、いちばん上の古い角質からです。

古い角質が重なったまま

AHAでのりがゆるむ

  • 古い角質
  • 角層の細胞
  • 細胞をつなぐのり(デスモソーム)
  • AHA

肌のいちばん外側の角層では、デスモソームという接着のしくみが細胞どうしをつないでいます。角層が自然にはがれ落ちるときにはこの接着がゆるみますが、AHAはこのデスモソームを分解して、古い角質をはがれやすくすることが報告されています。化粧品で主に使われるAHAは、グリコール酸と乳酸です。

ただし、角層がはがれると、水分をとどめてうるおいを守る力も下がります。そのためAHAは濃度をおおむね10%以下に抑え、酸の強さを表すpHにも気をつけることが必要です。乾燥しやすい肌では、濃さと使う回数を控えめにしましょう。なお乳酸は、角層にもともとある天然保湿因子にも含まれる成分で、pHを整える目的でも使われます。成分表に乳酸があっても、角質ケアのためとは限りません。

BHAは油になじむサリチル酸で、日本の化粧品では0.2%まで

BHAの代表のサリチル酸は油になじむので、皮脂の多い肌に向く酸です。水になじむAHAが角層の表面で働くのに対して、サリチル酸は皮脂にとけこみます。

皮脂の多い肌にBHA、乾きやすい肌にPHA、と選び分けられます。

AHAは水になじむ

BHAは油になじむ

PHAは水を抱える

  • 水分
  • 皮脂
  • AHA
  • BHA
  • PHA

サリチル酸は、角層をゆるめる働きと、菌が増えるのを抑えて品質を保つ働きをあわせもつ成分です。そのため日本では化粧品基準の防腐剤のリストに載っていて、化粧品に入れられるのは100g中0.20gまでです。海外で見かける「BHA 2%」のような製品とは、ここが違います。医薬部外品や化粧品では、ふけをおさえるヘアトニックなどにも使われてきました。

皮脂やべたつきが気になる肌なら、成分表で「サリチル酸」を探すのが近道です。成分表の「BHA」は別の成分なので、まちがえないようにしましょう。

PHAは、水を抱えながらおだやかに働く

PHAは、AHAと同じように古い角質に働きながら、刺激が少なく、水分も抱える酸です。ヒドロキシ基をたくさんもつので、水をつかまえる保湿成分としても働きます。

PHAは、AHAに近い働きをしながら刺激が出にくく、赤みが出やすい肌やアトピー性皮膚炎の人の敏感な肌でも使いやすかったという結果があります。韓国コスメでは、グルコノラクトンやラクトビオン酸を指してPHAと呼ぶことが多く、化粧品基準にこれらの配合の制限はありません。肌が乾きやすい、酸の刺激が心配と感じたら、成分表でグルコノラクトンやラクトビオン酸を探すのがひとつの手です。

化粧品と皮膚科のピーリングは、濃さがけた違い

同じグリコール酸なら、化粧品でも皮膚科のピーリングと同じことができると思いますよね。でも、同じ成分でも、濃さとpHで化粧品と医療に分かれる別物です。角層が薄くなるほど、肌を守る働きが下がるからです。

同じ成分でも、皮膚科で使う濃さはけた違いです。

グリコール酸・乳酸

010203510%以下

サリチル酸

01020350.2%まで
  • 化粧品
  • 皮膚科のピーリング(20〜35%)

日本皮膚科学会のガイドラインでは、皮膚科のピーリングにグリコール酸やサリチル酸を20〜35%で使う例が挙げられています。同じガイドラインでは、pHが3以上で濃度が10%以下ならほとんど反応が見られない一方、濃度が30%以上やpHが2以下の強い酸性では、むくみやただれ、かさぶたができる危険が高くなるとされています。ケミカルピーリングは、当時の厚生省が「業として行われれば医業に該当」とした行為で、医師の管理のもとで行うものです。

化粧品として書けるのは「肌のキメを整える」「肌を柔らげる」「肌を滑らかにする」などの範囲で、「角質を溶かす」「ターンオーバーを促進」とは書けません。化粧品のAHAは、余分な角質を無理なく取り除くためのものとして使いましょう。

しみについて化粧品で言えるのは、キメを整えるまで

角質ケアでしみが薄くなるのか、気になる人は多いと思います。AHAが入っていても、化粧品として言えるのは「肌のキメを整える」などの範囲です。しみに働くことは、化粧品の効能に入っていないからです。

しみは、紫外線を浴びて作られたメラニンが、まわりの細胞に渡されてたまることでできます。化粧品の用語集では、AHAは角層がはがれるのを促してメラニンを外へ出す成分の分類に挙げられていますが、化粧品で「シミを薄くする」とは書けません。しみが気になるなら、まずはメラニンができる入り口の紫外線を防ぐことが基本です。

まとめ

角質ケアは、成分の名前より、濃さ・pH・使う回数で肌への負担が変わります。皮脂が多いならサリチル酸、乾きやすいならPHA、と肌に合わせて選び、少しずつ様子を見ながら使いましょう。

よくある質問

AHAとBHAの違いは?

どちらもヒドロキシ酸の仲間で、分子の中でヒドロキシ基がつく位置が違います。AHAはグリコール酸や乳酸などで水になじみやすく、BHAの代表のサリチル酸は油になじみやすい成分です。

AHAは肌に何をする?

角層の細胞どうしをつなぐ接着をゆるめ、いちばん上の古い角質をはがれやすくします。はがれる分うるおいを守る力も下がりやすいので、濃さと使う回数に気をつけましょう。

日本の化粧品にサリチル酸はどのくらい入れられる?

100g中0.20gが上限です。厚生労働省の化粧品基準で決まっていて、海外の「BHA 2%」のような製品とはこの点が違います。

成分表示の「BHA」はサリチル酸のこと?

いいえ、成分表に「BHA」とあれば、酸化防止剤のブチルヒドロキシアニソールです。角質ケアのBHAは、成分表では「サリチル酸」と書かれます。

敏感肌にはPHAが向いている?

PHAはAHAに近い働きをしながら刺激が出にくく、水分を抱える保湿成分としても働きます。成分表ではグルコノラクトンやラクトビオン酸と書かれるので、まずは少ない回数から試しましょう。

あるコスメオタクの写真

この記事を書いた人:あるコスメオタク日本化粧品検定1級

中央大学大学院に通う大学院生。韓国コスメが好きすぎて、気になったアイテムは自腹で試して回っている一消費者です。スキンケアと、成分・制度の背景を調べるのが好きです。公的資料やメーカーの公式情報にあたって、「化粧品にできること・できないこと」を分けて書くことを心がけています。(運営方針)

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