この記事でわかること
- 皮膚の3つの層と、それぞれの厚さと役割
- 表皮と真皮をつなぐ基底膜のしくみ
- 毛穴・皮脂腺・2種類の汗腺がある位置
角層、真皮、皮脂腺、基底膜。肌の話には名前がたくさん出てきて、それぞれどこにあって、どうつながっているのか、わかりにくいと思いますよね。
結論から言うと、皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3つの層でできていて、そこに毛包(毛の通り道)や皮脂腺、汗腺、血管、神経が組みこまれています。「毛穴」は、その毛包の出口です。まずは、全体の地図から見ていきましょう。
皮膚は3つの層でできていて、厚さは平均約2ミリ
皮膚は、外側から表皮・真皮・皮下組織の3つの層が重なってできています。層をまたいで、毛包、皮脂腺、汗腺、血管、神経が埋まっています。
皮膚の3つの層と、組みこまれた器官です。
- 1皮脂膜 皮脂と汗が混ざった、表面の膜
- 2角層 表皮のいちばん上。0.01〜0.02ミリ
- 3基底膜 表皮と真皮をつなぐ薄い膜
- 4毛包と毛 毛の通り道。出口が「毛穴」
- 5皮脂腺 毛包に開き、皮脂を出す
- 6立毛筋 鳥肌が立つときに働く筋肉
- 7汗腺 体温を調節するエクリン汗腺
- 8血管 栄養や酸素を運ぶ。表皮にはない
- 9神経 真皮の上部に多く集まる
皮膚の厚さは成人の平均で約2ミリ、面積は約1.6平方メートルで、畳1枚分ほどです。皮下組織を含めた重さは体重の約16%になり、人体でいちばん重い臓器です。
皮膚のおもな働きは、体の水分が失われるのを防ぐこと、体温の調節、微生物や物理的・化学的な刺激から体を守ること、感覚を受け取ることです。この働きを、3つの層と、そこに組みこまれた器官が分担しています。
表皮は約0.2ミリの4層で、細胞の95%がケラチノサイト
いちばん外側の表皮は、厚さ平均約0.2ミリで、4つの層でできています。表皮をつくる細胞の95%はケラチノサイト(角化細胞。表皮の主役の細胞)で、この細胞が下から上へ入れ替わり続けているからです。
層は真皮に接する側から、1層の基底層、5〜10層の有棘層、2〜3層の顆粒層、いちばん外側の角層の順に並びます。ケラチノサイトは基底層で生まれ、押し上げられながら形を変え、最後は角層になってはがれ落ちます。くわしくは表皮の4層の記事で解説しています。
表皮の細胞は約45日で入れ替わります。
生まれる
られる
なる
落ちる
いちばん外側の角層は、厚さ10〜20マイクロメートル、ミリにすると0.01〜0.02ミリしかありません。それでも、体の水分を逃がさず、外からの刺激を防ぐ、皮膚と外の世界の境目です。
残りの5%は、メラノサイト(色素細胞。メラニンをつくる)、ランゲルハンス細胞(免疫に関わる細胞)、メルケル細胞(触れた感覚に関わる細胞)です。また、表皮には血管がなく、栄養は真皮からもらっています。
基底膜は、表皮と真皮をつなぐ薄い膜
表皮と真皮のあいだには、基底膜という薄い膜があり、上下をしっかり結びつけています。図では、波打つ赤い線の部分です。
基底膜の中心になる基底板は、厚さ60〜80ナノメートルという、とても薄い膜です。Ⅳ型コラーゲンやラミニンなどのタンパク質でできていて、上の基底層の細胞とは、細胞を膜につなぎとめる装置で結合しています。下では、係留線維(基底板と真皮をつなぐ細い線維)が、基底板と真皮のコラーゲンを強く結びつけています。
基底膜は、表皮と真皮の働きを分けながら、そのあいだのやりとりも調整しています。単なる仕切りではなく、上下をつなぎ、支える膜なのです。
真皮は、コラーゲン線維がつくる丈夫な土台
表皮の下の真皮は、コラーゲン線維を中心にした、皮膚の弾力と強さを支える土台です。厚さは表皮の約15〜40倍あり、皮膚の厚さの大部分を占めています。
真皮の主役は線維です。コラーゲン線維(膠原線維)は真皮の乾燥重量の約70%を占め、そのあいだを、のび縮みするエラスチン線維(弾性線維)が走っています。線維のすき間は、ヒアルロン酸などの基質(線維のあいだを満たすゲル状の成分)で満たされ、これらを線維芽細胞(真皮で線維をつくる細胞)がつくっています。
上部の乳頭層は、線維がまばらで、毛細血管や神経の末端が多い部分です。下部の網状層は真皮の大部分を占め、線維がぎっしり詰まっています。真皮の血管は皮膚に栄養を運び、暑いときは広がって熱を逃がし、寒いときは縮んで熱を保ちます。真皮は、皮膚を支え、栄養を届ける層です。くわしくは表皮と真皮の記事で解説しています。
皮下組織は、脂肪でできたクッション
いちばん下の皮下組織は、おもに脂肪組織でできていて、体を守るクッションの役目をしています。脂肪は脂肪細胞にたくわえられ、線維でつなぎとめられています。
役割は、外からの衝撃をやわらげること、外の暑さや寒さから体を守る断熱、エネルギーをたくわえることの3つです。厚さは場所によって大きく違い、まぶたではとても薄く、おなかやおしりでは5〜10センチに達する人もいます。
皮下組織は、衝撃と温度から体を守り、エネルギーをたくわえる層です。
毛穴は毛包の出口で、皮脂は毛穴から出てくる
「毛穴」として見えているのは、毛の通り道である毛包の出口です。皮脂を出す皮脂腺が毛包に開いているので、皮脂は毛穴から出てきます。
毛包は毛根を包む組織で、表皮がくぼんで、真皮の深いところにある毛球の底まで続いています。毛包には鳥肌が立つときに働く立毛筋が付き、その上に皮脂腺が開いています。皮脂腺はふつう1平方センチに100個以下ですが、多い部位では400〜900個になり、手のひらと足の裏にはありません。
汗腺は2種類あります。エクリン汗腺はほぼ全身にあり、日本人では約230万個です。汗の出口は皮膚の表面に開いていて、汗で体温を調節します。アポクリン汗腺はわきの下や乳輪などに限られ、毛包の上部に開いていて、思春期に発達して汗を出しはじめます。
皮脂と汗が表面で混ざると、皮膚をおおう皮脂膜になります。皮脂は毛穴から、エクリン汗腺の汗は皮膚の表面にある汗の出口から出てくる、と覚えておきましょう。
まとめ
- 皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層に、毛包・皮脂腺・汗腺・血管・神経が組みこまれています。厚さ平均約2ミリ、面積約1.6平方メートルです
- 表皮は約0.2ミリの4層で、細胞の95%がケラチノサイト。基底層で生まれ、約45日ではがれ落ちます
- 基底膜が表皮と真皮を結び、真皮はコラーゲン線維を中心にした、表皮の約15〜40倍の厚さの土台です
- 皮下組織はおもに脂肪で、クッション・断熱・エネルギーの貯蔵を担います
- 毛穴は毛包の出口で、皮脂腺はそこに開いています。汗腺はエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類です
肌の話を読むとき、この断面図を頭の片隅に置いておくと、「今どの層の話をしているのか」を見失わずにすみます。
よくある質問
皮膚は何層でできている?
外側から表皮・真皮・皮下組織の3層です。そこに毛包や皮脂腺、汗腺、血管、神経が組みこまれています。
毛穴とは何?
毛の通り道である毛包の出口です。皮脂腺は毛包に開いているので、皮脂は毛穴から出てきます。
汗腺は何種類ある?
エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類です。エクリン汗腺はほぼ全身にあって体温調節を担い、アポクリン汗腺はわきの下などに限られ、毛包に開いています。
皮膚の厚さはどれくらい?
成人の平均で約2ミリです。いちばん外側の表皮は平均約0.2ミリ、その最上部の角層は0.01〜0.02ミリです。
皮膚の面積と重さはどれくらい?
成人で面積は約1.6平方メートル、畳1枚分ほどです。皮下組織を含めた重さは体重の約16%で、人体でいちばん重い臓器です。
この記事で参照した情報
- 北海道大学 皮膚科学教室 公開資料「皮膚の構造と機能 A.皮膚とは」
- 北海道大学 皮膚科学教室 公開資料「皮膚の構造と機能 B.表皮」
- 北海道大学 皮膚科学教室 公開資料「皮膚の構造と機能 真皮」
- MSDマニュアル家庭版「皮膚の構造と機能」
- 富山労災病院「皮膚(ひふ)は私たちの体を守っています」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「表皮」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「角層」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「真皮」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「基底膜」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「毛包」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「汗腺」
- 日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集「皮脂」
この記事が入っているテーマ別まとめ